第200回国会 衆議院 内閣委員会 第2号 (令和元年10月23日(水))

吉田委員

本当に、近視がふえると、余りろくなことがないですね。目の病気がふえると、井上先生の御実家は患者さんがふえるかもしれませんけれども、本当に世界としてはいいことではないので。ごめんなさい、余り井上先生と言うと、後で怒られちゃいますので。
 ただ、本当にこれは結構深刻な問題になってきていますので、きょうつくられた官僚の方は多分、完全にこれを理解をされていないようですので、ぜひ大臣、指導力を発揮して、近視に対する政策はしっかりとお進めいただいて、またそのうち、ちょっと質問で、どうなったか聞かせていただきますので、ぜひやっていただきたい。
 せっかく厚生労働副大臣、橋本先生に来ていただきましたので、橋本先生にもちょっと近視関係のことを厚生労働省の立場で聞きたいんですが、二〇〇七年に、屋外で活動することと近視の進行に関する有名な論文が出ました。オリンダ・ロンジチューディナル・スタディー・オブ・マイオピア、マイオピアとは近視のことなんですけれども、IOVSという有名な論文に二〇〇七年に載りました。
 前述のように、特に我が国を始めとした東アジアの国々は近眼の方、近視の方が多いので、これは遺伝的要素もありますが、環境因子も極めて重要です。先ほど申し上げたように、アジアの国には、子供に対して一定時間の屋外活動を義務づけることによって近視を予防、抑制するという政策も行われています。これは、屋外で二時間、三時間と活動すると、子供たちが近視になりにくいというデータがさっきの論文であるからなんですよ。これは科学的エビデンスとして今はもう認識されています。
 また、日本の、我が国の慶応義塾大学では、バイオレットライト仮説というのもあります。これは、太陽光は直接見たら失明しちゃいますので、網膜障害を起こしますので見ちゃいけないんですが、何で外で活動すると近視が抑制されるのかという中で、紫外線に近い波長のバイオレットライトというライトが存在する中で活動をすると近視が抑制されるという仮説があるんですね。
 これも、厚生労働委員会で以前、簡単には質問させていただいたことがあるんですが、こういった仮説が日本でも出ている。そして、東アジアの国々、やはり近視予防のそういった政策をしっかりとしている中で、我が国の厚生労働省としては、副大臣、どのような対応を今後していくのか、どのような認識をされているのかということをお答えいただけますか。
 

橋本副大臣

御答弁申し上げますが、近視の要因は、今お話をいただきましたように、いろいろな要因が絡んでいる。遺伝要因のほか、物を近くで見るかどうかとか、屋外での活動時間の長短といった環境要因などが発症、進行に関与しているというふうに言われております。ただ、まだ正確なメカニズムはいまだ十分には解明されていないという状況であろうと承知をしております。
 そして、今御指摘、お話をいただきましたように、発症、進行予防に、太陽光に豊富に含まれるバイオレットライトが関連をしているという報告があることも承知をしておるところでございます。
 ただ、この答弁をすると何かお叱りをいただきそうな気がしますが、今後、近視の発症、進行のメカニズムについては、やはり、まだなおエビデンスの蓄積が必要であろうという状況だということでございまして、引き続き、先生からも今いろいろな御指摘もいただいたことも踏まえ、含め、情報収集に努めまして、今後の必要に応じて、内閣府を始め関係省庁と連携をして対策を講ずるということで勉強させていただきたいと考えております。
 以上でございます。
 

吉田委員

私の尊敬する橋本副大臣の御答弁なのであれですが、やはり、エビデンス、本当に蓄積はそれは大事なんです。これはもう、医学とかそういった科学というのは、永久にエビデンスを蓄積していく責務が、科学者にも、そして、健康戦略をやるのであれば国家にもあるんだと思います。
 しかしながら、その中で、どのタイミングでどういう判断をしていくかというのは、やはり政治家、与党の皆様の御判断だと思うんですね、副大臣。
 ですから、近視はやはり少ない方が本当にいいと思います。近視って本当に、昔の考えでは、眼鏡をかけておけば見えるからいいじゃんという、そういった考えも確かにあったんですよね。ただ、逆に、疫学的なデータが積み重なって、近視であると起こる病気が非常に多い、失明してしまう病気が非常に多い。
 例えば、一番困るのはやはり強度近視で、若いときに緑内障になった方が、五十半ばでとか四十半ばで失明をしてしまう。そうすると、お仕事もやはりやめざるを得ないですし、御家族が介護しなければいけない。そうすると、御自身もなかなか、生活しづらい、生きづらい、そういった状況になる可能性があるので、やはり近視、ある程度予防する施策、エビデンスがある程度蓄積してきたのであれば、例えば学校のカリキュラムの中で、外で二、三時間活動させても悪いことはないと私は思うんですけれども、それはいろいろなお考え方があるでしょうが、そういったことも厚生労働省の副大臣のお立場で文科省なんかともいろいろ御相談いただいて、何かやっていただける、そういった思いはないかどうか、一言言っていただければと思います。
 

橋本副大臣

子供が外で遊ぶのはいいことだと思うんです。それは、いろいろな意味で。それに近視の予防ということも含まれるのであれば、なお、更にいいことなのでございまして、ちょっと具体的にどうするかというのは、やはりきちんと、さはさりながら、規制なり何かしら政策に取り組むためには、それが効果があるというエビデンスというのはやはり、これも集めなければいけないというのも事実でございますので、まず、きちんと勉強させていただいた上で、必要に応じて関係省庁とも連携をして対策をとらせていただきたいと思っております。
 

吉田委員

副大臣、ありがとうございます。
 副大臣、じゃ、もう一言、今の関連ですけれども、日本ってやはり、医療も、私もずっと昔から思うんですけれども、感覚器に対する興味というのが薄いんですよね。やはり命にかかわる部門がどうしても日本というのは重視され、いや、それは、そういう考え方もいいんだと思います。
 ただ、欧米というのは非常に、目、耳とか、やはり鼻だとか、特に目は非常に大事にしますよね。それは、その方のQOLだとか生産性に寄与する。人間って八割の情報は目から得ると一応言われていますから、そういった中で、やはりこういった目の検診って有効なものがまだまだなされていないという事実があります。
 もちろん、与党の中でも、非常にこの目のこと、眼科医療政策を力強く推進していただいている先生方も、田村先生ですかね、元大臣を中心にいらっしゃるのを承知していますが、こういった、毎年やる必要はないと思うんですけれども、区切りの年なんかで目の検診をして、緑内障を見つけて、早く治療して、そうすると、緑内障って、今、早く見つけると百歳まで、今、人生百年社会と言われている中で、百年見える、そういったことを実現できることも結構あるんですよね。とにかく早期発見、早期治療なんですね、緑内障。加齢黄斑変性もそうですね。
 そういった中で、こういった健診事業の中で、目に関する検診などを、やり方はぜひ御検討いただきたいんですが、やるとか、そういう御見解とか、そういった展望というのはあるのか、副大臣、お伺いしたいと思います。
 

橋本副大臣

議員御指摘いただきましたとおり、国民のQOLの維持などのために緑内障を早期発見をして失明を回避するということは、大変重要なことでございます。
 一般論として申し上げますと、健診に、ある項目を導入するかどうかということについては、検査の安全性、有効性等が明らかであるか、医学的な効果みたいなことについての科学的な根拠に基づいて。また、それが想定される対象者数とか疾病の発症リスク、費用対効果なども勘案をして、これは医療経済学的な効果がどうかということだと思いますが、この適否を判断することが必要だというふうに考えております。
 緑内障等に対する眼科検診の実施ということについてのお尋ねですが、今申し上げた医学的効果と医療経済学的効果の観点からの検討が必要であると考えておりまして、現在、厚生労働科学研究費の補助金を使っている研究において、そうした研究を進めているところでございます。
 今、その研究について行っているところでございまして、令和元年度から来年、令和二年度をめどとしていまして、その医学的、医療経済学的な研究というのを今しているところでございますから、その結果も踏まえて、実際にどうするかということはしっかり取り組んでまいりたいと考えております。
 以上です。