橋本委員
おはようございます。自由民主党・無所属の会の橋本岳でございます。
今日は二つのテーマで質問したいと思っておりますが、ちょっと順番を入れ替えたいと思いますので、是非よろしくお願いいたします。
まず最初に、私、趣味で海釣りをするんです。釣り、魚釣り、それはいいんですけれども。そうすると、ネットとかツイッターとかでその関係のコミュニティーとかを見ていますと、昨年からちょっと大問題になった問題があるので、それを取り上げたいと思っております。
一昨年四月、北海道知床におきまして小型旅客船が沈没しまして、二十六名の方が死亡、行方不明となる痛ましい事故が発生をいたしました。この事故を契機といたしまして、国土交通省で知床遊覧船事故対策検討委員会というものが開催をされまして、同年十二月二十二日に旅客船の総合的な安全・安心対策というものが取りまとめられております。この報告に基づきまして、昨年の常会で法改正も行われました。
ところが、昨年秋になって、これの対象が、旅客船のみならず、いわゆる釣り船とかいそ渡しをするような遊漁船に対しても安全対策の一部がかかる、義務化をされるということが急にみんなが知るところになりまして、びっくりして、問題になったということでありまして、特に釣り船なんて小さい船が多いので、そこに大きな救命いかだを載せるのを義務づけるんだということが急に、そうだったのみたいな話になって、当然ながら、定員も少ないところ、一メートルぐらいとかありますから、そういうものを載せると定員も減らさなきゃいけないかもしれない、そうすると経営上の問題になりかねない、そういうようなことが懸念をされているわけであります。
実際に、昨年十二月十九日に、公益財団法人日本釣振興会を始め十四団体連名で斉藤国土交通大臣宛てに、安全対策設備設置の義務化を外すよう要望書も出ているわけであります。
確かに、遊漁船の事故、死傷者数というのはだんだん増加傾向でもありますので、何か考えなきゃいけないんだろうということは理解をしますけれども、一方で、安全対策のために業として成り立たなくなるみたいな話になったら、それは本末転倒なのでありまして、私が釣りをするのはただの趣味ですけれども、遊漁船をなりわいとしてやっている方からすれば、それは死活問題なのでありまして、雑に扱っていい問題だとは思いません。
そうした、まず検討プロセスがどうだったかということをお伺いしたいと思いますが、これは国土交通省政府参考人にお尋ねをします。旅客船の総合的な安全・安心対策という報告書、それのどこに遊漁船と書いてありますか。
海谷政府参考人
お答え申し上げます。
若干、検討経緯も含めてお答え申し上げます。
一昨年、令和四年の四月に設置されました知床遊覧船事故対策検討委員会、これには水産庁にもオブザーバーとして参加いただきまして、検討を進めてまいりました。
同年五月の第三回委員会におきましては、乗客が低水温の水中ではなく水上で救助を待つことができる救命設備が必要だ、こういう考え方に立ちまして、いかだ等の搭載を義務づける方向性が示されました。
また、同年七月の中間取りまとめにおきまして、海上運送法の事業の用に供する小型旅客船あるいは当該船舶を運航する事業者以外の船舶、事業者への適用についても検討を行う必要があるとされました。
これを踏まえまして、同年十月の第八回委員会におきまして、遊漁船も義務化の対象船舶に含まれることを明示いたしました。その資料を基に、水温の低さ、航行区域、船舶の構造に応じたリスクの程度を踏まえつつ、一定の船舶に対しまして、改良型救命いかだ等の搭載義務化を行うことで御了解いただきました。
これらの委員会での資料は全て公開されておりますが、これを踏まえまして、令和四年十二月に旅客船の総合的な安全・安心対策の取りまとめが行われたところでございます。
この取りまとめの中では、委員会での議論を前提といたしまして、旅客船事業者に適用があるもの、それから小型旅客船事業者に適用があるもの、そうではなくてそれ以外にも適用があるものという三つの分類に分けまして、他の項目については旅客船事業者あるいは小型旅客船事業者に適用がある、こういった旨を明記いたしました上で、船舶の安全基準の強化については、その旨の限定がないということで、旅客を搭載する遊漁船も対象とする旨をお示ししたものでございます。
橋本委員
今、資料とかに遊漁船という文字が書いてあった、それはそうだと思います。たくさんある資料の中の一枚ですよ。
その最後の報告書には「対象:水温の低さ、航行区域、船舶の構造に応じたリスクの程度を踏まえて適用」と書いてあって、それは旅客船という限定はされていないけれども、遊漁船を含むとは読めますかという話なんです。はい、読めないと思います。
水産庁に聞きます。
この検討会の検討過程におきまして、オブザーバーで参加していたということですが、遊漁船の関係者等にお知らせをしたり、あるいは意見交換をして、水産庁として国土交通省に意見を出す、そんなことをされましたか。
森政府参考人
お答えいたします。
水産庁では、知床遊覧船事故対策検討委員会の中間取りまとめにおきまして改良型救命いかだ等の積付けの義務化が明記をされ、これが遊漁船業にも適用されるということについては、令和四年十月に水産庁が遊漁船業の在り方に関する検討会というのを開催をいたしました、この資料に盛り込んでおります。その旨は、各都道府県の担当部局に対しても情報提供を行っております。
また、遊漁船業者を含め広く周知をするという観点から、水産庁ホームページにおいても同資料等の公表を行ったところでございますが、例えば意見聴取といったような機会は設けておりませんでした。
橋本委員
だから、隠してはいなかったんだとは思いますが、ただ資料に載せています、しかも参考資料の最後の方ですよ、ホームページに載せました。一々そんな、検討会の資料をみんながみんな逐一見ていない。最終報告しか読まないですよ、そんなもの。という中で、みんながだまし討ちだみたいな言い方をされるのは、私は仕方ないんだと思います。
という中で、結局、安全対策というのはもちろんしなきゃいけないし、それはハード、ソフト相まって検討されるべきだと思いますが、基本的に旅客船の検討をしているという文脈の中で、船というのは同じだから遊漁船も一緒にした方がよかろうみたいに、その部分だけ共通して義務化をするみたいな形になっていて、私は、それはやはり乱暴で雑という批判は免れないんだと思います。
釣り船ですから、風や波がすごく高かったりして釣りができなかったら、そもそも出ないんですよ、運ぶだけじゃないので。だから、そういうことも含めて、ハード、ソフト合わせて、出航基準と設備の基準を組み合わせて考えるとか、そういうことを私はもう一回考え直してほしいと思っているのです。
国交大臣に、斉藤大臣に伺いますが、この義務づけというのは、今、延期をやはり一遍して、きちんと遊漁船について、国交省、水産庁連携をして、そうした救難いかだ搭載義務化とかということからどういうことが考えられるのか、もう一回検討を行っていただきたいと思うんですが、いかがでしょうか。
斉藤(鉄)国務大臣
改良型救命いかだ等の搭載義務化につきましては、一昨年発生した知床遊覧船事故を踏まえ、事故時に乗客を低水温の水中でなく水上で救助することを目的として、当初、遊漁船には令和七年四月から適用する方向で準備を進めておりました。
一方、改良型救命いかだ等の開発が遅れたこと、小さい船にも載るような、そしてコンパクトに開く、こういう開発が必要だったんですが、その開発が遅れたこと、そして、パブリックコメントなどにおいて、事業者への義務化に係る周知が不十分、搭載免除の特例について業務実態を踏まえた追加の検討が必要など、様々な御意見をいただいたことを踏まえまして、遊漁船を含む旅客船についての搭載義務化を当面の間延期することといたしました。
その上で、遊漁船への搭載免除の特例については、安全の確保を大前提として、遊漁船の業務実態なども踏まえ、どのような対応が可能か、追加の検討を行いたいと考えております。現在、遊漁船事業者を含む有識者等から成る検討会を立ち上げるべく、水産庁と協力し準備を進めているところです。
引き続き、水産庁とも連携し、遊漁船事業者からの声もよく伺いつつ、できる限り早期に結論が得られるよう取組を進めてまいりたいと思います。
橋本委員
追加の検討をしていただけるということで、それはよかったなと思って、歓迎をしたいと思います。
お話ありましたけれども、やはり御関係の方々が知らないところで勝手に決まっていたというのが一番今回ひっかかっていること、かつ業としてきちんと成り立ち得るような安全対策じゃないと意味がないと思いますので、是非、御関係の方々の意見をしっかり聞かれて検討していただきたいということで、お願いを申し上げたいと思います。
続きまして、次のテーマに参ります。医薬品行政についてということでお伺いをします。
まず一つ、後発医薬品等の供給不足につきまして、これはもう昨年から問題とされておりまして、私、昨年秋から厚労委員会の筆頭理事をさせていただいておりますが、いきなり武見大臣の所信質疑でも結構、何人かの方が質問されておりました。そのときに、供給状況の可視化とか、メーカーに増産要請をするとか、それで増産もしていただいているとは思います、薬事手続の合理化とか、産業構造の見直しを考えなきゃいけないとか、いろいろなお話をしていただいております。
それから何か月かたって、年が明けました。今、その後発品の供給状況について政府はどのように認識をしておられるか。
それから、先の対策というのは必ずしもすぐできるというものばかりではないと思いますので、業界再編なんてね。そういうものについてやはり今後引き続き取り組み続ける必要があると思いますが、この供給品不足、これは国民生活に物すごく切実に関心があるところだし、災害対策、今回の能登の災害のDMATに行くドクターの方が持っていく薬がないんだみたいな話をされておられて、やはり切実な問題ですから、ここについての武見大臣の決意を伺いたいと思います。
武見国務大臣
御指摘のように、去年の九月ぐらいからこの冬場にかけて、改めて、せき止め等、これが不足してくることが予見されて、多くの御質問を受けておりました。したがって、去年の九月頃より各ジェネリックの業界の皆さん方に緊急の増産をお願いをして、そして、九月末時点と比較してみても、年末までに一割以上の供給増ということを実現いたしました。
実際にそれでも足りなくなるということも予見されておりましたので、令和五年度の補正予算を確保していただいて、そして、製薬メーカーにおいて更なる増産投資をしていただくための緊急的な補助事業を設けました。
この補助事業は、新たに生産ラインを設けていただくときに必要となる人件費などについても対応できるような仕組みにしてありまして、多くの企業の方々からもう既に申請をいただいております。したがって、今役所の中でこれを早く審議、採択をして執行するという段階に来ておりますので、これをとにかく省内で超特急で今やらせているところであります。
それから、後発品の医薬品に関わる安全性の確保ということも大変重要なテーマでありますので、薬価制度の中でこうした安全性、質の担保ということを考えて対応していきたいと考えております。
それから、少量多品目生産といった非効率な製造が行われている中小企業というのが大変多い業界であるものでありますから、ここを、どうこれから業界を再編していくかという大きな課題が中長期的にはございます。
この点に関しましては、企業間の連携協力の推進ということになりますと、企業間での品目の統合であるとか生産調整、それからコンソーシアム的な共同経営だとかMアンドAの推進に当たりまして、実は独禁法との調整が非常に難しい課題として今ございます。やはり医薬品の安定供給というものの重要性に鑑みて、独禁法の適用というものと調整するための省庁間調整というものを今やっておりまして、これもなるべく早くやって、適正なる業界の再編につなげていくということをやっていきたいと思っております。
橋本委員
おっしゃるように、この供給不足の問題というのは、単に足りなくなったという話ではなくて、その背景にある、これまでいろいろな方ができるだけジェネリックに、作るメーカーとして参画してほしいということで、かなりお尻をたたいてそういう方向に持っていったという経緯があって、その結果として少量多品種生産みたいなものになっているという背景がありますから、そう簡単に進まないというのも分かりますし、まさに業界の構造、在り方にも踏み込まなきゃいけないというのはそのとおりだと思います。
ただ、現実に、今もう足りなくなったりということが起こっているわけですから、できるだけ急いで、様々な課題がある中だと思いますが、取り組んでいただくべく、引き続き大臣にもお力をいただきたいと思っております。
もう一つ、昨日もお話ありましたけれども、ドラッグロスという話がございます。私も、これは昨年、私の方から大臣の所信質疑で質問させていただきましたので、これは繰り返しませんが、大臣からも、しっかりと創薬の研究環境整備の実現に取り組む、こういうお言葉もいただいたところであります。
また、診療報酬改定の中で、今年、薬価改定もありますが、イノベーションの更なる評価というようなことを項目を立てておっしゃっていただけた、これもよかったなと思っております。今年は今年で中間年改定をどうするかというような大きな問題がありますから、しっかり見ていかなければなりませんが、今、せっかく、イノベーション、新薬の方を重視していくんだ、新薬作りを応援していくんだという方向に動いたものは、是非、今年もその方向で続けていっていただきたいということはお願いをしたいと思います。
その上で、年末、内閣官房におきまして、医薬品へのアクセスの強化とか創薬力の強化に向けた検討を行うということで、村井英樹内閣官房副長官を座長とする、創薬力の向上により国民に最新の医薬品を迅速に届けるための構想会議というものが開催をされておりまして、今日たまたま第二回目というふうに伺っております。ここで、日本の創薬力をやはりちゃんと抜本的に強化していくんだということを議論していただいて、例えば今年の骨太の方針に載せるんだとか、そういうめどを立てて議論を進めていただきたい、こういうふうに思っております。
一つ先にお願いをしたいんですけれども、単に研究開発をどうするという話だけじゃなくて、医薬品エコシステム全体、ちゃんと患者に届いて、保険償還されて、それが再投資される、そこまで含んだ議論をしていただきたいということをお願いしたいと思うんですが、この構想会議、いつまでにどんな検討をしていくのか、今後の見通しを是非教えてください。
小野寺委員長
内閣官房健康・医療戦略室次長中石斉孝君、答弁の時間が迫っておりますので、簡潔にお願いします。
中石政府参考人
お答えします。
委員御指摘のとおり、創薬力の強化という話がございます。そのような課題を解決するために、御指摘の、創薬力の向上により国民に最新の医薬品を迅速に届けるための構想会議を立ち上げました。
この会議では、シーズの開発から医薬品が国民の手に渡るため、日本全体で一気通貫した創薬のエコシステムの構築を考えています。産業政策の観点も含めまして、研究から開発、製品製造のグローバルなエコシステム、AI創薬のエコシステムの支援ですとか、あるいはドラッグラグ、ドラッグロスの問題も議論をしてまいります。この議論を踏まえて、春から夏頃を目途に中間取りまとめを行うことを考えております。
橋本委員
終わります。