宮川分科員
都道府県の工夫というのも必要だと思いますし、地域実態というのもあると思います。私の選挙区や地元だと、山の奥に診療所が一カ所あって、保健所に行くまで一時間かかるとかという方がいます。そうすると、本当に丸一日閉めなければいけない。ですけれども、そこがなければ、もうドクターヘリの要請も何もできないわけなんですね。ですので、そういう運用は少しずつ、緩和をするということではなくて、運用の改善をしてもらうということで、ぜひ、厚生労働省から都道府県に対してもさまざまなアドバイスをしていただきたいと思います。地域包括ケアというのがしっかりとそれぞれの地方にも根づくように私たちもしていきたいというふうに思っていますので、ぜひそこはよろしくお願いしたいと思っております。
三点目は、働き方改革についてお話をしたいと思っております。
働き方改革、私、非常に興味がありましてというか、これは絶対にやるべきだというふうに思っています。
私の憧れの国はイタリアなんですけれども、何で憧れの国かというと、三時になると、アパルトメントのベランダに出て、ギターをぽろぽろ弾きながら歌を奏でるみたいな、そういうのを学生のときに見たんですね。自分が実際その後働いてみたら、朝七時から日付が変わる二時か三時まで仕事をしている、どうしてこんなに差があるんだろうと。決して、イタリアという国は経済的に豊かではない国ではないんですね。ちゃんと経済活動もしていて、それなりの存在感を持っている国であるにもかかわらず、どうして私はこんな働き方なんだろうというふうに思ったことがあります。まあ、学校は一つのブラック企業と言ってもいいというふうに思いますけれども。
だからこそ、いろいろなところで、働き方というのは、イコール、皆さんの人生の幸せ感にもつながり、自分の人生が豊かかどうか、そういう感覚にもつながる非常に重要な改革だというふうに思っております。
ただ一方で、今の議論を見ていますと、長時間労働の是正であるとか同一労働同一賃金、確かにこれは重要なことであって、特に一番目の長時間労働の是正というのはやっていくべきだというふうに私は思うんですが、ただ、これは木を見て森を見ずみたいな話だなというふうに思います。日本の働き方、おかしいことがいっぱいありますから、また、是正しなきゃいけないこと、そしてこれから拡充しなきゃいけないことがたくさんありますので、もっともっと目を広げて見ていかなきゃいけないんだろうというふうに思うんです。
ぜひ、労働をつかさどる唯一の省として、この二つ以外にどういうことにこれから取り組まれていくのか、もし計画があったら教えていただきたいと思います。
橋本(岳)副大臣
働き方改革について御質問いただきました。
この働き方改革というのは、御案内のとおり、一億総活躍社会の実現に向けた横断的な課題であり、我が政権としても、内閣としても最大のチャレンジである、こういうふうなことでございます。
御指摘がありましたように、今、働き方改革実現会議をやっておりまして、そこで長時間労働是正あるいは同一労働同一賃金の議論もしておりますが、総理からは冒頭に九つのテーマについて御指示がございまして、今申し上げた二つ以外に、例えば、病気の治療と仕事の両立、あるいはテレワーク等の柔軟な働き方、高齢者の就業促進等の課題等についても議論をしてきたところでございます。
ですから、こうした議論を踏まえまして、厚生労働省としては、個人の価値観や働き方が一層多様化する中で、女性も男性も、あるいは高齢者も若者も、障害や難病などのある方も、あらゆる場で誰もが活躍できるような環境整備をする、そしてそれが、今委員御指摘のような人生の豊かさというものにもつながっていくような、そういうことの実現のために全力で取り組みたい、このように考えているところでございます。
宮川分科員
私が勤めていた学校現場というのは、精神疾患にかかる方がたくさんおられました。そして、私自身も実は不明熱という病気にずっとかかって、後半の三年間は、一カ月間休まなきゃいけないという、いろいろな苦しみを感じました。一カ月間四十度の熱が下がらない。これは、免疫の過剰な動きによって熱がずっと出続けている、体に菌は何も入っていないんだけれども、疲れ過ぎているのか、オーバーワークが原因なのか、原因が不明なので不明熱なんですけれども、白血球がずっと闘い続けてしまって、一カ月間四十度が下がらないというような熱にかかったことがあります。ただ、そういうものを持っていたとしても、何とか仕事を続けてくることができました。
今、がん治療であるとか精神疾患であるとか長期の療養を必要だとする方が、自分自身で、もうこんな病気にかかったら離職をしなきゃいけないというふうに思って、どんどん離職をしてしまう傾向にある。そしてまた、受け手側の企業とか勤め先も、それだったら余りこれから先も望めないから変えたらどうだというようなことを言ってしまう。まだまだ古い感覚だと思うんですね。特に今がん治療なんかは、QOLを下げずに通院で何とか、投薬治療で治す人もいれば、そういうふうに進歩をしているにもかかわらず、医療は進歩しているんだけれども、働く側の人たちの意識というのはほとんど進歩していないというふうに私自身は考えております。
今回の働き方実現会議の中にも、病気と仕事の両立ということで委員の方が何人か入っておられますけれども、病気との両立ということに関しては、厚生労働省として今何か取り組まれていることがあれば教えてください。
橋本(岳)副大臣
御指摘をいただきました、病気の治療を続けながら仕事を続ける環境を整備するということは、大変重要なことでございます。両立支援に関する企業向けのガイドラインというものを昨年二月に策定し、周知啓発や相談支援を行っているところでございます。
御指摘をいただきましたように、病気というのも、がん、脳卒中、心疾患、糖尿病、肝炎、いろいろなものがございますし、そうしたものが、治療技術が進歩していくことで、長くつき合う病気というものになってきている、あるいは仕事をしながら治療を続けることもできるということになってきている。だけれども、仕事上の理由で適切な治療を受けることができないケースが見られる。こういうようなことが背景としてあって、ぜひ、そうではなくて、今こういうふうになっていますよ、ただしお互いに気をつけていただきたいこともあるという中でガイドラインというのをつくったということでございまして、まずはこれの周知啓発等が大事なんだろうというふうに思っています。
その上で、昨年十月に、働き方改革実現会議の中で、大臣の方から、病気の治療と仕事の両立支援の今後の対応として三つの点を挙げさせていただいております。一つは、経営トップからの企業内の制度や文化の抜本改革、二つ目が、新たに専門人材を育成することで企業と医療機関の連携を強化していこうということ、それから患者に寄り添う相談支援の充実、こうしたことが特に重要であるということを申し上げたところであります。
その中でも、患者に寄り添う支援体制というものについては、その会議の中で生稲委員からの御提案があり、総理からも、主治医、会社、産業医やカウンセラーのトライアングル形のサポート体制を検討するというような発言がございました。こうしたことも踏まえながら、厚生労働省としても、三月に働き方改革実現会議で取りまとめる予定の実行計画に基づいてしっかり取り組んでいきたい、こう思っているところでございます。
宮川分科員
やはり、病気になられた方とか何か疾患を抱えた方というのは、何となく自分一人が取り残されたような感覚になるんですね。ですので、誰に相談して、誰に助けを求めていいかわからないという方が多分非常に多いからこそ、勝手に離職をしてしまう、そこまでではないのに離職をしてしまうという現状があるんだと思います。ぜひ、患者の方たちに、一人で悩まなくていいんだということと、それに寄り添うような政策というか体制づくりをお願いしたいなというふうに思っております。
また、副大臣の先ほどの御発言の中に、テレワーク、在宅ワークとかの話がありました。
私は、テレワーク、在宅ワークはぜひともどんどんどんどん拡大してやっていくべきだというふうに思っております。大賛成でありますけれども、一方で、例えば運送業の方とか、女性の六割はケアワーク、いわゆる対人ワークですね、対人でなければ仕事ができない仕事についている方たちが圧倒的にいる。この方たちに長時間労働の是正ということでいろいろな網かけをしてしまったときに、恐らく仕事が成り立たないということがあると思います。
私の地元からも、日本のへそから沖縄に行ったり、北海道に行ったり、運送業の方たちは本当に目まぐるしくお仕事をしていらっしゃるし、私の県というのは空路も海路もありません。陸路しかないわけですね。ですので、物流がどういうふうになっているのか、陸路の運送というのがどうなっているのかというのは自分たちの死活問題なんです。これは、経営をされている、そのお仕事についている方にとっても死活問題ですけれども、恐らく、その地域に住んで陸路しかないようなところに関しては、本当に生きるか死ぬかみたいな問題だというふうに私は思っています。
ですから、網かけができない、いわゆる、こっちに荷受けの方がいて、荷を出さなければいけない相手がいて、このはざまで働いている方というのはたくさん、いろいろな業種でいらっしゃるんですね。運送業とか、それはバスも同じだと思いますけれども、そういうふうに長時間労働をせざるを得ない、なぜなら荷受けをした人たちの要求に応えることがその方たちのお仕事なので。その方たちに対してはこれからどういう対応をしていくのか、これは非常に重要な問題だと私は思っています。
今まで、例えば、ツーマン運行をしたらいいんじゃないかとか、もっと賃金を上げた方がいいんじゃないかと。そういうことをやらずして長時間労働だからだめだということではなくて、もっとその方たちが安全を担保しながら安全に働くことができる、そして負担を少しでも軽くしてあげることができるということが重要だと思いますが、こういう業種の方についてはどのような取り組みをなされる予定でしょうか。
山越政府参考人
お答え申し上げます。
トラック運送業についての長時間労働対策でございますけれども、トラック運送業における長時間の問題を改善するためには、トラック運送事業者だけでなく、荷主の方も含めた関係者が連携をして取引環境の改善を図っていくことが重要であるというふうに思っております。こうした観点から、国土交通省とも連携をいたしまして、トラック輸送における取引環境・労働時間改善協議会を設置いたしまして取り組みを進めております。
この協議会では、二十七年度にまず実態についての調査を行っておりまして、二十八年度からはそれを踏まえてパイロット事業に取り組んでいるところでございます。
このパイロット事業においては、荷主あるいは運送事業者の現状とか課題の洗い出しを今行っているところでございますので、これを踏まえて解決手段を検討していきたいというふうに考えております。そして、このパイロット事業で得られた知見を活用いたしまして、今後、協議会で取引環境あるいは労働時間改善のガイドラインの策定に向けた議論を行うこととしております。
こうした取り組みを通じまして、トラック業界の取引環境の改善と長時間労働の抑制を実現するための環境整備に努めてまいりたいと考えております。
宮川分科員
ぜひお願いしたいと思います。
この働き方改革で私が一番重要だと思っているところは、この日本の労働環境に適正という言葉が戻るかどうかだと思っているんですね。適正価格、適正時間、適正な人員、そういうものがないまま、何か、どんどんどんどん人の心を削って、身を削って生産性を高めなきゃいけないというふうになってきたと思うんですが、そうではなくて、先ほど私が憧れた国の話をしましたけれども、いわゆる適正なんですね。この仕事に対してこの人員をつけてという適正が守られているからこそ、そういう心に余裕のある生活ができるわけですから。今の業種というのは、トラックなんかは特に、もうたたかれてたたかれて苦しい思いをしている方たちがたくさんいますので、ぜひ、適正を戻すためにどうするべきかということは継続して御検討いただきたいなというふうに思っております。
時間もそろそろ終わりですので最後の質問になりますが、ワークシェアリングと言われて久しいですけれども、私が今回の働き方改革でもう一つ取り入れていただきたいのは、チームワーキングなんですね。
この仕事はおまえがいないとできない仕事だ、だからおまえは休んではだめです、あなたは休んではだめです、あなたが頑張らなきゃだめなんですという働き方ももちろん必要だと思います。例えば資格を持っていたり、特殊な技能、能力を持っている方が評価されるべきだとも思いますが、一方で、その働き方をやっていたら、有休もとれない、何かあったときに即応的に対応はできない、もう本当にぎゅうぎゅう詰めになってしまう。それはやはり、働き方という観点で見ると非常に窮屈なものだというふうに私は思っています。
先ほど、学校はブラック企業だと申し上げましたけれども、確かにブラック企業なんですが、唯一私がすばらしいと思っているところがあります。
例えば、小学校の先生というのは女性が七割なんですね。何でこんなに七割も就職をしているか、奉職をしているかというと、これは、産休、育休なんかももちろん、明確にここからここの期間、三カ月間、一年間休めるということがあるのと同時に、実は代替教員がつくんですね。休むことが決まってしまったら、そこに今度は若手の方とか、もしくは再任用の方もいらっしゃいますけれども、代替教員がついて、自分の仕事に穴をあけずに済むんです。ですから安心して休むことができる。ですので女性の先生がそうやって多くなってくる。特に小、中というのは女性の先生が多くて、これは、学校文化が日本の誇る文化だというふうに私は思っているんです。
つまり、あなたがいなきゃできないのではなくて、あなたがいなくても、ちゃんとチームを組んでいれば仕事に穴をあけることがなく、誰かに迷惑をかけることなく休むことができますよという環境をつくってあげることは、やはりとても重要だというふうに思います。
学校のみならず中小企業もそうです。例えば、事務員さんが、子供がちょっと熱を出しちゃったので保育園へ行きたいんですけれどもと言ったら、いいよ、いいよ、行ってこい、俺たちがちょっと見ておいてやるからというようなフレキシブルなところというのは、まさにチームワーキングそのものだと思うんですね。
少ない人数だからこそ、みんなで力を合わせて働く、こういう感覚が、大企業にももちろんあっていいと思うし、どこの職種にもあっていいことではないかなというふうに思います。ですから、このチームワーキングの大切さというのももう少しこの働き方改革の中で、ぜひ訴えていただきたいなというふうに思うんです。
最後の質問なので、ぜひ副大臣にここは答えていただきたいんですけれども、厚生労働省もチームワーキングをやっていらっしゃると思うんですね。いろいろなお取り組みをしているのは私も伺っておりますけれども、答弁書は一人じゃなきゃ書けないんじゃなくて、何人かで、みんなでその質問をシェアして、誰でもその中の人が書けるという状況にしておくということは大変重要だと思います。これから省庁もそうあるべきだと思いますが、副大臣のお考えを、ぜひ最後に伺いたいと思います。
橋本(岳)副大臣
もしかしたら御承知の上でおっしゃったのかもしれないと思っているんですが、実は、平成二十七年度ワークライフバランス職場表彰という、これは国家公務員制度担当大臣が賞を出しているものがありまして、その中で、厚生労働省の雇用均等政策課というところが表彰されました。
それは何をやっているかというと、今先生がお話しになったようなことですが、国会待機の当番制というのをやりまして、まさにこの人がいないと答弁を書けないじゃなくて、みんなでその当番を分担して、この日に当たったらこの人、ほかの人は帰るみたいな、そういうことをやってワーク・ライフ・バランスというのを推進してきたということを評価いただいたということでございまして、大きなトラブルも起きていないというふうに承知をしております。
あとは、これが厚生労働省全体になっているのかなということはちょっともう一回振り返ってみなければいけないなと、今御指摘をいただきながら、あるいは答えながら思っているところでございまして、まさに御指摘をいただきましたように、チームで仕事をする、あるいはみんなで分担をするということでそれぞれのワーク・ライフ・バランスを守っていこうということは、大変大事なことだと思っております。
仕事と生活の調和のための時間外労働規制に関する検討会というものを当省はしておりましたが、その論点整理においても、マネジメント能力の低さや職場の意識改革不足が要因の一つとして指摘をされているということでございまして、チーム全体で仕事を進めていくというやり方も、長時間労働の是正、あるいは仕事と育児、介護の両立支援の観点からも有効な一つの方策である。こうしたことも含めて職場におけるマネジメントの改善、意識改革に取り組んでいただく必要があるというふうに考えております。
これは、各企業においては、役所が強制をするとか規制をするという類いのことではなくて、御努力、工夫をいただきたいと私たちも思っている、そのことを申し上げることと、あとは、工夫した事例等を収集しておりまして、働き方・休み方改善ポータルサイトというものを設けておりますが、そうしたことでさまざまな事例等を御紹介するということで、今お話がありました、複数名のチーム体制を導入することで、働く方々の業務量の平準化あるいは休暇取得につなげているというような例もございます。
こうしたことで今後も、情報提供することで企業の方々の取り組みを促すということも取り組んでまいりたいし、もちろん私たちも、ぜひそのようなことも引き続き取り組んでいきたいと考えております。
宮川分科員
これで質問を終わりたいと思います。ありがとうございました。