第201回国会 衆議院 科学技術・イノベーション推進特別委員会 第3号 (令和2年5月28日(木))

篠原(豪)委員

質問の機会をいただきましてありがとうございます。篠原豪でございます。  コロナがあって、このポストコロナ社会と科学というのはどういうふうになっていくのかということが、やはり考える中では大切なんじゃないかと今の段階で思っています。  質疑に当たって、一つ、昔、石川啄木さんが「林中の譚」という物語を書いていまして、今は絵本になっているんですけれども、そこに書いている一節があるので、ちょっと御紹介させていただきたいと思います。  ああ、とうとう人間の最悪の思想を吐き出したな。  人間はいつの時代も木を倒し、山を削り、川を埋めて、  平らな道路を作って来た。  だが、その道は天国に通ずる道ではなくて、  地獄の門に行く道なのだ。  人間はすでに祖先を忘れ、自然にそむいている。  ああ、人間ほどこの世にのろわれるものはないだろう。  サルはそう言い終わると、  人間が気の毒でたまらなくなりました。  木の下の人間は、サルに真のことを言われたと感じつつも、  しかし、それを認めることはできませんでした。  そして腹をたて、歯ぎしりをして林を出ようとしました。 これは、どんどんどんどんとグローバル化が進んで、文明が発達をする中で、人類社会というのがこれからどういうふうになっていくんだろう、このことを著した物語なんですね。そういった中で、文明というのはいろいろなものを便利にし、移動をどんどんどんどんと世界の中でしていく中で、今回起きたのがコロナの問題だったのだろうと、一つの問題として思っています。  ことしに入るまで、世界じゅうで外出自粛が続く状況を誰が予測したのか。新型コロナウイルスはまさにパンデミックでございますので、かくも短時間の間に地球全体をのみ込んで、我々の日常を一変させました。百年前にスペイン風邪がはやったときには、日本でも何十万人の方々が亡くなったという記録が残っていますが、一度のパンデミックが起これば人々の生活がこれほどまで変わるということは、恐らく多くの方々の脳裏にはなかったんだと思います。  そして、五月二十五日、政府は緊急事態宣言を全面解除しました。これは、新型コロナウイルスが制圧されたことを意味するものではありません。きょうの質疑の中でも、いかにワクチンをどうしていくのかという話で、解決しているものではないということでありますし、これは、経済活動がもたないので規制を緩和したにすぎないんです。基本的には、ワクチンが開発をされ、それが普及するまで感染の拡大は続きますので、第二波、第三波に備えていく継続的な努力が不可欠です。  そして、今回の我が国の動きを見てきてわかったことは、やはりパンデミック感染というものに対しての準備が全くなされていなかったということであります。そのことに対しましてもどうしていくのかということ、そして、そういったことがきちっといくまで、きっと自粛がいろいろなところで日常化していくんじゃないかと思います。  現状の感染症対策がポストコロナ社会を大きく規定することを踏まえると、やはりこれはどうあるべきかということで聞いていきますので、よろしくお願いいたします。  今回のコロナウイルスは、動物から人に感染した、病原体が人から人へ感染してパンデミックを引き起こしたということですが、なぜ起きてしまったのかということをもう一度評価していただきたいと思います。お願いします。
 

橋本副大臣

なぜ動物から人への感染が発生したのかというお尋ねでございます。  現時点で、最初にどのように新型コロナウイルスが人に感染したのかということについて、正確に特定できていないものというふうに承知をしております。  WHOの報告によりますと、人から分離された新型コロナウイルスの遺伝子配列がコウモリから分離されたコロナウイルスに近いことから、コウモリが今般の新型コロナウイルスの起源となった可能性が考えられる一方で、人間とコウモリの間の密接な接触というのは通常限られておりますから、人への伝播は別の動物種が中間宿主となって起こったということも考えられます。ただ、この中間宿主となる動物は、現時点でまだ確定されていないということでございます。  この感染源等につきましては、各国の研究機関等において広く調査がなされているものと承知をしておりまして、政府としても、こうした調査に対し、必要に応じて協力をしてまいりたいと考えております。  なお、なぜ動物から人への感染がということにもう一言付言をいたしますと、恐らくは、ウイルスというのはコウモリならコウモリの中でいろいろな変異を重ねていろいろな種類ができている、そして、その中で人に感染する能力を持ったウイルスがたまたま接触をする機会等があって人に感染をしたというふうに考えるのが自然だとある人に言われて、私はなるほどと思ったことがありますが、そういうふうに捉えることもできるのかなと思います。
 
~中略~
 

篠原(豪)委員

今、竹本大臣から、基本的人権は守っていくんだ、これまでの、ジョン・ロック以降、ずっと我々が獲得してきたものをしっかり守るんだと言っていただいたということは、本当に安心をいたしました。  これは五月中に提供を始める予定で、日本政府と、先ほどグーグルとアップルのお話がありましたけれども、これは一般社団法人のコード・フォー・ジャパンがやるということで、この技術というのは、スマホとブルートゥースを使って記録する情報に定期的に変わる符号をつけることで、個人特定に情報がつながらないということなんですね。ですので、それでしっかりとやっていっていただいて、今の思想に基づいて、引き続きそれは変わることのないように求めたいと思いますので、どうぞよろしくお願いいたします。  次は、やはりこれは人権にかかわってくるんですが、隔離と差別の問題。これは橋本厚労副大臣に伺いたいと思っていますが、各国が感染拡大を防ぐために、封じ込め政策、ロックダウンを採用しています。日本は、ロックダウンという厳密な対策がとりにくいので、三密を避けるようにと要請しつつ、感染者の濃厚接触を追跡してクラスター感染を塞ぐ方法を講じています。こうした隔離措置が、国民の差別感情や利己的、排他的なムードを最近すごい助長しているように感じるんですよね。  危機の渦中に、エッセンシャルワーカーと呼ばれる、医療関係者、スーパーの従業員などに対する陰湿ないじめや有害なデマの拡散が頻発していまして、この社会、大丈夫なのかなというぐらい、もう本当に、戦時中の隣組のように、周りの自粛状況を監視して違反していると思った人を脅かす、そういうやからまで出てきているんですよ。  海外でも、ウイルスを広げるという観点から、一方的な理由で欧米人がアジア人を差別して、例えばインドのヒンズー至上主義者がイスラム教徒を非難しているとか、そういうことがニュースになっていて、世界がどんどん危ない方向に行っているなというふうに思っています。  人類共通の敵と戦っているはずなので、本来は。お隣のかかった人と戦っているわけじゃなくて、本当に戦うべきは、コロナウイルスとこのパンデミック感染症を人類がどう乗り越えていくかということなんです。にもかかわらず、市民の間に分断が広まっていることを非常に残念に思います。  余談ですけれども、インドの階級的身分制度というのが、昔学校で習いましたカースト制度も、やはりこれはインドに侵入してきたアーリア民族が高温多湿のガンジス川流域を支配下に置くに当たり、感染症対策として、流域住民を対象に接触を禁じるとか、そういったところに起源があるというような、だから、人類というのはやはり同じようなことをやっているところがあるのかもしれない。  なので、今だからこそ、今、日本も、SNSとかいろいろなものを通じて、いろいろなものを張っちゃったりして、何か車にいろいろ張っちゃったりしてやっているので、こういったものが市民の分断を助長しないようにしていただきたいというふうに政府には思っています。  この点についてどのような方策を講じているか、お伺いします。
 

橋本副大臣

お答えをいたします。  まず、私どもの対策、新型コロナウイルス感染症の拡大対策として、御指摘いただいたように、三つの密を避けるといったこと、あるいは、この間解除されましたけれども、非常事態宣言をし、その中で外出自粛等をお願いする、こうしたことを行ってきたこと、さらには、積極的疫学調査というものを行いまして、感染された方が見つかったらその濃厚接触も含めて自宅で待機をしていただく、そうしたことを取り組んでまいりました。  そうしたことが、あるいはロックダウンをした海外の例があろうがなかろうが、いずれにしても、差別的なことが日本国内外においてあるということは、それはそれで残念なことだと思っておりますし、感染症と差別という話は、ハンセン病の、我が国にはそういう例があったりするわけで、大変に重要な問題で、克服すべきことなんだろうと思っております。  感染症の差別を防止するためには、国民一人一人にまずは感染症の知識や予防策を正しく御理解をいただくことが大事でありまして、厚生労働省あるいは国立感染症研究所では、国民の皆様に正確な情報を周知するため、新型コロナウイルスに関する基本情報や感染予防策など、必要な情報についてホームページなどを通じて周知をしているところでございます。  委員お話しになったように、ともに克服すべきはウイルスなのだということなので、そうしたこともしっかりと含めて発信をしてまいりたいと考えております。