第212回国会 厚生労働委員会 第2号(令和5年11月8日(水))

橋本委員

皆さん、おはようございます。自由民主党の橋本岳でございます。

久しぶりに質疑に立てることになりましたので、早速、ちょっとひとつ質疑に立たせてもらいたいなということで時間をいただきました。

まずは、武見大臣、それから副大臣、政務官の皆様、御就任おめでとうございます。御活躍を心からお祈りを申し上げますとともに、本当に、この厚生労働行政というのは、国民の生活一般に広く深く関わっている分野であります。とても幅は広いし、その中で本当に、個々の、一人一人の人にいろいろな事件が起こっていて、もしかしたら一人一人に対応というのもなかなか難しいところがありますが、でも、それを大事にして是非取り組んでいただきたいなと。マクロで大きく問題になっていないから大丈夫なんだということではなくて、やはり、お一人お一人に何が起こっているのかということにきちんとセンサーを持って取り組んでいただけるといいなと思っておりますので、まず、そうした思いを是非持って取り組んでいただけるとありがたいなということで、御期待を申し上げたいと思います。

さて、私の方からは、医薬品行政についてお尋ねをしたいと思っております。

この医薬品の話につきましては、例えば後発品の供給不安でありますとか、あるいはドラッグラグ、ドラッグロスといった問題につきましていろいろなところで指摘をされておりますし、例えば予算委員会などでももう既に質疑が行われております。直近の薬価改定どうするんだ、そういうような話もあったりしたわけですけれども、もう少し中長期な視点についてのお話を今日は伺えればと思っています。

といいますのは、日本というのは、世界で限られた、幾つかしかない、薬が作れる国、創薬力を持った国であります。それで、もちろん、国内の、我が国の国民がきちんといいお薬をできるだけタイムリーに使えて、そして健康を維持する、あるいはより病気が早く治るとか、そうした恩恵にあずかれるようになってほしいなと思いますし、それを是非海外の方にも売っていって、海外の、世界の健康に貢献をするとともに、ちゃんともうける、産業としてちゃんと国を支えていくような産業にもなり得る、そうしたものだと思っています。ただ、今申し上げたような課題もありますので、どうするかということが問われているわけでありますが。

もう一つ言えば、日本発の薬のシェアというのはだんだん落ちていっているんですね、残念ながら。だから、そういう意味で、これは、すぐ短期的に何かというよりは、メーカーが新しい薬をよりたくさん開発をし、それをよりたくさん売っていくというようなことをどう支えていくのかという観点が必要であって、残念ながら厚生労働省というのは必ずしも産業政策に特化した役所ではありませんから、オール政府でここは対応していただきたい、常々このように考えております。

私は、自民党の創薬力の強化に関するPTの座長というのをやっておりまして、大臣が党におられたときにも大変御指導いただきながら様々な提言等をしておりまして、その中で、例えば、政府全体で国家戦略を策定して、内閣官房が司令塔機能を担って、政府一丸で取り組んでほしいというようなことであったり、政府の中に多様なアカデミア人材により構成される委員会などをつくって、そのかじ取り役についてアドバイスをいただくようなことを是非やってほしい、こんな提言をいたしました。

そして、今年の骨太の方針で、そうしたものも踏まえていただいているんだと思いますが、政府全体の司令塔機能の下で総合的な戦略を作成する、こういう記載がございます。また、さきの大臣の所信、挨拶の中でも、革新的な医薬品の開発を促進するため、質の高い研究を生み出し、製品化していくための環境整備を関係省庁と連携しつつ一層取り組む、このようにおっしゃっておられるわけでございまして、この部分について具体的に、いつ頃までどんなことを、言える限りで構いませんが、大臣の思うところを是非御披瀝をいただければありがたいと思っています。よろしくお願いします。
 

武見国務大臣

橋本委員におかれましては、党の中で、創薬力強化のPTの座長として、いち早く我が国の創薬力の衰えに気づき、それを再構築する必要性を訴えられてこられたことについては、心から敬意を表するものであります。

御指摘のとおりであります。我が国、創薬力、二十一世紀に入ってバイオが創薬力の主流になるにつれて、残念ながら、低分子に関わる医薬品に我が国が余りにも特化していたために、主流にしっかりと乗ることができずに創薬力の低下を招いてきており、それが実際に、世界における医薬品開発の中で我が国の製薬企業の占める割合が確実に低下してきているという現状をつくり出しているということを、大変に懸念をしております。

やはり、二十一世紀におきましても、我が国は、世界の創薬基盤の一つとして、その支える重要な役割を担うことが、我が国の国民に対しても、常に世界でも最高峰の医療の質の高い提供ができるための基盤になる、こう考えております。

そのためには、やはり、企業家、アカデミア、行政、投資家などが相互に協力しながら、スタートアップの立ち上げと成長を支えるエコシステムを構築することが極めて重要です。このエコシステムの構築に当たりましては、潜在可能性、ポテンシャリティーの高い日本のアカデミアが、国内のみならず海外の専門家、行政、投資家、大企業などと相互に協力しながら、スタートアップの立ち上げと成長を支えるオープンなエコシステムを構築する必要性があると認識します。

具体的には、海外のエコシステムのプレーヤーとも連携をしつつ、革新的なシーズの発見に重要なアカデミアの研究の質の高い製品として創製していく上で、それをファイナンスをし、そしてそれをガバナンスする仕組みをしっかりと確立していくことが必要であります。

司令塔機能につきましても、政府として、内閣官房に新たに鴨下一郎先生を参与として任命したところでございまして、厚生労働省としては、現在、海外の創薬環境を含む深い知見を有する有識者の御意見も伺いながら検討を深めているところでありまして、関係各省庁とも一層連携して創薬の研究環境整備の実現に取り組んでいく所存でございます。
 

橋本委員

ありがとうございます。

今検討されているということで、鴨下参与とかにも入っていただいてですね、そういうことでありますから、できるだけ早く具体的なステップが見えるようにして、物事が前に進んでいくようになることを是非期待をしたいと思っておりますので、是非、大臣には、もちろん厚生労働大臣ではありますが、政府全体の中でもこうしたことについてリーダーシップを持って取り組んでいただくこともできるお立場だと思いますので、是非お願いをしたいと思っております。

そして、ちょっともう時間が限られておりますので申し上げるのみにとどめますけれども、先ほど、医薬品について、供給の不足があるとか、ドラッグロス、ラグの問題があるということについても申し上げました。

これは、もちろん短期的にすぐ解決ができるような話とは限りませんけれども、やはり、そうはいっても、この年末の報酬改定、トリプル改定の中での薬価改定がどうあることかということにも深く関わってくる問題でありまして、ここは是非、安心をして、要するに、国民の皆さんが安心して薬を使えるということは、それを供給をしている卸の方あるいはメーカーの方、もちろん、それを使う薬局だとか医療機関とか、そうしたところが全て安心をしてそうしたことができる環境をつくるということが大事なので、それに資する薬価制度というものを改めて見直してつくっていく、あるいは、もしやり過ぎたことがあるんだったら直していくということは必要だと思っております。

薬価制度の抜本改革という名の下にいろいろなことをやりましたが、私は、これも見直しをする時期が来ていると思っておりますし、中医協で議論という話はよくありますが、中医協の診療側も支払い側も、どっちも薬価は下げたいと思っているので、そこについてプラスの働きというのはなかなか働かない構造があります。是非、そうしたことも頭に置いていただいて、武見大臣はしっかりリーダーシップを取っていただくようにお願いを申し上げて、質問を終わります。

ありがとうございました。