第201回国会 衆議院 予算委員会 第8号 (令和2年2月6日(木))

鬼木委員

本当に、多面的な分析をお答えをいただきまして、ありがとうございます。  そうですね。本当に、給付先行で来て、負担が比較的少なかった、受益と負担のバランスでいうと中福祉・低負担ということで、国民にとってはいい時代が続いたわけでありますが、そこで給付が先行した。その中で、高齢化社会がやってきて、支え手の数が減ってきたというのが今の状況でございます。  そういった中で、外国人がやってきて社会保障の給付を受けると、何か自分たちだけ損している気がする、彼らをもう入れるなという議論になってしまうんだけれども、実は、やってこられる外国人の方々も、労働もするし、年金、社会保険も納めるし、支え手となっているということ、まさに全世代型社会保障の中に外国人の方も、さきのラグビーワールドカップのようにワンチームとなって日本社会をともに支えていただく存在、そしてまた、彼らの労働条件だとか社会保障というのが、生活が困難になっていくと、そこは国の分断を、対立を生みますし、また社会が不安定になるということで、やはり、そこの社会保障の公平さというものを保ちながら、外国人の方にも支え手として入っていただかなければならないんだなというふうに思います。  そして、その制度というものがやはりフェアでなければならないというふうに思います。本当に、ラグビーワールドカップのワンチームは、日本人も外国人も一緒になって、大変フェアなチームでありました。みんながともに助け合い、支え合うすばらしい姿を見せてくれました。  そうした中で、やはり、受益と負担がフェアでないという思いを誰かが持つと、このワンチームが成り立たないわけですね。あの人はもらい過ぎている、あの人は支払っていないというふうなことが起こると、それは許されない、国民の理解が得られなくなってくるわけですね。  そういったことで、ちょっといろいろな不祥事といいますか、世間をにぎわす外国人の社会保障についてのトピックについて、どういう対応をするのかということをこれから尋ねていきたいと思います。  外国人が治療目的で来日をして、しかも家族まで連れてきて高額な治療などを受ける、そういった報道もなされました。家族まで連れてくる。こういった現象について、どのように把握をしていて、今後どのように対処するかをお答えください。
 

橋本副大臣

まず、お答えに入ります前に、お地元の方がクルーズ船の中におられるということで、大変御心痛のことであろうと思っております。私どもも、今中におられる方の健康状態あるいは感染防止などに対して万全を尽くしてまいりたいと考えております。  また、先ほどコロナウイルスがということでおっしゃっておりましたが、コロナウイルスというのは、既知のものが六種類、今回新型があるということで、新型のことが今問題になっているということで、そこは誤解を招かないように、一言申し添えさせていただきたいと思います。  そして、今お尋ねの話でございますけれども、国民健康保険は、日本国内に住所を有する者に適用することとしておりまして、外国人の方につきましても、適正な在留資格を有し住所を有していれば原則として適用対象としております。これは今先生がお話しいただいたお考えにマッチしているものと存じます。  一方で、在留資格が医療滞在目的等の場合においては、国保の適用対象とはしておりません。  一方、外国人の方の国保の利用については、入国目的を偽って在留資格を取得し高額な医療を受けているという不適切事案があるとの一部報道があったということは、私たちも承知をしております。  これを踏まえまして、平成二十九年三月に、外国人の国保の利用につきまして、全市町村を対象として、高額な医療に係るレセプト全数調査を実施しております。その結果、不適正事案の可能性が残る事例が二件、また、既に出国しており確認がとれなかったものが五件ございます。ただ、これについて、不適正として確定をしたものではないということも申し添えさせていただきます。  ただ、そうしたものもあったということで、被保険者の支え合いで成り立っている医療保険制度の信頼を確保するためには、適正な資格管理は必要でございます。そのような観点から、外国人につきましては、平成三十年一月から、厚生労働省と法務省が連携し、在留資格の本来活動を行っていない可能性があると判断される外国人被保険者の方につきましては、市町村から入国管理局に通知をする、そして連携をして取り組む、こういう取組を実施しているところでございます。  引き続き、国保の適正な利用に向けて取り組んでまいりたいと考えております。  以上です。
 

鬼木委員

橋本副大臣、ありがとうございました。  私が自民党で厚労部会長代理を務めていたときの厚労部会長ということで、本当に厚労行政に精通しておられて、大変尊敬している先輩でございます。  決して、新型コロナウイルス、クルーズ船の対応を批判しているわけではありません。起こったばかりの出来事で、船内の食事もなくなったばかりというところで今臨時の対応をしている。そういう中で困難な状況にあるということで、これから、しかも、そこに外国の方もおられるし、公費を使うことについてどうなのか、いろいろな議論があった上でのことだと思いますので、本当に大変なことだと承知しておりますが、ぜひよろしくお願いいたします。  そして、治療目的の外国人が受ける医療について、平成三十年一月から、資格目的外、本当の資格を偽って治療を受けている人たちはその在留資格を取り消すという措置をされるといったお答えがございました。  また、そういったケースで、国内に残した家族も高額の治療が受けられているという批判があったことに対しても、国内居住要件について、日本国内にいる人のみが治療が受けられるというふうに変化が今後行われるということで伺っております。  まさに、フェアでなければならない。外国人の方も支え手であって、負担している部分についてはきちんと受益もあるけれども、それを偽って入ってこられた方、日本の社会保障にただ乗りしようとしてやってくる方、そこはきっちりとした線引きにおいて引き続きやっていただきたいと思います。  続きまして、外国人観光客が日本にたくさんやってくる、インバウンド客が来られるのは経済的にはありがたいことですが、その方々が病気になったときに、非常に、無保険で病院に行きまして、そこの治療費が支払われないといったことも伺っております。  外国人観光客の医療費未払いの実態についてどう把握をされ、どう今後対処されていかれるか、お答えください。
 

橋本副大臣

お答えをいたします。  未収金の実態につきましてですけれども、平成三十年度に実施をした医療機関における外国人患者の受入に係る実態調査で把握をしております。平成三十年十月の一カ月に外国人患者の受入れ実績があった二千百七十四病院のうち三百八十六病院、すなわち一七・八%が外国人患者による未収金を経験しているという結果がございます。また、同未収金の総額のうち、訪日外国人の方による未収金が約四割を占めておりました。  外国人の方の未収金の問題については、言語や文化の違いも原因の一つにあると考えておりますことから、厚生労働省におきましては、これまで、未収金発生を予防する観点も含め、医療通訳者の医療機関への配置や多言語資料の作成、普及などの取組を進めてまいりました。また、今年度におきましても引き続き、外国人患者の受入れに係る未収金の実態を把握することとしております。  なお、訪日外国人の医療機関における未収金の問題に対しては政府全体として取り組んでおりまして、入国前の段階において、日本政府観光局現地事務所等において旅行保険加入勧奨ポスター及びチラシを配布する取組等が行われていると承知をしております。保険に入っていただければ、それを使っていただけるということでございます。  なお、御審議いただいている令和二年度予算案においては、不払い等の経歴がある外国人に係る情報を医療機関から収集し、出入国在留管理庁に提供するための仕組みの構築を行うこととしております。  引き続きまして、こうした取組を推進し、未収金の問題も含め、訪日外国人に対する医療の提供に関連する多様な問題にしっかり対応してまいりたいと考えております。
 

鬼木委員

外国人観光客、インバウンドというのは本当に急激な増加を続けておりますので、そうした意味では新しい課題であり、早急な対応を今構築されているところかなと思います。まず、言語の壁がありまして、そこの通訳、また、救急の場合もありますので、深夜でも対応できる体制など、そういったことも対応されているということで、一歩一歩進んでいるのかなと思います。  また、ちょっと答弁にあったかどうかわからないんですけれども、私が聞き取りしたとき、外国人の方が保険に加入されていないものだから、お医者さんが金額のつけ方がわからないということが発生するらしくて、そういったときに、算定マニュアルみたいなものをつくって、その相場でちゃんとその場でいただくということをやっているというやにも聞きました。  外国人観光客、訪日客の医療費未払いが全体の四割という御答弁でしたので、残りの六割弱が、今度は、保険に加入している外国人が病院にかかったときに自己負担分を払っていないという未収が相当額あるということでございます。  ちょっとこちらの方は、私、質問を立てるように通告していませんでしたので、きょうは質問をいたしませんが、この分も、こちらも病院がかぶっているということになりますので、対応の仕方は、訪日外国客、保険があるかないかの違いですので、よく似た対策になると思いますので、ぜひこちらの方もあわせて対応をお願いしたいと思います。  続きまして、生活保護について伺います。  外国人は生活保護の受給はできるのかということにつきまして、お答え願います。
 

橋本副大臣

生活保護についてのお尋ねでございますが、生活保護法は、憲法第二十五条の理念に基づき、日本国民のみを対象としております。  一方、外国人については、日本人と同様に日本国内で制限なく活動できる在留資格を有する方については、行政措置として、生活保護の取扱いに準じた保護を行うこととしております。  外国人に対する保護については、生存権保障の責任は第一義的にはその者の属する国家が負うべきであるとの考え方に立ちつつも、人道上の観点から、あるいは、先ほど少しお触れになりましたけれども、分断を招きかねないという点からも、行政措置として行われているものでございます。  その上で、生活保護制度は、資産、能力その他あらゆるものをその最低限度の生活の維持のために活用することを要件としており、この取扱いは外国人に対する適用の場合についても変わるものではございません。  また、出入国管理法上、貧困者等で生活上国又は地方公共団体の負担となるおそれのある者については入国できないこととされておりまして、法務省において、本人の生計維持能力について厳正に審査を行っていると承知をしております。  保護の実施機関においても、入国直後の外国人からの生活保護の申請については、その者が在留資格の取得時に入管当局に提出した資料と同様のものの提出を求めてきているところでございまして、引き続き適正な保護の実施に取り組んでまいりたいと考えております。
 
~中略~
 

森(夏)委員

日本維新の会の森夏枝です。  予算委員会におきまして質問の時間をいただきまして、ありがとうございます。  それでは、早速質問に入らせていただきます。  本日もクルーズ船の乗客十名の方が新たに感染をされているということで、昨日と合わせ、検査結果が出た百二名のうち二十名の方が感染されたとの報告がありました。国民の皆さんは大変心配をされておりますので、情報提供は徹底していただきたいと思います。  二月三日に、我が党は、新型コロナウイルス感染症対策に関する提言を加藤厚労大臣にお渡しをしました。現在、SNS等で、誤報も含めさまざまな情報があふれている中、感染者の行動歴等の情報について国が積極的に公開をしなければ、国民がパニックを起こすというよりも、情報が錯綜し、かえって混乱を招くことにつながります。  地元の方々とお話をしておりましても、テレビでこう言っていた、SNSでこういう情報を見た、感染者数や死亡者数など、中国の発表は信じられない、国の発表も信じられないなど、既に混乱が起きているような状況があります。  一月二十五日に香港でクルーズ船をおりられた八十歳の感染者の方や、昨日陽性反応が出た方々が鹿児島でツアーに参加されたとのことですが、行動歴を公開すれば、利用したバスや訪れた施設などを念入りに消毒をするなどの対応もとれたと思います。今のところ鹿児島で感染者が発生していないから公開しないというのではなく、未然に防ぐという意味では、対応は十分過ぎるぐらいやってもよいはずです。  加藤厚労大臣は、日本維新の会が提言書をお渡しした際に、情報公開について地域でばらばらではいけない、指摘に従って対応していくとおっしゃられました。  クルーズ船の乗客から二十名の感染者が出ました。今後もふえるおそれもあり、不安に思われている国民が多いです。正しく恐れるためには情報が必要です。もちろんプライバシーには十分配慮する必要がありますが、クルーズ船の乗客の感染者の行動歴について、今後公開することは検討されているのでしょうか。
 

橋本副大臣

お答えをいたします。  まず、御指摘の香港で下船した方の行動歴等については、自治体等を通じまして、詳細な行動の確認を既に私たちは行っておりまして、把握をしております。  その上で、まず、一般論として、どういう考え方かと申しますと、感染症に関する情報公開については、公衆衛生上の必要性と個人情報保護、要するに、どなたがどこにこう行ったということは個人情報ですから、それに係るリスクとを比較考量し、そもそも公衆衛生上の必要性を欠く場合や、個人情報保護に係るリスクが公衆衛生上の必要性を上回ると考える場合には、当該情報を公表しないこととしております。逆に申し上げますと、個人情報保護よりも公衆衛生の方が大事だという場合があれば、それは公表するということでもあります。  今回のケースでございますけれども、当該患者は鹿児島のバスツアーには参加をしておられます。また、本人によりますと、バスの乗員、それから乗客以外に濃厚接触者に当たる方はおられないというふうに承知をしております。そしてまた、念のため、濃厚接触とは思っておりませんが、立ち寄った、ある施設に立ち寄っております、そちらの方の職員の方にも確認をして、現在まで発症がないということも私たちは確認をしております。そして、立ち寄った日が、一月二十二日に鹿児島で行動しておられますので、きょう、十五日たっておりますので、潜伏期間と考えられております十四日は経過をしております。  そういう意味で、この方の鹿児島における行動に関して申し上げれば、他者に当該感染症を感染させる可能性のない時期の行動歴というふうに考えておりまして、これは公表する必要のない、公表するような状況にないということに該当すると考えております。  感染症に関する情報の公表に当たりましては、先ほどのような考え方に基づきまして、適時適切な情報の公表が必要と考えております。今後とも、個人情報の保護に留意しつつ、必要な情報の公表に努めてまいります。  以上です。