第201回国会 衆議院 農林水産委員会 第7号 (令和2年3月19日(火))

青山(大)委員

ちょうどきのう三月十八日の報道では、中国政府が、アビガンによる新型コロナウイルス感染症の治療について有効性を確認したとあります。中国では、ウイルス検査の結果が陽性から陰性になる日数の中央値が十一日だったのに対して、このアビガンを投与した患者では四日で陽性から陰性になったというふうに報告をされています。  もう一度質問いたします。二月二十二日からこれまで、アビガンなどを投与された人の数そして経過について、詳細を教えてください。
 

橋本副大臣

お答えをいたします。  先ほど審議官が申しましたとおり、まさに今その患者の方に御同意をいただいて投与をして研究を行っているところというところまでは申し上げております。  ただ、結局何のためにそれをやっているかというと、有効性及び安全性を確認するために実際に同意をいただいて検査、確認をしているというところでありまして、それこそ研究の結果がどうなるのかということを予断を与えるということも私どもは控えるべきだと思っております。  そのため、そうした具体的な人数でありますとかそうした経過でありますところを申し上げることは差し控えさせていただきたい、こう思っているところでございます。
 

青山(大)委員

では、中国がきのう発表した、中国政府は、アビガンが新型コロナウイルス感染症に有効である、こういった提言についてはどのように感じておりますか。
 

橋本副大臣

中国政府におきまして、三月十七日に、アビガンを新型コロナウイルス感染症患者の治療薬として臨床研究を行い、その有効性が確認できたと発表したということは承知をしております。  ただ、一つ一つの薬がそれぞれの国内で使えるかどうかということにつきましては、きちんと私たちとして責任を持って確認をしなければなりません。そういう意味で、現在、研究をしておりますので、そこのところをしっかり進めていきたいと思っております。
 

青山(大)委員

質問主意書の中に、私がアビガンの今の最新の備蓄状況をお伺いしたところ、今二百万人分を備蓄されているという回答がございまして、同時に、今後、備蓄量を増加する予定があるか聞いたところ、「現時点で、アビガン錠二百ミリグラムの備蓄量を増やす予定はない。」と、三月十七日の時点で答弁をいただきましたけれども、その後、こういった中国政府の発表もございました。アビガンの備蓄量をふやす姿勢に変化はないのでしょうか。
 

橋本副大臣

アビガンの二百万人分の備蓄につきましては、新型インフルエンザ対策として備蓄をしているものでございます。これが今の新型コロナウイルス感染症に効くかどうかということについて研究をしているということは今まで申し上げてきたとおりでございますので、まずはその結果を待って、必要かどうかを判断するということになろうと思っております。
 

青山(大)委員

まさに今、治療薬の候補として、アビガン以外にも幾つか治療薬の候補があるというふうにも認識しております。カレトラですとか、気管支ぜんそくの薬であるオルベスコが新型コロナウイルス感染症に対して効果があるとの報告も聞いております。これらについて、新型コロナウイルス感染症の治療に現在用いられているのか、現状をお伺いいたします。  また、これらの備蓄についての状況をお聞きいたします。
 

橋本副大臣

現在、アビガン以外で観察研究としての患者への投与をスタートしたものとして、先ほど委員がお話しをいただきましたカレトラ、それからオルベスコというもの、それからもう一つ、レムデシビルというものがございます。こちらにつきましては、まさに今、患者の皆さんの同意を得て使用するということで研究を行っている、その効果等を確認する研究を行っているということでございます。  ですので、こちらにつきまして、カレトラだとかオルベスコ等は今流通している薬、アビガンというのは普通に流通しないので備蓄をするということになるわけですが、流通しているお薬でございますので、まずは、その有効性等の研究の結果を待ち、そうしてから、備蓄が必要なのかどうか、流通しているもので足りるのか足りないのか、そうしたことを含めて考えるということになろうと思っておりますが、まずは研究の結果を待ちたいと思っております。
 

青山(大)委員

本当に、日本以外のほかの国々が、まさにこの治療薬ということで、日々状況は変わってくるわけでございます。私は、その候補であって今現在も、まさに今副大臣も答弁あったように、この質問主意書の答弁にもあるように、カレトラやレムデシビルについても現在も患者に投与されているわけですから、今のうちにそういったある程度備蓄、いつでもある程度の量が使える体制を早目に決定することが必要ではないかと思いますが、いかがでしょうか。
 

橋本副大臣

委員が今御質問をいただいていることというのは、まさにその治療薬が今確定しているものがない、なので多くの方が不安に思っていらっしゃる、そのことを私たちもしっかり受けとめなければならない、このように思っております。ですから、先ほど申し上げているように、まず研究をきっちりしていくということが大事だと思っております。  私ども厚生労働省は、残念ながら、薬害というものをたくさん生んだ歴史を持っています。感染症が今大変にはやっていて、これに対して一刻も早く対応しなければいけないという思い、そのことはしっかり受けとめますけれども、同時に、だからといって、決めた手順を飛ばすというわけにもいきません。  一歩一歩、地に足のついた対応を遅滞なくしていくことでしっかりと御期待に応えていけるように、私たちとしては全力を尽くして取り組んでまいりたいと思っておりますので、御理解を賜りますよう、よろしくお願い申し上げます。
 

青山(大)委員

まさにおっしゃった薬害、もちろんこれは大変なことですし、わかります。アビガンについても、催奇形、妊婦さんに投与しちゃうとそういった大きな副作用があるというふうにも聞いておりますし、もちろん、その使い方に関しては非常に慎重になるのは当然だと思いますけれども、政府が治療薬研究を行っており、検証中であることをもっと国民の皆様に周知、そして積極的な情報発信を私はもっとすべきじゃないかと考えます。  今現在も新型コロナウイルス感染症について不安をあおるような情報ですとかデマが散見される中で、新型コロナウイルス感染症の治療薬の研究が日々行われているという状況そのものをもっと発信することが、過剰な不安や、それによって引き起こされている不必要な混乱を防ぐためにも、私は意味のあることだと考えます。  治療薬の検証結果を得られるまで慎重であることはもっともですけれども、感染症拡大の影響を受けての経済対策のほかに、そもそもこの事態を根源的に収束させる方法として、新型コロナウイルス感染症治療薬研究に取り組んでいる国の姿勢をもっと発信していくべきだと考えますが、政府の見解を伺います。
 

橋本副大臣

委員のお気持ちというか思いというものはしっかり私たちも共感をするし、そうしたことは必要だとも思います。  同時に、今研究をしている、それは有効性と安全性についてということでございます。逆に言えば、安全性が確立されていないものを、今、患者の方に同意をいただいてまさに実験をしているところであります。どのような結果が出るか誰にもわかりません。だから研究しているんです。だからこそ、私たちは、その内容とか今どういうことをやっているということをつぶさに申し上げることは、その人のためにも控えるべきだというふうに思っております。  もちろん、きちんと結果が整い、そして医療機関にこれが提供され、準備が整った、私たちはそれをできるだけ早く実現をしたいと思っておりますが、そうしたときにしっかりとそのことをお伝えをする、大事なことだと思います。そうした気持ちをしっかり受けとめて、これからも取り組んでまいりたいと思います。