石田主査
これにて伊佐進一君の質疑は終了いたしました。
次に、橋本岳君。
橋本(岳)分科員
おはようございます。
自由民主党の橋本岳でございます。
昨年十二月の衆議院の選挙で二期目の当選を果たさせていただきまして、こうして国会に戻ってくることができました。前回は、一期目の当選のときは比例代表だったんですけれども、今回は岡山県第四選挙区という小選挙区の当選ということで、地元を代表する立場ということにならせていただきまして、御支援いただいた皆様に感謝を申し上げたいと思うとともに、そうした思いを持って国会でも頑張っていきたいなと、気持ちを新たにしているところでございます。
きょうこうしてお時間をいただきましたのは、私の地元、岡山四区というのは、岡山県の倉敷市と、あと早島町というところがあります。主に、その中の倉敷市の持っている課題について、きょうは太田大臣、また赤澤政務官もおいでいただけますか、ぜひ聞いていてください。ぜひ、しっかりお伝えをいたしまして、いろいろな課題が前に進んでいくようにお願いをしたく、御要望させていただきたく三十分のお時間をいただいたところでございまして、しっかりお聞き届けをいただけますようにお願いを申し上げます。
国土交通省関係で、私どもの地元、倉敷市からお願いをしている要望というのはいろいろございます。
例えば、一つは、倉敷川及び児島湖の水位を低下させるようにという対策を申し上げている、また地元の方からも陳情が行こうと思いますけれども。
岡山県の県南に児島湖というのがございます。ここが締め切り堤防で湖になっているんですけれども、集中豪雨が降ると全部水がそこにたまりまして、潮位の関係で排水できないとこれが逆流してまいりまして、一昨年の九月の台風で浸水被害が結構広範囲で出ております。そうしたものの対策でありますとか、県南に水島港という、この後で触れますけれども、その港の整備の促進、特に臨港道路でありますとか、航路の増深のお願い、これも実際取り組んでいただいておりますけれども、さらにというようなこと。
それから、先ほど国道一号線の話が出ておりますが、こちらは国道二号線でございます。こちらの整備、拡幅。ここも、いつも渋滞しているんですわというような話。
あるいは一級河川の高梁川、あるいは小田川という川がございまして、こちらの方についても堤防など、あるいは流路の改修などを御要望申し上げている。
あるいは瀬戸内海の沿岸での高潮の対策、これも既にいろいろ取り組んでいただいておりまして、そのことには御礼を申し上げたいと思っておりますが、さらにいろいろな要望ということで上がってこようと思っております。
言い出せば切りがございませんので、きょうは二点に絞ってお願いをさせていただきたく、またいずれ、今申し上げたようなことについても御要望に伺うと思いますので、その節はよろしくお願いいたします。
さて、まず、きょう取り上げる一点目でございますけれども、JR山陽本線などの倉敷駅付近の連続立体交差事業について取り上げさせていただきたいと思っております。これをぜひ早期に着工し、完成をさせていただきたい、こういう立場で質問をいたします。
御案内のこととは思いますけれども、この事業は、九カ所も踏切を除く、あるいは二十四路線の道路との立体交差を一挙に行うという、恐らく、連立の事業の中では大変大規模な事業の方だと思います。そうしたことによりまして、今は逆に、倉敷駅前の中心市街地が山陽本線及び伯備線で全くぶった切られた状態になっておりまして、そうしたことの一体化を図りたい。
今、一体化と申しましたけれども、駅の北側には最近大規模なショッピング施設ができましたし、あるいは駅の南の方には大原美術館を初め、倉敷の観光資産であるところの美観地区がございまして、やはりそこのところを一体的に動いていただいて、あちこち楽しんでいただけるようにして、倉敷の四十八万都市としての顔をさらに磨き上げていきたい。
そのためには、四十八万都市の顔の上にこんな感じで、ブラック・ジャックじゃありませんが、割れ目が入っているようなものでございまして、ぜひこれを取り除いていただきたいというのが地元の大きな悲願でもあるわけでございます。踏切の慢性的な渋滞ですとか、そうしたこともあるわけでございますので、ぜひお願いを申し上げたいと思っているわけでございます。
まず一つ御質問いたします。
連続立体交差事業というスキームを国土交通省として所管されておられるわけでございまして、倉敷に限らずあちらこちらで、既にいっぱい実施をされておりますし、まだ計画中のところもあろうと思いますが、まず一般論として、この事業についてどのように考えておられるか、大臣から教えていただきたいと思います。
太田国務大臣
この連続立体交差事業、極めて大事だという認識をしています。
東京等では、とにかく踏切があかない、一時間のうちに三分ぐらいしかあかないというようなこと、また、幾つも線が通っていたりすると、あいたらなだれ込むように行ったりする、中には深刻な事故が起きるということであります。事故でも起きないと本当に動いてくれないという声が出るほど、そしてまた、真ん中をぶった切られていますから、一体化した都市開発というものがなかなかできない。
倉敷の美しい町並みと美術館等も、行ったこともありますからよくわかっているんですが、そうしたさまざまな観点から、立体交差事業というものは極めて重要だというふうに思っておりまして、主体が一体、どこが担っていくのかというようなことや、東京の場合では区の施行なんということにしたところもあるわけでありますけれども、どこがどう負担をしていくかというような具体的問題というものをどういうふうに詰めていくか。合意を形成する作業を少しでも早くということに我々としては協力をしたいというふうに思っております。
橋本(岳)分科員
ありがとうございます。極めて大事という大変力強いお言葉をいただきまして、勇気百倍と思っているところでございます。
それでは、この倉敷の事業につきまして、残念ながら、今のところ計画でとまっていて、なかなか具体的な着工というのに進んでおりません。私としてはぜひ進めてほしいというふうに思っているわけでございますけれども、この事業についてどのように考えておられるか、政府参考人からお伺いしたいと思います。
川本政府参考人
お答えを申し上げます。
今委員御指摘のJR山陽本線等連続立体交差事業、これは倉敷駅付近の事業でございますが、七・一キロの区間を高架化しまして、九カ所の踏切を除却する。それによりまして、都市内交通を円滑化するとともに、分断された市街地を一体化するということで、市街地が一体化いたしますと、地域の人の流れ、物の流れが変わってまいりますので、地域の活性化にも大変大きな効果があるというふうに私ども認識をいたしております。
この事業は岡山県が事業主体になるということを予定しておりまして、倉敷市や鉄道事業者と調整しながら事業の推進を図っていただきたいというふうに私ども考えておりまして、効果の高い事業でございますので、事業のやり方、それから例えばコストの縮減の仕方など、技術的な面も含めて私ども支援をしてまいりたい、このように考えております。
橋本(岳)分科員
重ねてお尋ねをいたしますけれども、今、少し次の問いの答えに踏むところもあったとも思いますが、改めて、やはり何で進まないのかというところと、国土交通省として、それに対してどう取り組みたいと思っていらっしゃるのか、今後の見通しを教えてください。
川本政府参考人
お答えを申し上げます。
この事業、先ほども申し上げましたように、七・一キロということもあって、総事業費が六百億円にも上るということから、地元でも、地域のまちづくりというものと一体となって、整合性をとって推進していく必要があるというふうにお考えだと私どもも伺っております。
そのために、岡山県が全体のまちづくりというのをこの事業を機会にどう進めていくのかということについて、倉敷市と鉄道事業者も含めて調整を進めておられまして、その調整がなかなか進んでおらないというようなこともあって、なかなか事業化に至っておらない状況だというふうに認識をいたしております。
私ども、地元の意向というのがちゃんとまとまるように御助言等をするとともに、最初に申し上げました、事業費が非常に大きいということについては、例えば技術面でいろいろ御助言をしまして、コストを縮減していくといったことについても応援をしていきたいと思っております。
いずれにしましても、まちづくりの面で非常に大きな事業でございますので、早く進みますように多面的に支援をしてまいりたいと考えております。
橋本(岳)分科員
二点、今課題として言われたと思います。県、市それからJRなど関係者の調整ということと、コストが大きいということで、当然ながら、その主体それぞれが負担をしていただく、やはりそれなりに重たいということは現実問題としてあろうと思うわけであります。
その主体の一つである岡山県というか、事業主体者である岡山県が費用対効果の算定をしております。前回、平成十九年に試算をしたときは、費用対効果一・六八ということで、大変便益の方が大きい、ぜひやるべきだと受け取れる試算をしました。ところが、昨年試算をやり直して更改したところ、〇・八五ということになりまして、事業費の方が上回っているね、コストの方がかかっているね、こういう結果になってしまっておりますが、この理由は何ででしょうか。
川本政府参考人
お答えを申し上げます。
事業者であります岡山県が、この事業の費用対効果の算定を行って、先ごろ発表されたというふうに伺っておりますが、これは、平成二十年に改定をいたしました国の費用便益分析マニュアルの中で、便益を算定する際に使用いたしております時間価値の原単位、これは連続立体だけというわけではございません、道路事業全体のものではございますが、それを実態に即して引き下げたということが一つの要因でございます。
加えまして、県の行っております将来交通量の推計値が大幅に減ったこと、こういったことによって費用対効果の算定の結果が大きく変わったというふうに聞いております。
橋本(岳)分科員
今、二つの点を挙げられました。マニュアルの算定基準が引き下げられた、それから県の将来交通予測が大分変わったというようなことでございましたが、費用便益分析マニュアルというのは国土交通省で定められているものだと承知をしております。既にそれは、前に改定されたのは平成二十年のことでございまして、五年たっているわけですね。
そのときに、経済状況だとかそういうことというのも変わっている、あるいはアベノミクスだということで、これから安倍政権が力を尽くして日本経済を取り戻すんだということで頑張っている中で、今後、その状況というのも変わってくるであろうということもございます。
また、倉敷としても、それこそショッピングセンターができたのがつい先ごろのことでございまして、そうしたことまで含んでいるのかどうかとか、そうしたことも思いとしてはあるわけでございます。
また、算定基準の単価だけではなくて、算定される項目として入っているのが、移動時間の短縮便益、これは自動車、歩行者・自転車それぞれ。それから走行経費減少便益、交通事故減少便益、そういう三項目になっておりまして、もちろん数字で算定できるのがその三つなのだろうというふうにも思うわけですけれども、先ほど私が申し上げました、そして大臣にもお触れをいただきましたように、大きな事業でございますから、単に道路が通りやすくなりましたねというだけではなくて、そこから生み出すいろいろな相乗効果がこの事業についてはもっと期待できるであろう。
要するに、単に何カ所かの踏切のあかないものを通れるようにしました。もちろんそれも、例えば東京の都心部などでは物すごく深刻な問題だということは理解をするわけですが、倉敷の場合、そこまで踏切は閉まるわけではありませんけれども、ただ、その踏切を通らなきゃいけない、そこに車がつかえて渋滞をするのだ、そしてそれが面的に広がっているのだ。
だとすると、例えばそこに観光客の人が来にくいよねとか、せっかく駅北のショッピングまで来たけれども、できれば美観地区まで足を運んでほしいよねとか。その逆もありますね、美観地区に来た方が、ついでに駅北にも寄って買い物をしていってくれればいいのになとか。そうしたことの、観光客がもしかしたら、もっと便利になったらふえるかもしれないよねとか、そのことで地元の商業だとか雇用だとかに対してもいい影響が出るかもしれないよねとか、極めて大きな事業ゆえに、面的に、またいろいろな幅広い便益の広がりというのがあり得るんだと思っております。
ですが、そうした面についてまでこのマニュアルでは広げられていない。先ほど言った三項目の便益のみの計算というふうに承っております。もし僕の思い違いだったら、済みません、訂正していただきたいと思います。
ですから、そうした面も含めて、今マニュアルについて取り上げておりますが、これは倉敷だけの話ではなくて、国土交通省さんがお決めになったことですから、そうすると全国で、いろいろな事業をやりたい、まちづくりをやりたい、いい町をつくりたいと思っておられる方々にとって同じ問題がかかわってきているわけでございまして、再度試算をしてみたら、えっ、こんなに便益が少なくなっちゃったの、それで事業が前に進まなくなるというようなことが、倉敷のみならず全国の自治体からも言われているというふうにも承知をしております。
だから、今申し上げたような点も含めて、マニュアルの改定というのをぜひお願いできないかと思っておりますが、そのことについての御見解をお伺いしたいと思います。
太田国務大臣
長い道路自体の渋滞等と、それからこういう場所の渋滞ということ、また状況が違うし、それから、その箇所の、道路ができたおかげで産業が立地してきたというようなことが計算に、三便益の中には入っていないんですね。分断された都市との一体化というようなことの効果というようなもの、まちづくりとの一体化というようなものがこの三便益という形では入っていない。ここは、このマニュアルというものの充実を、現実に合ったものにしていかなくてはいけないなというふうに私は思っているところなんです。
現状は、今までそういうようなことを主軸にして、一・幾つだったのが急に落ちたとかいうのはどういうことかなと、私自身がきょうお話を聞いて思うんです。マニュアルの具体的な適用とこれからの充実ということについてはちょっと事務当局からお答えいただきたいと思いますが、私はそんな気持ちを持っております。
川本政府参考人
お答えを申し上げます。
今大臣の方から、マニュアルを充実するという方向の御指示をいただきましたので、私ども、そのように取り組んでまいりたいと思っております。
この便益マニュアル、事業主体が事業をやる際に参考資料としてつくってもらうということでお使いをいただいているものでございますが、その中にも、実は今先生がお話しになった三便益以外にも、事業の内容によって、あるいは地域の状況に応じて項目や手法を追加してくださいという記述がございます。ですから、典型的な三便益以外にも、恐らくもっと加えることが本来あったのではないかと思っておりますが、その点について、まず事業主体の方にちゃんと徹底をする、これがまず第一です。
その上で、大臣からもお話がございましたように、幅広い効果を持った事業でございますから、その事業の趣旨に沿った評価手法でありますとか評価項目といったものについて検討しまして、マニュアルの充実というものを図ってまいりたいと考えております。
橋本(岳)分科員
今大臣からも、そして政府参考人からも大変前向きなお答えをいただきました。心から感謝を申し上げたいと思います。
そしてなお言えば、政府参考人から、事業費の削減についてもアドバイスをしていきたい、助言もしていきたいということもございました。
やはり岡山県も決して余裕があるわけではないという事情も、それはそれであるわけでございますから、費用のできるだけかからない、そしてきちんと効果の上がる事業というものを目指していきたい、いかなければならないと思いますし、国土交通省としても、そうした面も含めてバックアップを全面的にお願いしたい、このように申し上げさせていただきます。
さて、では、もう一つのテーマに移らせていただきます。
次は、備讃瀬戸航路のこませ網漁による航路閉塞問題というのを取り上げさせていただきたいと思います。
水島港の整備というものについて、冒頭少し触れさせていただきました。倉敷の南の方に水島というコンビナート地域がございまして、そこには、製鉄、自動車、石油精製、石油化学、食品、造船などなど、大きな工場の集積がございます。いわゆるコンビナートです。
そのコンビナートの海の玄関口になりますのが水島港でありまして、その重要性によりまして、国土交通省からは、平成二十三年には国際バルク戦略港湾の選定もいただいておりますし、また、冒頭申し上げたように、航路のしゅんせつでありますとか、臨港道路でありますとか、そうしたことについてのサポートもいただいております。なお一層、これからアベノミクスだというところで、やっと円安に振れてきて、そうした輸出の企業も元気になりつつあるところでございまして、元気になったら、今度は港が使えぬということになるとボトルネックになってしまいますので、あわせてサポートをさらにお願いしたいと思っているんです。
なお、港の整備をしていただきました、港を整備すると大きな船が入れるようになるし、そうすると輸送コストも下がっていいよねということでありますが、今度は、港に来る前の航路の問題でございます。
やはり巨大船、タンカーなどがスムーズに往来できることが望ましいわけでありますが、備讃瀬戸の航路において、漁業者の方も当然、漁をされるわけでございまして、こませ網漁というのが代表的にされるようでありますけれども、その網をばっと張っておくわけですね。そうすると、航路がそれによって塞がっている、船が安全に通れる幅がないので、その場合は、今は泊まって待たないといけない。かつ、水島港、それから備讃瀬戸航路の狭さとか潮流の関係とかいろいろなことがございまして、大きな船というのは一日に一回、一時間しか動けるタイミングがございません。
そのときに網が張ってあって行けないねということになると、またあしたの満潮の時間を待たなきゃいけないということで、場合によっては、もう五日間ぐらい、きょうも行けないな、あしたも行けないなといって、小豆島の沖の辺でタンカーが待っていて、やっと行けるようになったといって水島港に入ってくる、こういうような事態というのも起こっています。
ことしは大変多いようでございまして、二月、三月だけでコンビナート企業各社が負担した滞船料、船が待っている間にかかった費用が二・二億円というふうに伺っておりますし、さらに、では小さい船に移しかえて運ぼうとか、あるいは船を待っている間は工場の方もちょっと操業を調整しますので、そのためにかかった費用だとか、そういうものもあるわけでございます。そういう問題もこの水島港は持っているんだということは十分御認識をいただきたいと思うわけでございます。
その上で、これは海上保安庁さんの問題になろうかと思いますので、この問題に対してこれまでどのように対策をしてこられたのか、教えてください。
北村政府参考人
お答えさせていただきます。
備讃瀬戸の海域、今先生おっしゃいましたように、こませ網の漁業の好漁場であります。イカナゴだとかイカだとかがよくとれまして、こませ網というのはすごく広げて、航路を塞ぐような漁法でございます。
一方、そういう好漁場であるとともに、今先生おっしゃいましたコンビナートに行く船、さらに言えば瀬戸内海を行き来する航路でもありまして、日本有数の海上交通の要衝でもございます。
そういう意味では、昔から、こませ網の漁と航行する船舶が競合するのを、どうやって共存共栄を図っていくのかというのが長年の課題でございまして、いろいろこれまでも努力はしてきておるわけでございます。ただ、先生おっしゃいましたように、昨今、こませ網の漁によって航路を閉塞しまして、結果的に待機する、航路付近でなかなか中に入れないような船が増加するような問題が顕在化してきているということはよく承知しております。
我々海上保安庁としましては、これまでも、漁業と海運関係者による定期的な会合の場を設けて、そして両方の調整を図るとともに、特に備讃瀬戸の海上交通センターからこませ網の漁船の操業状況というのを示す図面を、変わる日ごと、定期的に提示して海運の方に便宜を供するとか、それから、巡視船艇も現場に出まして、できるだけ両方が共存するような現場の指導とか協力要請を行うなど、対策を講じているところでございます。
我々としましては、両方とも大切なものですから、漁業者、海運事業者など当事者間の調整役として、何とか今の航路の閉塞問題に改善が図られるように、さらに一層の努力を重ねていきたい、こう思っているところでございます。
橋本(岳)分科員
両方が両立しなきゃいけないというのは本当にそのとおりでございまして、やはりそれは漁業者の方の生活というのも、きちんと我々としてもそこは考えなきゃいけない。と同時に、企業の方々も、そこがクリアされないと、こんな不便なところからもう外に行っちゃうよという話になっても困るわけでございます。
これに関連して、海上交通安全法というものがございまして、これが成立をしたとき、昭和四十七年になりますけれども、衆議院と参議院でそれぞれ附帯決議がついておりまして、その中で、例えば衆議院の方での附帯決議の二項目めを読み上げますと、「将来法指定航路におけるふくそうの増大化によりいかにしても船舶の航行安全と漁業操業とが実態的に両立しがたい場合においては、国の責任において漁業者に対する補償の制度を確立すること。」このようになっております。
今、その両立のために、企業の方々が大変な負担をコストとして持っていただいているという現状があるわけでございますが、ある意味で、この附帯決議で指摘しているような状況にもなるのではないかというふうにも思うわけでございまして、国の責任において漁業者に対して補償する制度を、どうしたって今はないわけでございますから、ただ、それについて、もうこの附帯決議で指摘しているような状況になっているのではないかと思うわけでございまして、その制度についてぜひ御検討をいただけないでしょうか。
北村政府参考人
お答え申し上げます。
今先生御指摘のように、附帯決議にございます補償制度につきましては、確かに、航路におけるふくそうが増大化して、いかにしても船舶の航行安全と漁業の操業とが実態的に両立しがたい状況となった場合において、関係省庁とも協議して検討していくべき課題と考えております。
我々としましては、いずれにしましても、この競合問題、まずやはり、いま一度双方の努力によって共存共栄が図られるような改善を図るべきことが基本でございますので、海上保安庁としては、引き続き、両方の事情をもっとさらに十分に踏まえて、できる限りの協力、努力を重ねて、一層の改善に努めてまいりたいと考えております。
橋本(岳)分科員
もちろん、協力によって共存共栄ができるのが最も美しいシナリオだと思います。しかし、先ほど申し上げましたような金額が実際にかかっていて、それに協力をしている方の立場というのもあろうかと思いますし、それをこのまま協力していてくださいねというのも私はどうなのかなというふうにも思うわけでございますので、ぜひ、そうしたことも含めて御検討いただきたいと思っております。
もしよろしければ、最後に一言、今の問題について感想などをいただければありがたいと思います。
太田国務大臣
なかなか、両方が合意するという結論が現場だけではできないかとも思いますので、今どうしようかということについては、私自身、具体的な案がありませんけれども、問題は受けとめさせていただきたいと思います。
橋本(岳)分科員
ありがとうございます。
しっかりと受けとめていただきまして、いい方策を、例えば、航路の迂回なんというのも平成二十年度まではできていたということもございます。そんな方法もございますし、いろいろ御検討いただきたいと思います。
ありがとうございました。以上で終わります。
石田主査
これにて橋本岳君の質疑は終了いたしました。