第196回国会 厚生労働委員会 第7号(平成30年4月4日(水曜日))

高鳥委員長

 次に、橋本岳君。
 

橋本(岳)委員

 自由民主党の橋本岳でございます。
 きょうは二十分時間をいただきまして、議員立法を提出いただきました、その議員立法、生活保護法等の一部を改正する法律案、通称子供の生活底上げ法案と呼ばれているようでございますが、こちらにつきまして質問をさせていただきたいと思います。
 本来であれば二十分の持ち時間を私は持っているんですが、ちょっと、他委員会の採決に行かなければいけないために、二十分を自民党内で別の方に譲らないといけない、ちょっと自分の時間が短くなるかもしれません。そのために全部質問ができないかもしれませんので、そのことはちょっとまずおわびをしたいと思います。
 さて、こうした議員立法を提出をいただいたということにつきましては、まず敬意を表したいと思います。生活保護の、あるいは生活に困窮される方々に対して問題意識を持ち、こうした形で考えをまとめられてこられた、しかも、各党、皆さんで協力し合って、力を合わせてこういうような形でのおまとめをされたことにつきましては評価をしたいと思いますし、問題提起として我々も受けとめなければならないことは多々あるんだろうというふうに思っております。
 提案理由説明におきましても、例えば、一人親家庭の貧困率は五〇%に達するとか、低所得の子育て家庭の七割が経済的な理由で塾や習い事を諦めなきゃいけないとか、いろいろな御指摘をいただいている、そのことは我々もきちんと受けとめて、どうしなければいけないか考えなければならない課題だということは共有をしているところでございます。
 その上で、せっかく提出をいただきました法案でございますので、その法案について幾つかお尋ねをするということになります。
 まず、お尋ねをしたいのですが、生活保護法には第八条の二項という条文がございます。これは生活保護の基準の原則についてということですけれども、「前項の基準は、要保護者の年齢別、性別、世帯構成別、所在地域別その他保護の種類に応じて必要な事情を考慮した最低限度の生活の需要を満たすに十分なものであつて、且つ、これをこえないものでなければならない。」こういう規定になっているわけでございますが、議員立法の方では、この八条二項についてはさわらないことと承知をしておりますけれども、まず、提出者に、この八条二項がなぜ、需要を満たすに十分なものであって、かつ超えてはならないものとなっているか、その認識についてお尋ねをしたいと思います。
 

池田(真)議員

 池田真紀です。御質問にお答えさせていただきます。
 議員がおっしゃった認識のとおりでございまして、例えば、別の算定方式で計算するとしても、この表現として、これを超えないものでなければならないという原則については変わらないと認識をしております。
 超えなければいけないかどうかについては、所有の、保有の部分が七割を超えるか超えないかというところで現在も認められておりますので、そういう認識は変わらないと思っております。
 

橋本(岳)委員

 答弁者は名乗っていただかなくても大丈夫だと思いますので、どうぞ淡々と御答弁いただければと思います。
 認識は変わらないということでお話をいただきました。
 そもそも、コンメンタール、解釈と運用というもののこの条文に関するところを見ますと、結局、生活保護法の保護に用いられる経費は国民の納める税金により賄われるものであるから、これはすなわち、ちょっと割愛しますが、国民所得の再分配により、最低生活を営むことのできない国民をなくそうとするものであるということであって、国民の生活水準を全体として高めることそれ自体を狙うものではない、すなわち、国民生活水準の引上げはあくまでも国民生産力の向上にまつべきものである、したがって、保護の基準は、最低限の生活を満たすに足るべきものであっても、超えるものであってはならないということであって、要するに、ふやせばいいという話ではないですよね。
 全体の、本当に、保護の世帯あるいは保護じゃない世帯を含めて貧困の方々がおられる、その方々が生活に困っておられる、どうにかしなきゃいけないということについては経済政策全般で考えられるべきことなのであって、もちろん、そのことについてはいろいろな御議論があるんだと思いますけれども、それを生活保護の基準によって高めていくということを目指しているものではないということをこの八条二項は言っているんだというふうに私は理解をしておりますし、このコンメンタールはそうなんだと、そういうことで、そのことも共有されているんだと思うんですね。
 その上で、今回の行われている保護基準の改定において御懸念があるということをもって、この改定については、一年かけて改定方法について見直しをされる、その間は、その改定について不利な改定を行わない、こういうことを御提案いただいているわけですけれども、具体的にどういう形で、その最低基準の超えてはいけないライン、あるいは、満足させる、十分なラインで超えてはならないラインというのを定めるのか、その具体的な方法を、まあ、これから一年かけて検討されるんですけれども、わかっている範囲で、あるいは、こんなものをやりたいんだというもので構いませんから、教えてください。
 

池田(真)議員

 お答えいたします。
 議員がおっしゃっていたとおり、今の基準については、今の委員の方々からも多くの指摘がございました。消費水準が低下すると絶対的な水準を割ってしまう懸念があるという多くの意見がありまして、前回、そして前々回でもそのような指摘があります。研究開発をしていくというところで、これだというものは今ございませんけれども、それをもとに行っていく必要があると思っています。
 まず、そもそも、今回の検証だけでいえば、前回と今回の検証の中で、なぜこのような結果になったのか、検証に用いたサンプルのとり方や検証方法などが今異なっています。検証方法についても、連続性、一貫性がないということは厚労省も認めておりまして、これがどうしてなのかというのが、厚労省ともどもわからない状況なんです。まずはそこから解明していきたいというふうに思っております。
 

橋本(岳)委員

 これまでの厚労省の基準改定において問題点があるんだという御指摘は、一貫性がないとかいうことは受けとめさせていただくんですが、それがだめだから、それをしないで、私たちはこういうことで一貫性を持った検証をするのだという方向性が見えないと、この法案に対して私たちは賛成していいのか反対すべきなのかということについて何とも言えないよねという結論なんだと思うんですね。
 ですから、今のがこういうことで問題があるんだと認識をいただいているということは理解をしますけれども、ただ、それで、最低の水準というのを決めるのにこういうあり方というのを、ぜひ御提案を、あればいただきたいと思いますが、それはまだ難しいという理解でいいですか。
 

初鹿議員

 御質問ありがとうございます。
 今の御指摘ですけれども、昨年の十二月に出されております社会保障審議会生活保護基準部会の報告書の中においても、消費水準が低下すると絶対的な水準を割ってしまう懸念があることからも、これ以上下回ってはならないという水準の設定について考える必要がある、例えば、栄養摂取基準などから見て最低生活水準を満たすものとなっているかという観点から、健康で文化的な生活を送ることができる水準なのか検証することも必要であると指摘をされております。
 報告書にこう書いてあるとおり、栄養摂取基準だとか、そのほか必要最低限の生活に足るものが何なのかということを定めて、そして基準をつくっていくということが必要なんだろうというふうに考えております。
 

橋本(岳)委員

 もちろん、そういう御指摘があるのは承知をしておりますので、それについてはまた、厚労省的に言うと、恐らくは、次回の検証までにそうしたことも勘案をして、また定期的にこの見直しというのはやるわけですから、そのときにするということになるんだと思います。その必要性について、私も別に、同意はするんですね、そういう指摘があったということについて。ただ、この御提案は、要するに、今もう改定をやることをやめてしまって、一年で考えなさいという話になっております。
 そのことを、もちろん、現在困っている人がいれば急いでやらなきゃいけないんだ、その気持ちということを理解しないわけではありませんけれども、それが一年の検討で済むのかどうか、あるいは、その方向性が今余り明らか、必ずしも、その指摘があるのは理解をした上で、じゃどうするのということが明らかになっていないのかなという印象はちょっと持たざるを得ないなというのが、今の議論の、ちょっと正直な感想であります。
 ということで、ちょっと次のテーマに行きたいと思いますが、今の、現行の、閣法の方で、ジェネリック医薬品の、後発医薬品の原則化というものがございます。
 それに関しまして、本会議の質疑等におきまして、これは立憲民主党の質問者の方が、まさに差別、明らかな差別で人権侵害でありますとまでおっしゃっておられます。それに対して池田議員も答弁をされておられまして、そこまではおっしゃっていませんが、合理性や必要性はないと考えているという認識はお示しになっておられます。
 それで、まあ、池田先生の言い方というのはちょっと、見解の違いだなという範囲だとは思うんですが、立憲民主党のその質疑者の方が差別だとおっしゃったというのは、ある意味で、後発医薬品の効能だとかそういうものに対する疑義を言われているのか、劣っているという認識であるのか。もしそういう認識でおっしゃっているのであれば、それは少し表現がどうなのかなと思うところがあるわけでございまして、皆様方の後発医薬品に対する認識というものをぜひお示しをいただきたいと思います。
 

初鹿議員

 ありがとうございます。
 ジェネリック医薬品の効能については、既に承認されている薬でありますので、有効性、安全性について問題はないと認識をしております。
 しかし、先発医薬品とは、添加物、また効能、効果、用法、用量等に違いがあるものもあります。また、成分が一致をしていても、後発品に切りかえた際に効果が減少したという報告もあるということも聞いております。それが心理的な要因であるのか、それとも医薬品そのものに問題があるのかということについては、まだ確認がとれていないということでもあります。
 また、特に精神疾患の患者さんの場合、薬が変わる、状況が変わるということだけで不安が増して病状が悪化をするというケースもあるということでありますので、必ずしも、効能や有効性、安全性が一致しているから変えていいというものではありません。
 そして、私たちが政府案について問題視しているのは、ジェネリック医薬品の効能や安全性についてではなくて、生活保護の受給者のみに安価な薬を原則化する、劣等処遇を強いるということが問題であって、これが平等の観点から明らかに差別に当たるのではないか、そういう指摘をさせていただいているということであります。
 

橋本(岳)委員

 効能とか有効性、安全性等に余り差はないという認識はいただきました。そのことはありがたいと思いますが、ならば、今の劣等処遇というのはどういう意味ですか。
 

初鹿議員

 安価な薬を強いるということです。安価な薬を。
 

橋本(岳)委員

 価格の違いというのは、価格が低いということと、それが劣等であるのか、それとも安くてありがたいという話なのかというのは、考え方によるんだろうなと思いますし、それを劣等と言い切ってしまうのはいかがなものかということは思います。
 また、あえて政府案の、閣法のことについて申しますと、これは基本的には、医師又は歯科医師が使用することができると認めたものについてはということなので、いろんな患者さん、個々の状況に合わせて、いや、お医者さんとしてこれは先発品の方がいいねということを判断していただくということは可能なわけでありますから、そこの点についてはちょっと見解が違うのかなということはやはり申し上げておきます。
 済みません、もう最後の質問になります。
 ちょっと間を幾つか飛ばしますが、児童扶養手当の支払い回数の毎月化というお話をいただいております。確かに、これを受ける方からすると毎月の方がありがたいという面もあるんだろうということはわからなくはないのですけれども、実施するのは自治体ですが、自治体等関係団体の御意見についてお示しをいただきたいと思います。
 

初鹿議員

 支払い回数の件については、一昨年も野党で法案を提出をさせていただいて議論をさせていただきました。その際にも御説明させていただきましたが、大阪府の箕面市の倉田市長は、新聞にも、児童扶養手当も自治体の工夫次第で毎月に近い頻度で支給できるという見解を表明しておりますし、明石市においては、児童扶養手当を毎月受け取れるように、一カ月相当分の貸付金を手当支給のない月にお渡しをするということで、毎月収入のばらつきがないように工夫をしているという実例もございます。
 

橋本(岳)委員

 二つの例があるのだということをお示しいただきました。そのことは受けとめますが、全国に自治体というのは千何百あるものでございまして、やはりそれで、全部でやってもらわないとこれは意味がないという話になると思います。やはりちょっと、その二つの話だけで、それで、できるというのは難しいのではないかということを申し上げて、質問を終わります。
 ありがとうございました。