第201回国会 衆議院 予算委員会 第10号 (令和2年2月10日(月))

武部委員

それでは次に、新型コロナウイルス対策について質問させていただきます。  今、国民の皆さんの間に大きな不安を引き起こしている新型コロナウイルスでございますが、この週末にもまた刻一刻と状況が変わってきております。  予算委員会での議論も、国民の皆様に対しまして、正しい情報を提供できる、あるいは確認していただける一つの場でもあると思いますので、私からも質問させていただきたいと思います。  横浜港に寄港しております大型クルーズ船でございますが、この週末も検査を進めていただいていて、新たな感染者が確認されております。  まず、大型クルーズ船で乗船されている皆様方は、大変ストレスも感じていらっしゃると思いますし、御不便をおかけしております。御協力いただいていることに感謝しますけれども、政府としても、食料や医薬品など十分な必要物資を送っていただいてケアをしていただきたいと思いますが、その上で、現在の国内での感染の現況について、どのようになっているかを質問させていただきます。
 

橋本副大臣

お答えをいたします。  クルーズ船について申し上げますけれども、現在、臨船検疫を行っているクルーズ船につきましては、これまで、乗員乗客全員に対して、体温計での測定による体温スクリーニングを行うとともに、PCRの検査を実施しているところでございます。  クルーズ船内でのPCRの検査については、検査キットの数や処理能力を踏まえ、まず優先度が高い方に検査を実施してきておりまして、呼吸器症状や発熱のある方、呼吸器症状や発熱のある方との濃厚接触者、そして、香港で下船した陽性患者との濃厚接触者のいずれかの方に対して実施をしているところでございます。  香港で下船した方の陽性患者との濃厚接触者については、もう既に皆さんPCRの検査を済ませておりますけれども、その発症、要するに、新たに発熱をされている方が累次出てきておられるという状況がありますので、その方々については随時検査を行っております。その結果が逐次公表されている、こんな状況にございます。  二月八日より、新たに呼吸器症状や発熱の症状を示している方やその濃厚接触者についてのPCRの検査を実施するとともに、八十歳以上の方で体調のすぐれない方などにできる限り検査を進めるべく、今対応しているところでございます。  また、乗客乗員の皆様には、感染を予防する行動をとることによって健康観察期間が十四日間で終了するよう、二月五日に船内での過ごし方の行動基準を示し、周知をしているところでございます。既にマスクや体温計、医薬品等を乗客に提供するとともに、医師と看護師にクルーズ船に搭乗していただいておりますけれども、引き続き、船内の乗員乗客の皆様の健康や安全を最優先に、そしてまた、感染を防ぐということとともに、必要な情報提供を行い、安心して船上生活を過ごせるように支援してまいりたい、このように考えております。
 

武部委員

ありがとうございます。  中国の武漢市から、政府がチャーター便を用意いたしまして、邦人の帰国に十分な対応をしていただきました。これは安倍総理の大変大きな決断だと私は思います。政府の強い危機感と、また、在外の邦人の安全確保について強い決意を持ってしっかり取り組むんだということだと思います。  このチャーター便で御協力いただいた全日空、そして、経過観察のために帰国された方を受け入れていただいた勝浦ホテル三日月さん、関係者の方々に深く敬意をあらわしたいと思います。  質問はいたしませんけれども、引き続き、日本人の帰国について全力で取り組んでいただきたいと思います。  二月六日でございますが、我が党の新型コロナウイルス関連肺炎対策本部から総理に対しまして、新型コロナウイルスによる感染症対策に関する提言を手交させていただきました。水際対策の徹底であったり、国内医療提供体制の整備等の対策を行ってほしいという提言でございます。  国内で必ずしも感染が拡大している状況では今はないと思いますけれども、国民の皆様方には冷静に対応していただくためにも、正確で速やかな情報提供というのが大事だと思いますし、相談体制の充実をしっかりと進めていくことが大事だと思います。実際に住民の相談を受けたり、必要があれば医療の提供をしたりするのは地方自治体でございますので、地方自治体と緊密な連携をとっていくことが大事だと思います。  そこで、感染症指定病院など医療体制整備や、保健所や衛生研究所などの支援について、政府の取組についてお聞きしたいと思います。
 

橋本副大臣

お答えをいたします。  まず、医療機関への受診などの体制につきましてお答えを申し上げますけれども、やはり、そうした体制整備をしておくということは大変重要なことでございます。  厚生労働省では、新型コロナウイルス感染症の疑い例を診察するための帰国者・接触者外来、また、それにつなぐための帰国者・接触者相談センターの設置を都道府県に対してお願いをしております。また、各医療機関で新型コロナウイルス感染症への感染が疑われる方を診察した場合、当該患者について保健所に届出をしていただき、感染が疑われる方を早期に把握して検査へつなげております。  この検査の対象につきまして、二月七日に通知を発出し、新型コロナウイルス感染症が強く疑われる場合には、対象者の要件に限定されることなく、各自治体の判断で柔軟に検査を行うことができる旨を明確にしております。  すなわち、要するに、湖北省への渡航歴がある方あるいはその濃厚接触者、患者との濃厚接触者というのが一つ明示的に条件としてしておりますけれども、及び、さらに、集中治療などを受けておられて、特定の感染症と診断できないと判断した場合で鑑別を要する場合ということを、四つの要件を挙げておりますが、それ以外でも、自治体の判断で必要と考えられる場合には検査を行ってよいということにしておりまして、そうした不明な患者さんが出たときにきちんと検査ができるということにしたところでございます。  また、医療現場においてさまざまな資材が必要でございます。そうしたことについてきちんと在庫を把握をして、今後の安定供給のために対策を必要があれば講じていくということにも取り組んでいるところでございます。  また、保健所や衛生研究所等に対する補助についてもお尋ねがあったかと存じます。  これは、まず感染症指定医療機関に関しましては、都道府県等に対し、運営費の補助を行い、感染症患者に対する適切な医療の提供を行うということとしております。  また、保健所に関しましては、都道府県等に対し、調査事業費の補助を行いまして、感染症の予防対策を図っているところでございます。  地方衛生研究所に関しましても、都道府県に対しまして、検査に必要な設備整備に対する補助を行い、感染症の検査体制を充実させているところでございます。  今般の事例を受けまして、今後、自治体の方から自治体の施設等につきまして御要望があれば、しっかり協議をして対応できるようにということで、厚生労働省としても全力を挙げて取り組んでまいりたいと考えております。  以上です。
 
~中略~
 

武部委員

ありがとうございます。  次の質問に移らせていただきます。  戦没者の遺骨収集の推進についてお聞きしたいと思います。  私の選挙区利尻町に吉田欽哉さんという、九十三歳で現役の漁師の方がいらっしゃいます。今も昆布とりをやっています。この方は、戦後、旧ソ連によってシベリアに抑留されまして、過酷な労働を強いられました。今は、シベリア抑留の語り部として全国を回って、その経験をお話ししていただいています。吉田さんは、一柱でも早く、極寒に眠る同胞の骨を、遺骨を日本に帰してあげたいということで、昨年、高齢でありながら、この調査団に同行して、ハバロフスクに訪問していただきました、九十三歳で。  この方、吉田さんですけれども、やはりその思いは、国のためにとうとい命をささげられた戦没者の遺骨を一日も早く、一柱でも多く我が国に帰還させることはやはり国の責任なんだ、責務だ、使命だ、そういうふうに考えて行動されておられます。  平成二十八年に、戦没者遺骨収集の推進に関する法律が議員立法で成立いたしました。そして、それから九カ年を集中期間として、遺骨収集の推進の施策を集中して行うということを定められました。改めて、この法律の意義とこれまでの成果、それと、四年が経過しましたので、今後の戦略そして取組についてお聞きしたいと思います。
 

橋本副大臣

お答えをいたします。  まず、戦没者の遺骨収集事業に関しましては、先般、戦没者遺骨のDNA鑑定人会議において、収容された遺骨の一部が日本人の遺骨ではない可能性が指摘されながら適切な対応が行われてこなかったこと、それによって遺骨収集事業への信頼性を問われるという状況になりました。そのようなことにつきまして、真摯に反省をし、事業のあり方の見直しに取り組んでいるところでございます。  まず、基本的な意義あるいは考え方につきまして申し上げますが、私たちが享受している平和と繁栄は、国や国民のためにかけがえのない命をささげられた方々のとうとい犠牲の上に築かれたものであり、このことを決して忘れてはならないものと考えております。  戦没者の遺骨収集の推進に関する法律によりまして、遺骨収集の推進に関する施策を実施することは国の責務であるということが法律上明らかにされ、平成二十八年度から令和六年度が遺骨収集の推進に関する施策の集中実施期間と定められております。これが法律の意義であろうと考えております。  この法律が施行された平成二十八年四月以降、同法によります指定法人の日本戦没者遺骨収集推進協会と一体となり、昨年度末までに、情報収集のための現地調査に延べ七十八回、遺骨収集に五十九回の派遣を行い、合わせて二千六百六十柱の御遺骨を収容し、日本にお帰りをいただいているところでございます。  一日も早く御遺骨を日本そして御家族のもとにとの遺骨収集に対する御遺族の皆様の思いをしっかりと共有しながら、今後も国の責務として遺骨収集に取り組んでまいりたいと考えております。  また、今後についてということもお話がございました。  まず、先ほど申し上げました戦没者遺骨DNA鑑定人会議において、これまでに収容された遺骨の一部は日本人の遺骨ではない可能性があるとの指摘がなされた事例があったことを受けまして、現在、有識者会議のもとに調査チームを置き、検討を既に行っていただいたところでございまして、昨年十二月に調査チームの報告書が取りまとめられております。  調査チームの報告書では、調査の対象となったロシアとフィリピンの事例への対応について、DNA鑑定は特定の遺族と遺骨のマッチングのためにあり、それ以上の追求は必要としないという思い込み、あるいは遺骨収集の手順を守っていれば十分という認識の結果として、厚生労働省は専門家の見解を軽視したという厳しい評価と数多くの課題を御指摘をいただいております。  また、同じく有識者会議のもとに設置した専門技術チームでは、日本人の遺骨である可能性の標準的な確認方法の検討等を行っているところでございまして、年度内に検討結果を取りまとめていただくこととしております。  こうしたことも踏まえまして、鑑定体制を含めた来年度以降の遺骨収集のあり方については、今の有識者会議の御意見も踏まえまして、そして新年度からの御遺骨の収集というものに間に合うように、しっかりと今検討していっているところでございます。  なお、令和二年度の予算案では、次世代シークエンサーによるSNP分析や安定同位体比分析といった新技術の戦没者遺骨の鑑定、これは所属集団の推定ということになりますが、これへの応用を図るため、研究の推進に必要な経費を確保しております。また、身元特定のためのDNA鑑定を迅速に行うため、鑑定機関、これは大学ですけれども、これに分析機器を導入するなど、DNA鑑定に係る体制の充実を図っているところでございまして、先ほど申し上げましたように、一日も早く、一柱でも多くの方にしっかりと御帰還いただけるように、今後も全力で取り組んでまいる所存でございます。