第201回国会 参議院 厚生労働委員会 第4号 (令和2年3月19日(火))

足立信也君

そこが、一月三十一日だったと思いますが、我々は、これは大臣と何度か議論をした。未知の感染症、専門家の方も皆さん、ほとんどの方が未知の感染症、未知の感染症と毎日テレビでおっしゃっていますよ。これは新感染症に指定すべきではないかと、その後病態が分かってきたら、順次指定感染症の何類、何類と、こういうふうに変えていくべきではなかろうかという話をずっとしていたんです。しょっぱなで指定感染症、検疫感染症、指定感染症については二類に準ずるという形にしてしまったから、その後の対応が私は非常に後手後手に回ったんじゃないかということをずっと申し上げているわけです。  そこで、その一例としてダイヤモンド・プリンセス、橋本副大臣と自見政務官にお聞きしたいんです。  つらい、で、よく頑張られた。つらい体験だったと思いますけれども、一番言いたいことは何ですか。それぞれに聞きたいと思います。
 

副大臣(橋本岳君)

丁寧な通告をいただきましてありがとうございました。  本当に言いたいことは本当にいっぱいあったんですけれども、一つだけということを申し上げれば、三千七百人という大変多くの乗員乗客の方を乗せた船を検疫をするということでありました。ですから、本来検疫というのは検疫所で行うべきもので、あっ、行うということではありますが、他省庁あるいは民間企業、それから乗員乗客の方々含めいろんな方々の協力があって、その生活の支援あるいは感染症対策などなど含めて、みんなで協力してやらなければならないプロジェクトのような、まあプロジェクトという表現がいいか分かりませんが、そういうものでございました。  ですから、その調整、連携等々の中でいろんなこともございましたし、また、その中での感染症対策を行わなければいけないという特殊性も感じましたし、何というんですかね、一つの検疫所でやる検疫というのとはスケールの違う難しさがあったということ、そして、それが多くの皆さんの御協力の下でできたということで、累次にわたり感謝を申し上げておりますけれども、本当にそういう思いが今一番申し上げたいところでございます。
 

大臣政務官(自見はなこ君)

お答え申し上げます。  私、戻ってきましてから初めて答弁に立たせていただきますので、まず、亡くなられた方々に心からのお悔やみと、そして、今も闘病されておられる方々の一日も早い御回復をまずお祈り申し上げたいと思いますし、関係各位、お世話になりました皆様に心から感謝申し上げたいと思います。  まず、前提として申し上げますと、今回のクルーズ船は水際対策ということで行わせていただきました。三千七百人の方、水際対策という名前、これはとどめ置くということでございましたけど、一言でとどめ置くと言いましても、そこには壮絶な、三千七百人の命を守るという過酷な現場があったということでありまして、私たちはその水際対策、国内での感染症のフェーズ、ピークと、そして、その高さ、ピークの時期、フェーズと、そして、ピークを遅らせる、このために私たちは全ての労力を割いたということをまず全員の皆様に御理解いただきたいと思いますし、そこにおいては、乗客、そして何よりもクルーの方々に本当に大変な御苦労をいただきながら検疫業務に御協力いただいたということを前提として申し上げたいというふうに思います。  その上で、私が一番伝えたいことは何か、課題として思っていることは何かといいますと、この度のクルーズ船で行いました全てのこと、それは実は全て国内対応そのままに反映させられるということであります。それは何かと申しますと、これは危機管理そのものでありまして、初動のアセスメント、関係省庁との連携、そして国民、この場合では私たちは乗員乗客とのコミュニケーションということだったと思いますが、あるいは、私たちは厚生労働省の職員を感染させるということの事態にも招いてしまいました。これからは、自治体の職員を感染させない、あるいは厚労省の職員も感染させないということも大事でございます。  また、最後でございますけれども、私たちは、下船してすぐに宿泊施設の方で十四日間の健康隔離措置を行う中で、西海岸で残念ながらもう一つクルーズ船が集団的にCOVID―19に感染しているんではないかという報道があったときに、すぐさまCDCとの電話会議を行わせていただきました。こういった国際連携というものが、今回の感染症、全世界で闘うという意味においても非常に重要だと思いましたので、私が一番伝えたいことは、クルーズ船で私たちが得た教訓をそのまま連続的に、継続的に、この国際対策と国内対策両方に当てなければいけない日本の責任があるというふうに感じております。
 

足立信也君

ちょっと厳しいことを言うようですが、橋本副大臣が本来検疫所でやるべきことということを最初におっしゃられた。これね、やっちゃいけないことをやったんだと私は思っていますよ。三千七百人も船内隔離して、それを、水際ということを自見さんがおっしゃいましたけれども、この内容のことが国内でできるはずがないじゃないですか。私は、世界が、日本は壮大な社会的実験をやっていると言われた時期もありましたね。やっちゃいけないことをやったんだと思いますよ。  で、この前、新型インフルエンザのときの総括報告書の中で申し上げましたけれども、水際という言葉そのものも変えていかなきゃいけない、あるいは水際対策をやるのであれば、これは十分に研修したプロのチームでやっていかなきゃいけない。昨日、報道、今朝ですか、報道されていました、自衛官の方々は一人も感染しなかったと。基本に忠実に当たり前のこと、感染症対策としてやるべきことをきちっとやったと。じゃ、ほかの人はやれなかったということですよ。そういう態度でやっちゃいけないことなんです、これは。  そこで、じゃ、三千七百十一人もの方々を、これ船内隔離ですよ、して、これの指定感染症二類相当、検疫感染症、これ法的根拠はどこにあったんですか、副大臣として。
 

副大臣(橋本岳君)

まず、今の足立先生のお叱りにつきましては受け止めたいと思います。  ただ、二月四日の時点で、二月三日に検疫を開始いたしまして、最初に検体採取を発症している方々に行いました。その一番最初に結果が出たのが三十一名の方、そして、そのうち十名の方が新型コロナウイルスの陽性であったという結果が出ました。したがって、その時点でもう船内でそれなりに蔓延しているという状況であったというふうに理解をします。  一方で、日本人の乗客の方々が半数ぐらいおられましたけれども、もちろんそれ以外の国々の方々も多数おられました。そうした方々が横浜に寄港、戻ってこられたときに、もちろんほかにも対応のしようというのはあったであろうと、選択肢はあったかもしれませんけれども、これは政府として、横浜で検疫をし、しかる後に上陸をしていただく、こういう選択をするということだったのだろうというふうに私は理解をしております。  そして、その検疫の権限と法的根拠でございますけれども、これは検疫法の第四条ないし第五条ということに基づいて行ったということでございまして、そういうような法的根拠に基づいて行ったということであります。
 

足立信也君

本来、アメリカを始めとして途中からいろんな国がおっしゃいましたが、本来、分散して下船させたり、あるいは一時隔離をしたり入院観察をしたりというのが本来の常識的なやり方だと私は思いますよ。それが、指定感染症の二類相当に決めたことによってできなくなったんじゃないですか。違いますか。じゃ、大臣、どうぞ。
 

国務大臣(加藤勝信君)

いやいや、その新感染症云々という話と全くこれは別問題でありまして、新感染症は新感染症として……(発言する者あり)いやいや、指定感染症と新感染症というお話がありましたので。  まず、委員、ちょっと違うのは、新感染症というのは指定するものじゃないんです。該当するかどうかで判断するんです。我々は、今回は、先ほどいろんな手続はありましたけれども、今回のものを見て、ウイルス、根源の原因も分かっているわけですから指定感染症という扱いをさせていただいて、それにのっとった、これは感染症法上、また検疫法上そういった対応を取らせていただいたということであります。
 

足立信也君

答えをすり替えているなという意見が近くから出ましたけど、今私が聞いたのは、指定感染症二類相当、二類準用ということを決めているから国内での隔離あるいは停留ができなかったんじゃないですかということを聞いたんです。
 

副大臣(橋本岳君)

何というんでしょう、検疫感染症、検疫所長の仕事、検疫法第十七条におきまして、検疫感染症の病原体が国内に侵入するおそれがないと認めたときは検疫済証を交付する。そうでない、あるいはそのおそれがないというときには仮検疫済証を交付すると、これは十八条の話。そして、今の、その当時のダイヤモンド・プリンセスの状況というのは、検疫感染症の病原体がその中にいるであろうということが分かったということでありますので、当然ながら検疫を行いまして、その検疫の病原体が国内に侵入するおそれがほとんどないと認めるという状態に至るまでそこに上陸の許可を出さなかったと、こういうようなことでございます。  そして、実際にその船の中で行ったことは、症状のある方、あるいはPCRの検査を随時行いまして、その陽性の、行った方々の医療機関への搬送というのを行いました。また、宿泊施設の準備が整い次第ということではありますけれども、船内におられることがハイリスクであると考えられる方々を順次その宿泊施設の方に移送し、そちらで検疫期間を過ごしていただくということも行いました。  そうしたことをやることによって、私どもとして、可能な限りではあります、それが十分であったかということはもちろん検証されるべきだと思いますけれども、その分散をして、しかるべきところに移送していくということについても行っていたということは申し上げさせていただきたいと思います。