第201回国会 参議院 内閣委員会 第8号 (令和2年4月16日(木))

田村委員

そうすると、布マスク総計一億枚というのも、この六億枚、七億枚の中にそれぞれ含まれているということになりますよね。  逼迫する医療用マスクの供給量、今後どうなるか見込みが分からないと。私、これ本当に戦略がなさ過ぎるんじゃないかという問題意識をずっと持ってきました。  これまで医療用マスクは、四月上旬までに一千五百万枚、今月中に加えて一千五百万枚、さらに緊急事態宣言が出されている七都府県には一千万枚、計四千万枚の供給という施策を進めてきたわけですけれども、では、これで医療機関のマスク不足は解消されるという見込みを持っての施策なのかどうか、お答えください。
 

橋本副大臣

お答えをいたします。  今、田村委員から御指摘がありましたように、サージカルマスクにつきましては、これまで、三月、四月合わせてということになりますが、国で確保した計四千五百万枚超を医療機関に優先配布をする、また、緊急事態宣言が発出された七都府県に対しましてサージカルマスクを今週中に約一千枚配布をするということとしておりまして、また、七日に閣議決定した緊急対策では、サージカルマスク、N95マスク、ガウン、フェースシールド、消毒用エタノール等について、国において確保し、必要な医療機関等に優先配布することを盛り込んでいるところでございます。  そのマスクが足りているのかということについてでございますけれども、先ほど審議官答弁申し上げましたように、平時では、まず需要の方は九千万枚ということを先ほど申し上げたとおりでございます。そして、四月分で申しますと、政府からの供給分が四千万枚、それから、国内で生産していて、これは市場で流通しているものもあります、これが六千五百万枚ということでございますので、一億枚余りが国内で供給できるという状況になります。  ただ、平時であれば足りるのですが、今は平時ではないということで、現場では不足感があるというか、不足をしているという状況にあるということは十分私どもも承知をしているところでございまして、今回の予備費あるいは補正予算等々において更に手当てをしてまいりたい、このように考えているところでございます。
 
~中略~
 

田村委員

これ、六か月だと足りないと思いますね、六か月で二・七億枚だとね。そのことにも危機感を覚えるんですけどね。  私、厚労省のマスクチームの方に来ていただいて、先週、説明を受けたんですよ、一体どうやってマスクを押さえているのって。そうしたら、国内外のマスクの事業所に皆さんが電話を掛けて、毎日毎日買取りをして、押さえた分から都道府県に送付をして、そこから医療機関に回っているというんですよ。ちょっと言葉を失いました。ですから、医療機関の側にお聞きをしましたら、様々なパッケージのマスクが届いて、果たしてこれが医療用として使える、信頼の置けるマスクなのかどうなのかという不安を感じているんだという声もお聞きをしたところなんですよ。  私は、国が医療用マスクの信頼できるものを製造から買取りまで押さえて医療機関に供給するという戦略を立てるべきだと思います。  前回の質問で、国が財政支援をしたライン、月四千八百万枚まで今マスクの製造できるという答弁だったんですけれども、このうち医療用として政府が買い上げているというものはどれだけあるんでしょうか。
 

橋本副大臣

今御質問になったのは、経産省さんのやっておられる生産設備導入補助金によって造ったラインで増産されたものをどうなのか、買上げなのかというようなお尋ねだと思っております。  今お話をいただきましたけれども、私どもとしては、その国内の増産分あるいは輸入分等と合わせて、まさにいろんな方々に御連絡をして調達を図っているというのは現状でございますが、その個別の、どこから幾ら買ったみたいなことにつきましては、現在行っている調達活動に影響を与えるおそれもあることから、現在公表はしておりません。  したがいまして、この補助金によって増産したものもそれに含まれているのかどうかということにつきましても、お答えは差し控えさせていただきたいと考えております。
 

田村委員

それじゃ、布マスクの方お聞きしますけど、政府のマスクチームの職員の方が、この布マスク全世帯配布についてSNSで説明をしているのを見ました。昔懐かしの布マスクなど今どき作っていない、政府が買い上げる約束でもしなけりゃメーカーは怖くて何億枚も作らない、だから政府買上げの形で発注する必要があったというふうに書かれているんです。そうすると、全世帯向け一億枚、高齢者施設などにも二千万枚、この布マスクについては、あらかじめ政府が買い上げる約束で増産をしてもらったんじゃないのかというふうに読めるわけですね。  この増産のためにも、布マスクの製造ライン、ここにもお金出して造ったということになるんでしょうか。
 

迫井政府参考人

重ねての答弁になるかもしれませんけれども、国の買上げに当たって、生産設備の導入補助等により増産されたか、あるいは既存のラインによって生産されたものであるかにつきましては、基本的には国産増産分、これ、既存の市場を乱さないために、あくまで増産されたものについて、それから輸入品について確保しないとネットの言ってみれば確保がなかなか進まないという考え方にのっとっておるわけでありますけれども、しかしながら、個別の買上げ先について、現在行っているその調達活動に影響が与えられるということで公表はしておりませんけれども、しかしながら、今お話をしましたとおり、個々の買上げに当たりまして、調達に当たりましては、まず予算を確保し、予算の範囲におきまして、より迅速かつ適正な手続にのっとって物品を調達するということでございますので、委員御指摘のような形で必ずしもやっているというふうには承知をいたしておらないところでございます。
 

田村委員

いずれにしても、買上げを約束しての調達なんですよね。で、増産してもらっているんですよ。私も、布マスクでも手に入れたいという方がおられることは理解します。だけど、予算の使い方とか政策の優先順位としてどうなんでしょうかね。  先日、私、首都圏の帰国者・接触者外来の医師にお話聞いた際に、布マスク全世帯配布をというニュースに心が折れそうになったというふうにおっしゃったわけですよ。日々もう院内感染の危機、これに直面しながら、身体的にも精神的にも限界となっているのが今の医療機関ですよ。申し訳ないけど、四百六十六億円、これ今医療用マスクの調達価格一枚約四十円ですからね、十一億枚以上買えるというお金になるわけですよ。製造ライン造ってねというふうに回すお金にだってできるわけですよ。何でそういう戦略を立てることができないんだろうかなと。  副大臣、是非、医療用マスクの製造ラインを造ってもらう、それを全量買い上げる、そして医療機関に回す。やってくださいよ。
 

橋本副大臣

今委員がお話しになったようなその医療現場の方々のお声というものは私ども、私自身もちょっとネットで同じようにあの四百六十億円はというお声というのを私も目にしたことはございます。  今お話をしておりますように、結局医療用マスクは、もちろん私どもも一生懸命調達を掛ける、それはそうなんでありますけれども、結局、予算の問題というよりも、まさに調達先をどう確保するのかということがボトルネックになっているということでございまして、それと、そのだから布マスクがどうこうということは少し切り離して考えていただきたいなと思っております。  また同時に、先ほど少し御答弁申し上げましたが、経産省においてマスク生産設備導入補助事業というのをやっておりまして、今般のマスクの供給不足に対応する観点から、政府からの増産要請に応じて国内生産を増強し、国内供給に寄与する事業者を支援することが目的というふうに聞いております。このため、補助事業者に対しましては、少なくとも当面は国内にのみ出荷することを採択の条件としておりまして、国費による支援の成果については国内供給に確実に結び付くものと、こう考えております。また、この補助金で増産したマスク等については、国の買上げの対象とならない一般用のマスク、あるいは部材等も含まれております。  また、通常の商流により日本の消費者に提供されることが今後の継続的、安定的な供給に結び付くと考えられること、現在もう既に、サージカルマスクでも国内で製造されているものについては一般的に、買上げではなくてですね、流通しているものもあるという状況の中で、国による医療用マスク買上げ事業の対象とすることを必須とはしていないということでございまして、医療用マスクの国による買上げにつきましては、通常では賄い切れない国内医療機関の需要に対応するために行うものでございまして、供給量を実質的に増加させる観点から国内増産分や新たな輸入分から確保することを基本としておりまして、引き続き、委員の御指摘の問題意識もしっかり受け止めて、必要な医療機関等にマスクが行き渡るように必要量をしっかりと国で確保してまいりたいと、このように考えているところでございます。
 

田村委員

これ、台湾では政府の資金で政府調達用のラインを確保して全量買い上げたという経験もあるわけですよ。これ、N95も含めて信用できるマスクをやっぱり、そこに予算掛けること、誰も反対しないですよ、誰も反対しない、是非これ戦略持ってやっていただきたい、重ねて要望しておきます。  地域の診療所や歯科診療所でも院内感染の危険性が高まっています。地域医療でのマスクのニーズも把握して、行き渡るようこれ対応すべきだと思いますが、いかがでしょうか。
 

橋本副大臣

医療機関向けのマスクの配布については、都道府県を通じて地域の医療機関のニーズを把握をした上で、必要性、緊急性の高い医療機関から優先的に配布を行っていただいております。  都道府県が地域のニーズを把握する際には医師会や歯科医師会など地域における関係団体と連携することとしておりまして、実際の配布に当たっては、管下市町村における状況等について市町村等の意見を聞くとともに、医療機関等からの求めに応じマスクを個別に速やかに配布する体制が整えられている地区医師会、歯科医師会、薬剤師会、保健所等の協力が得られる場合に、それらの団体を通じて配布することを差し支えないということとしておりまして、地域の診療所あるいは歯科診療所のニーズ等も踏まえた上でマスクが配布されているものと考えております。  今後も、診療所、歯科診療所も含めて、地域のニーズを踏まえながら、必要な医療機関にマスクが行き渡るように都道府県と連携して取り組んでまいりたいと考えております。
 

田村委員

歯科の先生方からも、本当に顔を近づけて、まさに本当に濃厚接触をしながら治療するしかないんですよね。だから、その方が元気な状態でウイルス持っているんじゃないかという、そういう不安にさらされていますので、是非その声にも応えていただきたい。そのためにも、戦略を持った、医療用マスク、これ、是非国として責任持って押さえていただきたいと思います。  昨日ですか、大阪で、感染防護のガウン、PPEについて大阪大学がもうポリ袋を使うことを検討しているという報道が出まして、大変衝撃を与えています。雨がっぱということも出てきているわけで、これもほとんどが輸入に頼ってきたということなので、今、政府は国内の縫製工場で既存のラインでエプロンの製造ができないかというふうに持ちかけているということもお聞きしているんですけれども、こういう代用ではなくて、やはりPPE、この防護のガウン供給のための新たなラインを造る、全量買い取る、こういうことも必要だと思いますが、いかがでしょう。
 

橋本副大臣

マスクの話が続いておりますが、それ以外の個人防護具につきましても、緊急経済対策において、例えばガウン、フェースシールドなどについて、需要の見込みと供給量のギャップを賄うべく、必要量を国において確保し、必要な医療機関等に優先配布を行うこととしておりまして、必要な予算を予備費及び補正予算案に盛り込んでいるところでございます。  こうしたPPE、総称してそう言いますけれども、医療機関で欠かせないものでありまして、その生産及びサプライチェーンを国内で確保する観点から、経済産業省においては、PPEを国内で増産等をする際に必要となる生産設備の導入に要する費用を補助する事業をマスク同様に実施することとしているところでございます。  医療機関におけるこれらの資材の需要は、今後の感染拡大により今後も増大すると考えられることから、産業界とも連携し、国内生産体制の確保と輸入増大による供給量の確保、それから医療現場における適切な防護具の使用など需要面での取組、先ほどちょっとお話も出ましたが、N95マスク、サージカルマスク、アイソレーションガウン、フェースシールドなどについて代用品の活用も、それは我々も努力はしますけれども、やっぱり時間掛かる面もありますので、今今の需要に対応するべく、その代用等も是非御検討いただきたいというような通達も出させていただいておりますけれども、そうしたことも、両面、供給面、需要面、両方からですね、医療現場に必要な物資が確保されるように私ども全力で取り組んでまいりたいと考えております。