第201回国会 衆議院 経済産業委員会 第10号 (令和2年5月15日(金))

斉木委員

立国社の斉木武志です。  きょうは厚労副大臣にもおいでいただいておりますので、退室していただくのを早めるために、まず冒頭、お聞きしたいというふうに思います。  きのう、私も六時からの総理会見を聞いておりまして、目玉政策は一万五千円への雇用調整助成金の引上げである、八千三百三十円の上限を取っ払って一万五千円にすれば、まあ、八千三百円ですと月二十日勤務として十七、八万円ぐらいまでしか月給でカバーできません、一万五千円出せば二十日勤務で大体三十万円以上、成人男性の、家族を養うような給与を見ることができる、これがきのうの総理の目玉政策だったと私は拝聴したんですけれども、これを受けられずに、そもそも申請を断念してしまう中小事業者が非常に今多いな、このまま一万五千円への上限引上げをやるとハローワークとかが非常に大混乱するのではないかなという懸念を持っております。  また、きょう、梶山大臣にも、中小企業が非常に、特に零細企業が、申請を受け付けられないんじゃないかという疑念を多く持って断念しているケースが多々ありますので、その中小企業保護という観点からも、お二人にお聞きしたいなというふうに思います。  まず、橋本副大臣、私、いろいろ、電話で今、中小事業主とやりとりしているんですけれども、例えば、和風の割烹料理屋さんがあります。役員が、旦那さんが社長、そして奥さんが専務で調理場で魚を切っています、さばいて調理している。弟さんが常務、やはり調理場で仕入れもやるし調理もやっている。従業員を二名雇っています。こういう和風割烹料理屋さんとかレストランは非常に多いですよね。家族経営プラスアルバイト、家族経営プラス二、三名の従業員で回している料理屋さん、非常に多いケースです。この従業員に対しては申請できるんだけれども、私、そして妻、そして弟、これは要するに五分の三は役員なわけですよ。  今、雇調金の条文を見たんですけれども、厚生労働省が示している対象労働者というのは、「ロ 法人の取締役及び合名会社等の社員、監査役、協同組合等の社団又は財団の役員等」は該当しないというふうに例示をされておりまして、ですので、このままだと、妻や弟の分、私も含めて、申請しても認められないから、これはもう従業員の分を払っても、ちょっと廃業を視野に入れざるを得ないとか。  また、伝統産業、例えば、私の地元は越前焼、漆器の産地なんですけれども、何とか商店とか何とか漆器店というような形で青色申告をしている事業者は、会社登記をしていません。社長さんが旦那さんで、奥さんとお母さん、同居親族のみで漆器の卸とか製造をやっている、若しくはまき絵の絵師でつけている。そういった末端に行くと、日本のものづくりというのは、家族経営の家内制手工業、これで圧倒的に支えられているのは、特に伝統産業の産地。今、店も閉まっているし、業務用漆器なんて全く売れません。ですので、七割売上げが減少している。そういった中で、当然、奥さんの給与も払えない、お母さんの給与も出せない、でも雇調金も申請できない。そもそも雇用保険適用事業所ではないし、そして、奥さんやお母さんは労災とか、雇用保険被保険者でないと申請できないんじゃないのというケースが非常に多くある。  それで、省庁の職員と話していても、やはりなかなか難しいというような返答が多々返ってくる。このままだと、日本のそういったものづくりの現場も、雇調金の適用を受けられずに崩れてしまうんじゃないか。アフターコロナで、幾ら生産してくれといっても、廃業してしまうというところがこれから頻出しそうなんですよ。  ですので、ここのところをどうカバーしていくかというのは、非常に強い危機意識を持って適用範囲の拡大、一万五千円はいいです、私も大賛成です、適用範囲を拡大しないと、救われずに、そもそも申請すらせずに潰れてしまう事業者が多発しそうなんですが。  まず、厚労副大臣、この適用範囲の拡大に関して、例えば役員であるとか、そもそも会社登記をしていない青色申告事業者の親族従業員、ここに適用拡大するお考えはありますか。
 

橋本副大臣

お答えをいたします。  雇用調整助成金については、事業主の雇用維持の取組を支援する制度でございまして、その対象となる労働者は、助成金を受けようとする事業所における雇用保険の被保険者となっております。ですので、雇用調整助成金の今の枠組みからしますと、事業所の被雇用者という労働者性がどうなのかということを、厳密に言うと、個別に判断をして決めるということになるわけでございます。  ただ、その中で、今お話がありましたような、個人事業主の場合、その事業主と同居している親族というのは、家計等々、その親族と一体化をしている場合がある、このようにみなされまして、原則として被保険者にならない、労働者性がないというふうに見られるということでございますので、雇用調整助成金の対象としてはなりません。ただ、原則としてということですので、例外もある、最終的にはそれぞれの状況によって判断、こういうことになります。  また、例えば役員をしている場合、これも原則として被保険者にはなりませんが、一定の条件を満たす場合には被保険者として取り扱われ、対象者となり得る場合もあります。具体的に申し上げますと、役員であって、同時に従業員としての身分を有する者は、報酬支払い等の面から見て労働者的な性格の強い方であって、雇用関係があると認められる場合は被保険者となりまして、その場合は雇用調整助成金の対象となるということでございます。正直言って、答弁しておりましても、わかりやすいとは私もよく思いませんが。  ただ、私たちとしても、要するに、機械的に、役員だからだめとか親族だからだめということを言うのではなくて、できるだけ個々の状況に応じた判断をその労働者の不利にならないようにしたいということでそうした取扱いをしているところでございまして、もしかすると現場においてそうしたことが必ずしも徹底できていない場合があるとすれば、やはりもう少し、今申し上げたような基本原則、それから実際にどのような判断を細かいところでしていくのかということについて周知をしていくことによって、できるだけ対象になる方がしっかりと雇用調整助成金を受けられるように取り組んでいくように努めていきたいと考えております。  また、そもそも、今お話があった、例えば割烹さんだとか、伝統的なことをされておられるような小さい事業者さんをどのようにサポートをしていくのかということは、私どものみならず、政府全体として、経済産業省さん、中小企業庁さんとも御協力をしながらしっかりそれは取り組んでいかなければならない課題だ、このように思っているところでございます。
 

斉木委員

今言った副大臣の趣旨が、ハローワークの窓口とか実務を担う社保労務士会に伝わっていないなと私は思います。地元のハローワークへ行ったけれども、そもそも役員さんはだめですよと。社保労務士にこの書類の作成を頼んでも、役員さんは一律だめと厚労省が言っていますというのが、大体、今私の耳に入ってきている日本じゅうの中小事業主の方の声です。これは改善しないといけないですね。  厚労省の職員と話をすると、いや、例えば、その和風割烹料理屋さんのケースでも、弟さんが別居親族であって通ってきている、妻と同居している場合には認められないけれども、同居親族は認められないが、別居親族が通ってきている場合には、じゃ、その社全体として社長さん以外は救われますよみたいなことを厚労省の職員さんは答弁しています。  でも、私からそう説明を受けて、ハローワークへ行ったら断られました、役員はともかく一律だめなんですと。社保労務士に言っても書類さえ書いてくれない、そういう声がもう頻々と来ていまして、このままだともう廃業を選ぶしかないという声なんですが、その辺の徹底はどうお考えですか。
 

橋本副大臣

お答えをいたします。  私どもの思っていること、あるいは取扱いとしては、先ほど答弁申し上げたとおりでございまして、ただ、ちょっと繰り返しになりますけれども、必ずしもそれが現場あるいは社労士さんなどにおいて徹底されていないということもあるというお話でございますので、やはりもう少しきちんと、そうしたハローワークの窓口の担当者の現場の方あるいは社労士の方々にも、今のようなことであるということをしっかりとお伝えをする努力をしていきたいと考えております。