第201回国会 衆議院 外務委員会 第9号 (令和2年5月22日(金))

穀田委員

日本共産党の穀田恵二です。  初めに、五月十三日の質問に続き、在日米軍基地での新型コロナウイルスの感染拡大問題について聞きます。  私は、十三日の質疑で防衛省の渡辺政務官に対し、在日米軍の施設・区域から日本に入国する米軍関係者について、米軍が行っている新型コロナに関する検疫の実態を明らかにするように求めました。しかし、渡辺政務官の答弁は、自衛隊では米軍と共同で検疫訓練まで行っているにもかかわらず、防衛省としては報告を受けていない、検疫に関しては厚生労働省に聞いてほしいというものでした。  そこで、改めて厚労省の行政文書を調べたところ、厚労省の検疫所では、日米地位協定に基づく米軍側の検疫実施状況と題する文書を年度ごとに保存していることがわかりました。私の資料要求に対して、昨日、厚労省の検疫所業務管理室から三つの文書が提出されました。これです。三沢基地を管轄する仙台検疫所と八戸出張所、岩国基地を管轄する広島検疫所の徳山下松・岩国出張所で保存する文書であります。  文書を見ますと、検疫では、米軍側の検疫実績として、二〇一八年四月から二〇一九年三月までの一年間、航空機とそれから船舶の別に、検疫数、さらに検疫実数、人数を毎月、一覧表にまとめています。  厚労副大臣に聞きますけれども、これらの文書はどういう名目で作成、保存されているのか、明らかにされたい。
 

橋本副大臣

お答えをいたします。  平成八年の日米合同委員会における人の検疫に関する合意事項といたしまして、アメリカ合衆国のために又は合衆国の管理のもとに公の目的で運航される船舶又は航空機が合衆国に提供された施設及び区域を通じて日本国に入国する場合は、合衆国軍隊の実施する検疫手続の適用を受けると定められております。また、当該合意では、合衆国軍隊の検疫官は、検疫手続を実施し仮検疫済み証を交付したときは、所轄の日本国の検疫所長に通報すると定められております。  御指摘の文書は、日米の合意、今申し上げたものに基づきまして、合衆国軍隊の検疫官より検疫所長に通報された仮検疫済み証に係る実績を記録するため、月ごとに作成し、行政文書として検疫所で保存しているものと認識をしております。
 

穀田委員

つまり、今お示しした文書ですけれども、これらの文書は、在日米軍の施設・区域から日本に入国する米軍関係者に対し米軍が行った検疫実績について、基地を管轄する検疫所が米軍から受けた通報を月ごとにまとめた文書ということになりますね。  厚労省は、在日米軍関係者の新型コロナの感染実態についてどう言っているか。個別事案の詳細は日米間で調整の上、公表されることになっており、答弁は差し控える、こう一貫して繰り返しているわけですよね。しかし、厚労省の検疫所では、この文書にあるように、毎月の米軍側の検疫実績を年度ごとに保存している。このことからも、基地を管轄する検疫所では、新型コロナに関しても米軍が実施した検疫実績についても把握しているということで理解していいですね。
 

橋本副大臣

今御質問いただいている資料、お示しをしたものについて申し上げれば、それはその検疫を、先ほど申し上げましたとおり、合衆国軍隊の検疫官が検疫手続を実施し仮検疫済み証を交付したときは私どもの検疫所長に通報するということになっているということに基づいて記録をしたものでございますので、そのように御理解をいただきたいと思います。
 

穀田委員

前の質問と同じ答えをしていたんじゃ困るんですよ。私が聞いているのは、新型コロナに関しても米軍が実施した検疫実績についても把握してんねやなと聞いているんですよ。
 

橋本副大臣

検疫というのは、別に新型コロナかどうかにかかわらず、さまざまな感染症等々が我が国の中に上陸をするということを防ぐために行われているものでございまして、そうした、一般的に検疫手続というのは行われているものでございますから、その実績につきまして私どもの方で通報をいただいたものを記録している、その結果を示しているのがその資料であるということでございます。
 

穀田委員

米軍の行った検疫実績を年度ごとに保存している以上、新型コロナに関しても米軍がどの程度検疫を行っているのかを把握していることは明白なんですよ。  皆さん、今、厚労省も、それから検疫の問題全般についても、そんなもの、感染症一般について同じだなんて、そんな話、今どき通用すると思ったら大間違いで、もしそんなことを厚生労働副大臣が言うとしたら、そうすると、新型コロナと感染というのは大した違いはないのかとなるじゃないですか。それほど注目している、今、世界が注目していて、毎週外務省だって数字を出していただいて、これはどうなっているんだという話をしているときに、それは別に笑っているか笑っていないかについてとやかく言わぬけれども、やはり感染症としていろいろなことで出るうちの一部だから、それはあるでしょうみたいな話は、それはあきまへんで。  では、そうすると、先ほど述べたように、答弁は、調整の上、公表されることになって、差し支えるという答弁をしているわけですね。だから、米軍の運用を理由に国会や国民に知らせないということは問題だと。しかも、これ、出されている文書は全部黒塗りなんですね。  問題はそれだけじゃないんです。  各検疫所が定める標準文書保存期間基準、これを見ますと、日米協定に基づく米軍側の検疫実績を記した文書の保存期間が三年だったり五年だったり、結局、検疫所によってばらばらに設定されているんですね、それは御存じかと思うんですけれども。更に重大なのは、横田基地を管轄する東京検疫所、嘉手納基地を管轄する那覇検疫所では、この米軍の検疫実績を保存対象にすらしていない。  なぜこのような文書扱いをしているのか、お示しいただきたい。
 

橋本副大臣

お待たせをして、失礼をいたしました。  この資料についてでございますけれども、なぜつくっているかというのは先ほど申し上げたとおりでございますが、この保存につきましてはそれぞれの検疫所において取り扱われているものでございまして、一個一個の検疫所がなぜそのような扱いをしているかということにつきまして、ちょっと私も今つまびらかに承知をしておりませんけれども、そのような扱いの中で、それぞれの検疫所で判断をされているということだと承知をしております。