第204回国会 衆議院 予算委員会 第11号 (令和3年2月16日)

橋本委員

自由民主党の橋本岳でございます。  今日は、五人の参考人の先生方にお越しをいただきまして、貴重な意見の陳述をいただきました。それぞれ、いろいろなテーマにつきまして、大変勉強になる陳述をいただきましたこと、お忙しい中お越しをいただきましたことと併せて、まず御礼を申し上げます。誠にありがとうございます。  私からは、主にコロナの今の状況についてと今後についてお尋ねをしたいと思っておりますので、主に舘田参考人に対しての御質問になろうかと思います。必ずしも皆様に質問できないかもしれません、まずそのことを御容赦をいただきたいと思いますが、予定していた質問に入る前に、一点、ちょっとひっかかったことがあるので、舘田先生それから住江先生に、一つお考えをお尋ねしたいことを申し上げたいと思います。  住江参考人のお話で、感染症対策の基本は、検査をし、そして陽性になった方を隔離していくのだ、これが基本だというお話がございました。まさにそれはそうなのだろうと思っています。  一方で、今の日本の感染症法と私たちが呼んでいるもの、正式に言いますと感染症の予防及び感染症の患者に対する医療に関する法律なのであって、それは、ハンセン病に対する我々の過去の経緯等を踏まえて、隔離という言葉を使わない、入院をする、そして、患者さんに対して、社会に蔓延を防止するとともに、その人に適切な医療をするということを基本にするのだということで、わざわざ前文をつけて法律を作った経緯があります。  隔離、停留という言葉があるのは検疫法なのであって、感染症法にはない。今の日本の厚生行政の基本としてそこは忘れてはいけないことなのだと思っていますので、済みません、参考人のお言葉に異を唱えるようなことは大変失礼なことだとは思うのですが、我々は常に、感染症の問題を議論するときに、国会でもその議論はあるので、そのたびごとに私は少し嫌だなと思っていたのですけれども、必ず気にしなければいけないことだと思っています。  そのことについて、舘田参考人それから住江参考人に、一言感想をいただければと思います。

〔委員長退席、山際委員長代理着席〕
 

舘田参考人

御質問ありがとうございます。  感染症に対する対策の一番大事なものは、私はやはり、それを発症させない、広げないということですよね。ですから、予防がまず第一だと思います。その上で、発症した人をできるだけ早く検査で見つけて、そして適切に対応していくという、そういった流れが大事だというふうに感じています。  以上です。
 

住江参考人

どうも御指摘ありがとうございました。  確かに、隔離という言葉について、私自身が反省するところもございます。改めて、そういう受け止め方をされたことをここで陳謝したいと思っています。  ただ、やはり、感染症の大原則という枠で、感染症法という、そういう概念とはまた別に、感染症対策の大原則という立場から言わせていただきましたので、そのことを御理解いただきたいと思います。
 

橋本委員

大変恐縮をしております。決して陳謝をということで御指摘をした、申し上げたわけではないのですが、ただ、国会での議論でも結構、先ほどの言葉遣いをされることが多くて、適切に、もちろん、社会の中にずっと感染症の方がおられると蔓延してしまいますから、そこを防ぐということが大事ということはもちろん我々は心得た上で、ただし、隔離すればいいんだという話ではなくて、その方々に対しては必要なケアなりトリートメントをするということも併せて大事なのであって、そのことは、ある意味で隔離すればいいんだという考え方が仮にあったとすれば、それが差別だとかそういうことにつながっていった我々のつらい思い出というものがありますので、我々も心しておきたいと思って申し上げた次第であります。ありがとうございます。  続きまして、ちょっと今の状況等々についてお尋ねをしますが、緊急事態宣言もあって、新規の感染者数が減少していっている、重症者数とも減り始めているというのはありがたいことだと思っています。  そこに対して、舘田参考人からは、攻めの検査をするのだ、急所に対して徹底的な検査をするというお話がありました。そのお話そのものは理解をする一方で、例えば、国会でのいろいろな先生方の御議論の中で、希望する方にとにかくできるだけ検査をすればいいんだというお話をされる方もおられます。  急所にちゃんと攻めをするのだということと、希望する方は誰でもみんな検査を受ける、その数が大事なんだみたいな話というのは、いささか異なるんだろうと思っていますので、そこの違いについて、舘田参考人から補足をいただきたいと思います。
 

舘田参考人

御質問ありがとうございます。非常に大事なポイントだと思います。  いわゆる本人が不安だからとか、あるいはビジネスのためにとか、そういうふうな形での検査の希望をされる方、非常に大事なグループになると思いますけれども、そういうふうな方たちに対しましては、自費での検査をできるような、そういった仕組みをつくっていくことが大事なのかな。  一方で、やはりこれは、例えば高齢者施設であれば、入院している人たちを守らなければいけない。そういう意味で、そういう意味の人たちで、例えばその職員に対しては、無症状であっても積極的な検査をやっていかなければいけない。  ここはしっかりと分けながら、何でもかんでも検査をやる、そういうふうなものではなくて、先ほどお話ししましたように、ハイリスクでこれが必要とする人に対して積極的な検査、攻めの検査をやっていくという、ここをしっかりと考えていくことが大事だと思います。  以上です。
 

橋本委員

大変分かりやすい御説明、ありがとうございました。  まさに、本当に要所要所というのをちゃんと押さえていく。もちろん、必要な、求める人に対してそれに応えるような対策があってもよいとは思いますし、それは逆に言うと、ニーズに応じてやるということですから民間でもできますよねということと、行政としてしっかりポイントを押さえていくということが大事だということと理解をいたしました。  続きまして、舘田参考人のお話の中で、変異株についてのお話がございました。これも、今、国民の中で大変心配の種になっている大きな話題だと思っております。そして、もう、一般への蔓延、だんだん広がっていっているということも覚悟すべきだというお話もありました。そうなのだろうと思います。  もちろん、これをきちんと、例えばゲノムの解析までしてきちんと検出をしていって、その効果というか、解析をいろいろしていって、どう違うのか、そういうことをきちんと見極めていくこと、それは大事だろうと思っているのですが、ただ、今、よく分からないという状況の中で、政府は何に取り組むべきか。  あるいは、一般の人は、変異株という話はテレビ等から出て大変皆さん心配されておりますけれども、では一般の人はどうすればよいのかということについて何かアドバイスがあれば、今までと違うことを何か考えなきゃいけないのか、それとも、普通に、手指衛生をしましょうとかマスクをしましょうとか三密を避けましょうとか、そういうことを徹底していきましょうということをもう一回肝に銘じましょうねという話なのか。  そこについて解説をいただければありがたいと思います
 

舘田参考人

ありがとうございます。  変異株、変異ウイルスであったとしても、一般の人たちにできる対策というのは変わりませんというふうに私は思います。ですから、今までどおり適切に、感染を抑えるような、マスクを使う、あるいは三密を避ける、手指消毒をしっかりするという、それを徹底していくということが大事だというふうに思います。  一方で、政府の方には、行政的には検査体制をしっかり、例えば、病原性に関してはまだよく分かりません、病原性が強いウイルスが出てくるような、そういうふうな事態に対して、それをしっかりとキャッチできるような、そういうふうな検査の仕組みをつくっていくということが大事になると思います。
 

橋本委員

特に今の話の中で、政府は政府としてしっかりやることをやるということですが、一般の方について、緊張はした方がいいかもしれないけれども、実際にやることがそう変わることじゃないんだ、むしろそういう基本を徹底することなんだということでありまして、これは本当に大事なお話だったと思います。ありがとうございます。  どうキャッチするかという話に関連をいたしまして、変異株かどうかというのはゲノムの検査をするということになりますから、それはそれで大事なことなのですが、その以前の問題として、今いろいろな方法で、新型コロナウイルス感染症というものの検査というのは、最初はPCR検査しかなかったですが、抗原定量だとか抗原定性だとか、幾つかの方法が出てきました。ただ、やはり一番信頼されるのはPCR検査なのだろうと思っています。  以前、ここの委員会で私は、PCR検査の量だけではなく、質の問題、精度の管理をもっときちんとするべきではないのか、きちんと国は関与すべきではないのかということについて質問をいたしました。こちらにつきまして、やはり舘田先生から、もっとどうあるべきかということについてサジェスチョンをいただきたいと思います。

〔山際委員長代理退席、委員長着席〕
 

舘田参考人

PCR検査は、やはり、新型コロナウイルス感染症対策にして、非常に、一番大事だというふうにも思います。  その中で、御指摘のように、その精度管理ですよね。検査のキャパシティーは増えてきたけれども、正確な検査ができているのかどうかという、その精度管理に関しては、まだ遅れているというふうに思います。  そこをしっかりと精度管理をして、正しい検査結果を出せるようにすること、それは、例えば病院だけじゃなくて、街角検査についても同じですよね。街角検査に関しましても、精度管理をした正しい検査法として、そして感染対策に役立てるような、そういった方向性が重要になるというふうに思います。  以上です。
 

橋本委員

ありがとうございます。  もう少し、今の、正しい検査をする、精度を管理するために、例えばほかの国ではどういう例があるだとかいうことがあれば、もう少し御紹介いただければと思います。
 

舘田参考人

精度管理に関しては、決してこの新型コロナウイルス感染症だけのものではなくて、検査全般にわたってこれは確立した概念であり、いろいろな方法が実施されているところだというふうに思います。  それは、内部精度管理あるいは外部精度管理という形で、その陽性コントロール、陰性コントロールを、ちゃんと陽性、陰性と分けられるかどうかということを、それをブラインドでやったり、あるいは明らかな形でやったりとか、そういうふうな方法で行うということがあると思います。  ですから、そういうふうな仕組みとそういうシステムというのをどういうふうにつくっていくのか。感染研が中心に、あるいは保健所が中心に、もう既に少しずつ動きつつあるのかもしれませんけれども、それを徹底していくということが大事になると思います。  以上です。
 

橋本委員

ありがとうございます。  そうした仕組みというものをきちんと何らかの公的な形でつくっていくべきであろうと思っていますし、これは、おっしゃったようにコロナの話だけではありませんから、今後に向けてという意味でも大事な話だと思っております。引き続き取り組んでいきたいと思っております。  続きまして、ワクチンについてお尋ねをしたいと思っています。  まさに最近、ファイザー社のものが承認をされたし、そのほかのものにつきましても今後申請があるものもありますし、だんだん我々にも接種ができる日が近づいているのだろうと思っております。  ただ、やはり今現在、今時点で、一般の方からすると、まだ、ほかの人が打ってからにしようかなというようなお考えの人が多いというふうに感じています。  政府は、メリットがデメリットを上回ると思うから是非多くの方に接種してほしいということを、ここでも田村大臣が答弁をされるわけでありますけれども、残念ながら、政府がそう言ったからといってみんな聞いてくれるかというと、そうじゃないという面もありまして、どういうふうに、例えば私なりここにいる各議員の先生方が、自分の支援者とか一般の方々に、そこについてお話をすればよいのか。  もちろん、それぞれの先生のお考えもあるとは思いますけれども、簡単に、メリットがデメリットを上回るからという言葉ではやはり通じにくいと思いますので、どのようにお一人お一人の方に是非打っていただいた方がいいと思いますよということをお伝えすればよいかということについて、アドバイスがあればいただけないでしょうか。
 

舘田参考人

今、ワクチンの接種が始まろうとしている、そういうふうな状況の中で、非常に大事な問題だというふうに思います。  その中で、やはり一番の基本は情報の開示ですね。海外の情報、あるいは日本の中での臨床試験の情報、そして進行中のワクチン接種に伴う情報、そういったものをリアルタイムでオープンにして、そして、それを共有しながらみんなで考えていくという姿勢、その中で、恐らく政府とともに、先ほど言ったようなステークホルダーが、皆がお互いに議論しながら、理解しながら、それを正しい情報として国民の皆様に伝えていくということが一番大事になるというふうに思います。  以上です。
 

橋本委員

政府の姿勢としてそうあるべきだということは私たちも理解をいたしますが、もう少し、例えば個別に、私が私の友達とか支援者の人とかに打った方がいいと思うんだよねと言うときに、あるいは、先生がごく親しい人に、ワクチン打った方がいいと思う、どう思うと言われたときに、どういうふうに御説明されるかということについて、もし伺えれば、私は大変参考にしたいと思っているんですが、いかがでしょうか。
 

舘田参考人

確かに、ワクチンに関しましては、副作用の問題があるし、新しいメッセンジャーRNAワクチンということで少し心配だというふうな人が多いのも事実だと思います。  ですから、やはりこれは、私は学会の立場からして、これは新しいワクチンだから慎重に冷静に、余り、ワクチンだ、ワクチンが出たらすぐに、そういうふうに思っていると、これはひっくり返りますから、ですから、それは慎重にしなければいけないという立場でいました。しかし、冷静にそのデータ、出てくるデータを見させていただくと、かなり効果はあるし、そして、副反応に関しましても許容の範囲だなということを感じます。一医療従事者として感じます。  ですから、そういう思いはしっかりと皆様方に伝えていかなければいけないなということだというふうに思います。  以上です。
 

橋本委員

ありがとうございます。  そこは逆に厳しく追及をしたくなるんですけれども、許容できる範囲の副反応というのは、具体的にどんなふうにお話しすればいいですか。
 

舘田参考人

例えば接種した後の局所の痛みとか、そういうふうなものに関しては、やはりそれなりに報告されています。しかし、それは、例えばインフルエンザワクチンのとき、麻疹のワクチンのとき、そういったワクチンのときと余り変わらないというふうなこと。  一番心配なのは、アナフィラキシーショックというような、そういうふうな状態になりますけれども、それに関しましても、今のところ、特別に高いとか、それで死亡にすぐにつながるような、そういうふうな事例というものはかなり頻度は低い。  そういう意味で、今までのワクチンと同等のレベルで許容範囲だというふうに感じています。
 

橋本委員

ありがとうございました。具体的におっしゃっていただけましたので、そういうふうに私も人に伝えていこうと思います。  続いて、じゃ、ワクチンを恐らく多くの方が打ち終わる、終わるというか、どこまでが終わるか分かりませんが、何割かの方が打って普及をしたというようなことになるのは少し時間がかかると思います。また、感染者の数が仮にうまく減っていって、どこまでかは分かりませんが、緊急事態宣言等も解除されるというようなときがいずれ来るだろうと思っています。  でも、なお緊張を緩めてはいけないということは先生もおっしゃっていたとおりだと思いますし、そうしたときに、特に一般の方々が、政府がというよりも、一般の方々は、例えば手を洗うだとかマスクをきちんと着けるだとか、そうしたことというのはまだしばらく続けていかなければいけないんだろうと私は思っているのですが、そうした基本的な感染対策みたいなことというものはいつまで続けなければいけないのか。もっともっと、引き続きやはりそれはやっていってくださいねということであれば、早めに私たちはそれを自覚をしたり、そういうふうに言っていったりした方がいいと思っているのですが、そこについて最後にお尋ねをします。
 

舘田参考人

御指摘のとおり、私は、ワクチンの接種が進んで、それなりの効果が得られてきたとしても、しばらくの間はこの新しい生活様式をある部分は維持しながらいくということが大事になるんじゃないかなというふうに思います。  いろいろなことが分かってきました。例えば、マスクを着ける、めり張りをつけて着ける、あるいは手指消毒を徹底するということだけで、今年はインフルエンザがほとんど流行しなかった、あるいはそれ以外の呼吸器感染症もこれだけ減っているわけですよね。  そういう意味では、これはある意味、我々が気づかされた。マスクを着けるということ、そうやって手指消毒をするという、その感染対策によってこれだけ変わるんだ、変えられるんだということが明らかになってきたわけで、そうしたとき、じゃ、それを次の私たちの生活の中にどういうふうに取り入れていくのかということは、少し長い目で考えていく必要があるんじゃないかなというふうに思います。