第200回国会 参議院 外交防衛委員会 第2号 (令和元年11月7日(木))

政府参考人(辺見聡君)

千鳥ケ淵戦没者墓苑に納骨した経緯については、関係する資料等に基づき判断をして行っているところでございますけれども、現在、戦没者遺族のDNA鑑定人会議において指摘された、日本人ではない遺骨が収容された可能性が指摘された埋葬地に係る遺骨について、有識者会議の下に設置されました専門技術チームにおいて日本人である可能性に係るDNA鑑定等を進めているところでございます。  御遺骨のその結果を踏まえまして、御遺族等を始めとする関係者の声を伺いながら適切に対応してまいりたいと考えているところでございます。
 

副大臣(橋本岳君)

御遺骨の状況については今審議官答弁のとおりでございますけれども、なぜその指摘をされながらそのような状態があったのかというお尋ねでございましたので、そちらの方をお答えをいたしますが、現在のところ、その状況を踏まえまして、今、外部の有識者で構成されている調査チームを設置して検証を行っているところでございます。  私たちとしても、その遺骨の収集というものは、まずはやはり一刻も早くきちんと御自分の御家族の御遺骨を御遺族の元にお届けをしたいという思い、しかもそれを正確でできるだけ早くしなければいけないということ、しかしながら、その中で今回のようなことが起こってしまったことについては本当に反省をしなければならないと思っておりますし、そうした対応ができなかったことについて、きちんと検証結果を踏まえて今後対応してまいりたいと考えております。
 

白眞勲君

これ、二〇〇五年ですから、十五年も前の、約十五年前の話ですよね。にもかかわらず、今になってその検証を始めるというのはこれは本当に問題、放っておかれたわけですよね。今、まあ反省しているということですから。やはりこれ、もう指摘がされたときにすぐ遺骨を返すと、これ当たり前のことなんだと思うんですよ、私。これ失礼な話ですよ、日本人でない御遺骨を持ってきちゃうなんて話は。これ、外交上、本当に問題だと思う。  ちょっと外務大臣にお聞きしたいと思いますけれども、外交上、物すごい問題ですよ、これ。失礼な話じゃないですか、ロシアの人たちに対して。どのように思われるか、ちょっと外務大臣のコメントをいただきたいと思います。
 

国務大臣(茂木敏充君)

御指摘の旧ソ連軍抑留中死亡者遺骨収集派遣事業は、一九九一年に締結されました日ソ間の協定に基づいて、厚生労働省が所管して取り組んできた事業であります。そういう前提の上で、外務省としては、厚労省からの要請に基づいて、外交ルートを通じて事業の年間計画をロシア側に伝達するなど、必要な支援というのを行ってきております。  また、御指摘の事案につきましては、日本人でない遺骨が収集された可能性が明らかになった七月以降、厚労省との間で事実関係の確認等も含めて、本件についてのやり取りを行ってきております。  今まだ調査中ということでありますので、外務省としては、厚生労働省からのロシア側との協議の要請について外交ルートを通じて先方に伝達するなど、引き続き必要な支援を行っていきたいと思っております。
 

白眞勲君

いや、全くそのとおりです。どんどん支援をしてもらいたいんですけれども。  そういう中で、この前、厚労省はロシアと話し合っていますよね。その結果はどうなっているんですか。
 

副大臣(橋本岳君)

今回のことを踏まえまして、九月下旬に課長級の職員がロシア外務省を訪問し、意見交換を行っております。その結果といたしまして、今後も情報共有と意見交換を継続して行う必要があること、そして、ロシアにおける遺骨収集は、協定に定められているとおり、人道的視点に立脚し、両国民間の相互信頼の下、実施してきたところであり、今後とも継続して行う必要があることについて双方が一致したところでございます。  先ほど答弁申し上げましたように、なぜそうしたことが起こったのか等々、現在検証中でございますが、またその結果等も出ましたらば、その議論の内容をロシア側とも共有をし、御理解をいただきながら協議を進めてまいりたいと考えております。
 

白眞勲君

ロシアに謝ったんですか、これ、ロシアの方に。ロシアの方に謝ったんでしょうか。
 

政府参考人(辺見聡君)

お答え申し上げます。  現時点における意見交換の概要につきましては、継続して意見交換を行うことを、継続して遺骨収集を行うことということについて一致しているところでございます。  御指摘の謝罪等につきましては、今後の検証結果等を踏まえて適切に対応してまいりたいと考えております。
 

白眞勲君

いや、これ、だって、もう取り違えた可能性あるんだったら、まず謝ることからスタートだと僕は思いますよ。副大臣、どうですか。
 

副大臣(橋本岳君)

一点補足をさせていただきたいと思うのですけれども、幾つかの埋葬地、九つの埋葬地で日本人ではない御遺骨が交じっている可能性が既に指摘をされていたというのが今回の話でございます。  ただ、その中で、例えば、要するに全部がロシア人の事例であったのかというと、例えば一つの例を挙げれば、タンボフ州というところの例でいうと、五十七柱の収容をし、その中で日本人ではない御遺骨が交じっている可能性というのは指摘をされているわけですが、同時に、その中に十四柱、身元が特定をされた、すなわち日本人であったという御遺骨もあったというのが状況であります。  ほかの埋葬地においても、身元が判明した例もあるということもありますので、今現在、それで実際、じゃ、先ほど御指摘をいただいた御遺骨についてどうするかということも併せて検証をしているところでございますけれども、そうしたことがやはり明らかになり、なった上で、した上で、きちんとロシア側においても、また日本の皆様においても、きちんと私たちとして誠意を持って対応すべきことであろうというふうに考えております。
 

白眞勲君

一体でも、お一人分の御遺骨がロシアの方であったとしても、申し訳ないという気持ちが必要だと私は思います。  そういう中で、この五月から戦没者の遺骨収集の推進に関する検討会議が始まりましたけど、私も何度か傍聴しましたけど、その席でこの遺骨の取り違えについて報告したという、私の記憶ではないんですけど、どうなんですか。何でなかったんですか、そして、もしやらなかったというのなら。
 

副大臣(橋本岳君)

重ねてになりますけれども、今回のロシアの事例において、日本人の遺骨ではない可能性が指摘されながら適切な対応が行われていなかったこと、それによって遺骨収集事業への信頼性が問われているということは真摯に反省しなければならないことだと考えております。  御指摘の検討会につきましてですけれども、の時期というのは、今年五月から七月頃に開催をしておったと承知をしておりますが、まだその段階ではロシアとの協議方法や協議に必要な資料の検討等に時間を要していたということで、まだ公表するに至っておらず、検討会議で議論を行うことはしていなかったということでございます。  ただ、現時点で振り返ってみれば、その検討会議の場においてこのような事例の存在について報告をし議論していただくということができていなかったということは御指摘のとおりでございまして、これも検証の中で恐らく取り扱われることになろうと思いますけれども、反省をすべき点があったのではないかというふうにも思っているところでございます。