第201回国会 衆議院 財務金融委員会 第15号 (令和2年5月12日(火))

末松委員

共同会派の末松義規でございます。  まず、改めて、コロナ関係でお亡くなりになった人に哀悼の誠をささげさせていただくと同時に、また、闘病中の方にお見舞いを申し上げ、そして、コロナと戦っている第一線の方々に敬意と感謝をささげさせていただきたいと思います。  さて、きょうは、治療薬の問題そして家賃の問題を中心に質問させていただきます。  私の方で、まず治療薬ということが極めて重要だということで、治療薬が普及すれば、コロナの不安というものが非常に和らいでいって、それが大きな転機となっていくということでございます。これがまさしく今回の危機管理の要諦だと思っているところでございます。  私の方で、前回の質問でも、希望の星であるアビガンについていろいろと、早く治療薬としてやってくれということを言ってきましたけれども、この前回の質問のときは四月ですけれども、アビガンの承認が、四、五、六と三カ月、治験というものをやって、そしてその後、検討して決定をするような言い方をされていましたけれども、そんな悠長なことを言っていないで、何とか一刻も早くという思いで考えたところですけれども、アビガンも、三千件の投与を行って、よい結果も報告されていると聞いております。  これらを背景に、四月二十七日には、日本医師会が高齢者へのアビガン適用を積極的に要請したということ、また、四月三十日には、福岡県方式といって、現場の医師にアビガンの使用を判断させるような動きも出てきております。  日本の死亡事例でも、アビガンが早期に投与されていれば助かったケースも多数あったのではないかという医療関係者の話も聞いているわけでございます。  一方、安倍政権も、五月末にアビガンに何とかめどをつけて承認をしたい、そういう前進が見られているところですけれども、いまだ承認とはなっておりません。  一刻も早くこの承認をすべきではないかと考えておりますけれども、厚労省のお立場を改めてここでおっしゃってください。
 

橋本副大臣

お答えをいたします。  委員からは先日もアビガンにつきましてのお尋ねをいただきまして、答弁をいたしましたところでございます。  その後の展開ということで、今委員からも御紹介いただいたとおりのことでございますし、また、先日は、レムデシビルという別の薬について、これは、米国での特例の使用許可が出たということをもちまして、我が国におきましても特例承認制度を適用して承認をしております。  アビガンにつきましてですけれども、これは、今お話がありましたように、観察研究ということではありますが、三千例近い投与をしているということでございます。治験も現在やっておるわけでございまして、この治験に要する時間を可能な限り短縮するために、医療機関における手続の効率化、あるいは医療機関に対する治験等への協力依頼の周知などを行っているところでございます。  まずは、企業の方から承認申請をしていただくということが必要でございますけれども、承認申請を受理した後、速やかに審査を行い、有効性が確認されれば五月中の承認を目指したい、このように考えて取り組んでいるところでございます。
 

末松委員

そこは本当に一刻も早く承認に向かうように、当然それはやらなきゃいけないことはやらなきゃいけませんけれども、かなりの投与例で治ったケースというのがあるというふうに聞いておりますので、ぜひそこはお願いしたいと思います。  一方、今副大臣から出ましたレムデシビルなんですけれども、これは本当に、申請からたった三日間で特例承認、五月の四日に申請ですか、そして五月の七日には承認された。これは、特例承認という制度が、海外の承認事例というものを前提にやるということなんですけれども、トランプ政権だけが、今アメリカで承認をされておる。  だから、今、トランプ政権の状況も、このレムデシビルの承認について、バーニー・サンダース上院議員が、この決定に至るプロセスが非常に不明確だということをおっしゃったり、あるいは、レムデシビルをつくったギリアド社に七年間も独占販売の利権を持たせるというのはおかしいじゃないかと非常に厳しく批判をされているところなんですね。  私自身は、別にレムデシビルに、これも治療薬として承認されたということであれば、これが効果があればいいなと思う方の一人なんですけれども、ただ、このレムデシビルでちょっと私は異常に思うのは、日本人の治験経験者も、たった七人しか行われていない。また、中国の使用事例もほとんど効果がなかったような酷評を受けている。また、アメリカのNIH、米国保健研究所ですか、これも、中間評価が行われたんですけれども、患者に改善効果を見込めるほどの内容ではなかったという厳しい評価がなされているし、もちろんこれは、日本での治験や観察研究というのは一切行われていないわけですよ。  私も、アビガンが、承認に至るさまざまな、どちらかというと、私から言わせれば後ろ向きとも言えるようなアビガン承認への慎重姿勢と対比すると、このレムデシビルというのは、本当にたった三日間で特別承認するという今回の超特急の措置というのは、ちょっと異例ずくめで、ある意味じゃ私は非常に違和感を感じているわけですね。それほど異例ずくめなんだろうと。  そういうことから考えると、これはいつもの、アメリカからの圧力というか、トランプ政権からの圧力がかかったときの日本のよくあるような召使対応、そんな感じにしかちょっと私には見えないというのと同時に、裏で利権のにおいがするんじゃないかと言う識者もいるくらいなんですね。  特に、アメリカという国を考えてみたら、今、百三十八万人の感染者数がいて、八万千三百七十八人の死者数という世界最大の感染者数、死亡者数となっているわけです。特に、米国民第一主義のトランプ政権がレムデシビルの供与に当たって、日本に対して特別の配慮というものがあるのかというのもちょっと疑問になるし、ひょっとしたら、アメリカ人が先だろう、他人の火事より自分の火事を消した方がいいんだという話になってくるとこれはちょっとまずいなと思うんですけれども、私が感じている違和感というんですかね、ちょっとその疑問にお答えいただきたいと思います。
 

橋本副大臣

委員からは、先日、アビガンについてということでありますが、治療薬がきちんと確立されることが希望である、こういうような趣旨で御質問いただいたと認識をしております。  もちろん、レムデシビルであれアビガンであれ、あるいはそのほかの薬であれ、今、さまざまな薬について治験等をしておりまして、その効果、安全性等を確認しているところでございますし、それが確認されれば一刻も早く使いたい、それは委員も恐らく同じ考えなのだろうと思っております。  その中で、今回、レムデシビルについて米国において緊急時使用の許可がおりた。私ども、ほかの国の状況についてもチェックをしております。アメリカが一番早かった。それも踏まえて、特例承認という制度は、ほかの国での承認などなどが行われているということに基づいてやる制度でありますから、できるだけいろいろなものを短縮をして、特例承認制度を活用して五月七日に承認をしたのであって、それをあたかも利権か何かがあってやったかのような言われ方をするのは大変心外でありますというのが私の見解であります。
 

末松委員

大変心外であるというのは、それは強く言うのは結構ですよ。ただ、私の方が、安全の確保とかということで特例承認ということだけでやれるのか、そこについて私が違和感を感じているからそれを説明してくれと言っているわけですよ。  あなたの今言ったのは、特例承認だけでやっているからそれでいいんだという話じゃないですか。だから、きちんとあなたが説明すべきことは、そこのときの、海外でもどんな事例でどのくらいやっていて、治験も、こういう効果があるから説明がつくんだよということを言わなきゃいけないじゃないですか。
 

橋本副大臣

済みません、大きな声になりましたことはおわびを申し上げます。  その上で、レムデシビルにつきましてですけれども、治験は、まずアメリカの国立衛生研で新型コロナウイルス感染症を対象に百例の治験を行われております、これはまだ継続中。それから、企業におきまして、中等度のコロナウイルス感染症、重症の新型コロナウイルス感染症について、それぞれ、千六百例それから二千四百例ということで、これは参加者募集中という状況でございまして、こうしたものが今走っているところでございます。  これまで、既存の治験ということで、中国からのレポートということで、これについては効果がなかった、これはお触れになりましたけれども、そうしたものもございました。一方で、企業が行った研究の方で、患者の軽快までの日数を縮めるような効果があったという報告もございます。  そうしたことを踏まえて、アメリカでも緊急時の使用許可がおりた、そして我が国に対しても承認の申請があったということで、私どもとしては、製造、販売後に安全性データを集めることということで医療現場に情報をフィードバックを求めている、そうしたことで安全性も含めて確認をしながら使用していただきたい、こうしたことで特例承認を行ったことであります。
 

末松委員

今、橋本副大臣が言われたことを、私の方もちょっといろいろな方でチェックをさせていただきたいと思いますので、あくまで申し上げますけれども、別に私はレムデシビルに対して否定的な考えではなくて、承認の仕組みがアビガンに対する承認のあの慎重さと全く違うから、そこのところを私は非常に違和感を持っているということなんですね。そこはまた日を改めて、聞くときは聞かせていただきます。  次に、五月八日の加藤厚労大臣の記者会見で、三十七度以上の発熱が四日間続く云々の、受診の基準とも受け取られるこういったものが変更されたわけなんですけれども、加藤大臣が、これは目安なんだ、基準のようにとられたことは本意ではなくて、自分たちから見れば国民の誤解だというような趣旨の発言をされて、私もそのときは、えっと思ったわけでございます。  なぜかというと、実際に保健所とか病院等で実際的な基準としてそれが活用されてきたんですね。私の耳にも、いろいろな方から、病院に相談したら、まだ三十七度五分以上、四日間も続いていないじゃないかとか、いろいろなことで診察を拒否されたとか、あるいはたらい回しにされたとか、とにかく、こういうことでPCR検査の拡大の邪魔になってきたんじゃないかなというふうに私は感じているわけですね。そういった中で、手当てがおくれて亡くなった方々もおられたんじゃないかという危惧もしているところなんです。  このような状況になったことに対して、そのときに、今さら、誤解でしたよという話、あたかも責任を転嫁するかのような言葉というのは、非常に私は国民の皆さんにとっても失礼だなという気がするし、そこは橋本副大臣の御認識を問いたいと思います。
 

橋本副大臣

加藤大臣が、相談・受診の目安ということでこれまでお示しをして、今も中身を直してお示しをしておりますが、私どもとしては、まさに相談・受診の目安としてお示しをしておりますし、その中でも、出した以降も、例えばそれに該当しない方であっても、その方の状況を踏まえて柔軟に判断をする等の対応を求めるような事務連絡などを出すということで、きっちりとしたまさに基準ではなくて、目安としてこれを使ってくださいということは申し上げてまいりました。  ただ、委員御指摘のとおり、あるいは私どもも報道等でも伺っております。基準のような形で、それに達していないからまだ家にいてください、例えばそういうような御案内があったようなことも私どもも耳にしております。  そういう意味で、私どもとしては、基準として使われることは本意ではなかったという意味で、誤解だったということを言われたのだろうというふうに私は思っております。  その上で、ただ、必要な方がしっかりとPCR検査を受けられるようにしなければならなかった、そして、なかなかそれができていなかったかもしれない、そういうような中で、その理由がどこにあるのかということは、まさに、もしかしたら基準として使われてしまったことそのものが問題だったのか、あるいは、それ以外の、例えば、いろいろな保健所の体制が、忙しくて大変だったというようなことだとか、あるいは、その先のPCRセンターみたいなものが手が足りていなかったとか、いろいろな理由が考え得ると思います。あるいは、その先の入院先みたいなものがいっぱいだったからということなどがあって、例えばそれを、この目安を使って説明をされたようなこともあったのかもしれないなということは思っておりますので、実際に必要な方がきちんと検査を受け、必要な対応を受けられなかったことがあるかもしれないという視点に立って、今後、どこに目詰まりがあったのかということをしっかり見直していくことは必要だろう、このように思っているところであります。
 
~中略~
 

末松委員

それは我々の案といい形でミックスすればいいと思っているんですよ。ただ、私の方が聞いたのは、財務大臣としてどういうふうなことを二次補正とかを含めて考えておられるかというのが私の質問だったんですけれども、まあいいですよ、答えなくて。ちょっと先を急ぎます。  今度は個人の家賃の場合なんですけれども、これは厚労副大臣に聞きますけれども、今、私、地元の市役所の関係の職員から悲痛な悲鳴を聞いているわけですよ。  どういうことかというと、今、住居確保給付金というのがあって、これは市町村が四分の一負担しなきゃいけない条件になっているんですね。そうすると、市町村は今いろんな支出でもうあっぷあっぷしているわけですよ。そういったときに、市町村が財政不足を理由にこれを抑え込むということをやらざるを得ないというような声が私の地元から聞こえてくるんです。  ですから、私の方としては、この住居確保給付金については、法律上は四分の一というのがあるからそれは仕方がないかもしれないけれども、それが実質的に市町村の負担にならないように、これを実質的には国が全て負担をしてもらうという形でやってほしいと強くそこは願っているんですけれども、要望したいんですけれども、いかがですか。
 

橋本副大臣

お答えをいたします。  住居確保給付金については、新型コロナウイルス感染症による影響等も踏まえまして、支給対象の拡大等を行っているところでございます。  今お話がありましたとおり、この給付金は、生活困窮者自立支援法における必須事業として定められておりまして、国と自治体の役割分担のもと、生活保護と同様に、要する費用の四分の三を国が負担し、四分の一を自治体が負担をするということとされております。この四分の一分については、地方交付税措置等で一定の支援がなされているところでございます。  この給付金そのものは、法律に基づく必須事業として義務的経費となっておりますから、申請した方が支給要件を満たせば支給されるものでございまして、今、私どもとしては、例えばその要件を満たしているのに支給されない、そんなことがあってはそれは問題だと思いますが、そのようなことは今のところ耳にはしていないところであります。  ただ、またそれはそれとして、その交付事務をされる自治体の方で御負担になっているんだというような今委員のお話でございましたので、そうしたことがあるのかないのか、きちんとアンテナを高くして確認をさせていただきながら、また何か考えられることがあるか、見ていきたいと考えております。
 

末松委員

本当に、地方も財政が全然干上がってきているので、今おっしゃられたように、そこのところはぜひアンテナを高くして、必要であれば実質的に市町村が負担しないという形にしてほしいと改めてお願いします。  それから、この住宅確保給付金で、今いろんな対象を拡大してもらって、夜学の学生なんかもやってもらっているということで、これは非常にいいことだと思うんですけれども、普通の学生さんであっても、頼るべき実家もコロナの経済的な悪影響で大変になっている、仕送りも滞っている、バイト先も断られた。そうすると、高校や専門学校や大学等をやめなきゃいけないような、ぎりぎりのところにある学生さんもいるわけですよ。  こういう普通の学生さんに対しても要件を、学生だから、ちょっと対象を厳しくするというんじゃなくて、要件を緩和して、しっかりと住宅確保給付金の対象とすべきではないかと思うんですけれども、いかがですか。
 

橋本副大臣

住居確保給付金につきましては、もともと、離職等により経済的に困窮し、住居を失うおそれがある方等に対し、就職活動等を要件として家賃等相当額を支給するものでございまして、学生の修学の継続が目的というものではなく、安定した住居の確保と就労による自立を図ることをそもそも目的としているものでございます。  そうした、法律の中でも、「就職を容易にするため住居を確保する必要があると認められるものに対し支給する給付金」、こう明記されているものでございまして、そういう意味で、今お触れいただきましたけれども、専ら学費や生活費等をみずから賄っていた学生さんが、アルバイト等がなくなったということで住居を失うおそれが生じた場合などであれば、今の法律の趣旨にも合致するということで支給され得るということはQアンドAでお示しをしております。  一方で、まさに勉学に励まれている学生さん、その親御さんからの例えば仕送り等々で生活をしておられた、もちろんバイトもしておられたと思いますけれども、そうした方については、基本的には、高等教育の無償化の枠組みの中で、入学金や授業料のみならず家賃支出も加味した学生生活の費用をカバーするために十分な給付型奨学金の支給を行う、あるいは、今般の感染拡大などの影響を受けて家計が急変した場合には、それを加味した所得見込みでの支援の判定を行うこととしておりまして、そうしたことで、しっかりとその生活を支えていっていただきたい。  また、必要があれば、学生さんであっても緊急小口資金の特例貸付けの活用というのも可能でございますので、そうしたものも通じて、必要な方に迅速な支援を行ってまいりたいと考えております。
 

末松委員

とにかくそこは検討してください。  せっかく呼んでいるので、URの方で、今いろいろな家賃支援がどうなっているかと私も事務的に聞きました。そうしたら、一応分割支払いということで、通常六カ月まで分割支払いを認めるということで、それがどうしようもないときには十カ月まで分割支払いを認めるというところまで頑張っておられるということなんですけれども、できたら、納税、支払いの猶予に横並び、これは一年ですけれども、最長一年間、十カ月を二カ月足して一年間ですね。特にコロナの第二波が来たらまたちょっといろいろな大変な状況になるので、URの住宅の方ができるだけコロナの影響を受けずに住めるように、そこをちょっと検討をお願いしたいと思いますが、URの方、お願いします。