第201回国会 衆議院 厚生労働委員会 第11号 (令和2年5月8日(金))

小熊委員

共同会派立国社の小熊慎司です。  年金制度の機能強化のための国民年金法等の一部を改正する法律案について質疑されているわけでありますが、この際、新型コロナウイルス対策についてお聞きをいたします。  罹患された方、また、このことによって亡くなられた方々にお見舞いを申し上げますとともに、終息のために全力で取り組んでおられる医療関係者、全ての関係者、そしてまた自粛要請に真面目に従っていただいている全ての国民の努力に敬意と感謝を申し上げ、質問させていただきます。  まだ終息まで予断を許さない中でありますし、国際的な連携も必要であります。WHO、世界保健機関についてお聞きしますけれども、もちろん、これまでのG7等のテレビ会談では、とにかく世界が連携してやっていくことが重要だということも確認はされていますけれども、政府としても、初動態勢を含め、検証は必要だというふうに言っています。  もちろん終息が大前提ではありますけれども、世界連携を今でもしていかなければならない中で、終わった後に検証というのではなくて、やはり、改むるにはばかることなかれという言葉もあります。実際、国内においてだって、初めの方針と今と、加藤大臣のもとで変えているじゃないですか、よりよきものにと。国際的な連携の中でもWHO、終わってから検証ではなくて、今でも間違っていることは間違っていると言って改めていかなきゃいけないというふうに思います。  最初から言ったとおりでやっていくということであれば、十万円の給付だって、我々も頑張ったけれども、公明党さんも頑張って、ならなかったわけですよ、最初の方針と変わっていくわけですから。検査の仕方も変わっていっているわけです。  そういう意味では、薬のいろいろな利用についても国際連携が必要となっていますから、WHOの改革についても、今できることをやはりやっていかなきゃいけないというふうに思っています。  順を追って質問させていただきますけれども、まず、三月十一日になりますけれども、事務局長が日本の支援金についてツイートして、こういうことは異例でした、WHOの事務局長がツイートするというのは。日本を褒めてくれているわけですけれども、日本政府の受けとめをまずお聞きいたします。
 

橋本副大臣

お答えをいたします。  そのツイートにあったWHOへの五十・六億円の拠出でございますけれども、これは、感染症に対して十分に準備ができていない感染蔓延国、イランとかインドネシアとかタイとかベトナムなどでございますが、それらに対して専門家を派遣して医療従事者への技術的な指導などを行う、そうした目的で、WHOを経由して使っていただくということで拠出をしたものでございます。  三月十一日にツイートがあったということでございまして、私の聞くところによると、結構事務局長はそういう感謝のツイートをいろいろな国にされているように聞いておりますけれども、私たちとしては、きちんとそれを受けとめていただいているんだなということだと理解をしておりますし、先ほど申し上げたような目的のために、途上国における感染拡大の防止、予防というのは我が国のためにも重要なことだと考えておりますので、有効に活用していただきたい、このように考えているところでございます。
 

小熊委員

そうされたからそんたくしちゃいけないということを言いたかったんです。  事務局長は、国際的に中国へのそんたくが指摘をされています。もちろん、中国悪者論に私は乗っかるわけではありませんし、それは、橋本副大臣ともいろいろな中国への取組を毎年させていただいていることで、わかっていただけているかと思いますけれども、ただ、客観的に見ても、やはりちょっと事務局長は中国におもんぱかり過ぎている嫌いはないか。また、そうした彼自身の経緯もありましたから、そういうふうに言われても仕方がない側面もあるわけでありますけれども、そうした部分についてはどう思われているのか、見解をお伺いします。
 

橋本副大臣

政府として、国際機関の事務局長個人の評価について見解を申し上げることは差し控えたいと存じます。
 

小熊委員

個人というよりは、機関の人間として初動態勢の不備が言われているわけですよ。そこが中国へのそんたくにも大きくかかわっているのではないかということですから、個人への見解ではなくて、まさに世界の機関のトップとして正しいリーダーシップを発揮したのかということにもかかわってくる問題です。  きょうは述べられないということですから、これはまたいろいろな委員会でやっていきますけれども、そこは日本政府としてのしっかりとした意見がなければ、これからの改革に向かっていく上についてもこの点は避けて通れませんから、これは臭い物にふたをするわけにはいかない点であります。  更に聞きます。WHOが中立であるかどうかという点についてどう評価をされるのか。中立でないというふうに言われているわけだから。この点についてお伺いします。
 

橋本副大臣

中立であるかどうかということは、逆に言うと、どこかに偏っているかいないのかということを問われているのだというふうに理解はいたします。  ただ、私どもとして考えているのは、今回のような世界に甚大な影響を与える感染症に対してはWHOを中心に国際社会が一致して対応すべきだ、そして今後のということであります。今後の同様な事態に備えるために、WHOについて、例えば、やはり、見解が途中で改まったり、あるいは後で考えたときにどうだったのかという疑問、懸念等、私たちも持っているものはないわけではありません。そうしたことも含めて、WHOの機能については今回の事態が終息した後に十分な検証が行われるべきだ、このように考えているところでございます。
 

小熊委員

終息した後ではなくて、先ほど言ったとおり、これは走りながら考えなければならないと思っています。終息したといっても、第二波、第三波だって来るということがあるので、今のWHOのあり方が正しくないのであれば、これは走りながらも改革をしていかなきゃいけない。  世界連携は重要だ、私もそうだと思います。世界連携が重要だからこそ、世界機関のあり方が正しくなきゃいけないんですよ。間違った中での機関で世界連携したってこれは失敗しますから。そういう意味でこの質問をしているんですよ。  ちなみに、四月のG7のテレビ会議でWHOの改革の議論がされていますが、どのような議論がされたのか、お伺いいたします。
 

吉田(泰)政府参考人

お答えいたします。  四月に開催されましたG7首脳テレビ会議に関する御質問をいただきました。  首脳間のやりとりにつきましては、外交上のやりとりでございまして、詳細について申し上げることは差し控えたいと考えております。  その上で申し上げれば、四月十六日に開催されたG7首脳テレビ会議では、安倍総理から、今回のような世界に甚大な影響を与える感染症に対してはWHOを中心に国際社会が一致して対応すべきであり、その上で、今後の同様の事態に備えるためにも、WHOの機能については今回の事態が終息した後に十分な検証が行われるべき旨を述べたと承知しております。
 

小熊委員

それは官僚答弁なんだけれども、それで官僚答弁としてはいいんですが、実際、このとき、ドイツも支持しているんですね、WHOを。フランスも支持しているんですけれども、四月の末になって、アメリカのトランプ大統領とフランスのマクロン大統領が会談をした後では、今度はフランスは改革をしなきゃいけないということで一致をしたということになっています。  G7の中でも、日本の立ち位置、終息した後ではなくて、やはりしっかり日本の立場を鮮明にしなければなりませんし、ただでさえ日本の対応が国際的にも批判されていますから何を言っても信頼されないところもあるのかもしれませんけれども、今言ったように、世界連携は大事だというのはみんな一致しています。ただ、WHOのあり方が正しいのかどうか。アメリカは猛反発しているわけですよ、よくないと言って。じゃ、アメリカの立ち位置が間違っているのかどうなのか。優等生的に言えば、日本がWHOとアメリカの間に立って世界連携をしていくということを、リーダーシップを発揮できればいいんですけれども、国内の対応が後手後手になっていますから、そういったところまで手が回らない、いかない、国際的な信用が得られるのかどうかもわからないという状況であります。  マスクを二枚配るだけで混乱をしている日本の状況でありますし、この間小川筆頭が本会議場で言いましたけれども、きょうもマスクをしている人が余り見受けられないし、副大臣も地元のデニムでつくられたマスク。だから、本当はこういうふうにすればよかったんですよ、それぞれの地元の布マスクをつくるためにお金を配りますの方がまだよかったような気もしますけれども、もうやっちゃったことですから仕方がない。血税ですから、もう一回これも検証しなければなりませんが、とにかく走りながらしっかり考えていくということが必要です。  G7の中でもいろいろ変わってきています。アメリカの要素が大きい中で、日本はどういう立ち位置に立って世界連携を目指していくのか。アメリカ寄りなのか、WHOをあくまでも堅持なのか、これで変わりますよ、日本の国内の対応も変わってきますよ。どうですか、もう一度。
 

橋本副大臣

WHOに対しましてさまざまな御意見があるということは承知をしております。  その上で、今まさに感染症のパンデミックが広がっているというか、まだあるという状況の中で、専門的な知識、知見を有して現場での支援を行っているWHO、国際機関がまず不可欠だということについては恐らくそんなに思いは変わらないんだろうというふうに思っております。  ただ、その中でありますので、今すぐ評価してよいのかということをやはり考えなければならない。ただ、やはりいろいろ思うところがあるということも、正直、先ほど申し上げたとおりでございますので、WHOの機能について事態が終息をしてきちんと評価ができる、まずそういうタイミングを目指すということが恐らく私たちが今目指すべきことなのであって、その上で十分な検証を行い、必要な改革を実施していくべき、このように考えているところでございます。
 

小熊委員

終息が大前提でありますが、ただ、走りながらもやっていくべきこともありますので、その点についてはしっかり留意をしてやっていただきたいというふうに思いますし、折しも、本当に残念でありますけれども、橋本副大臣のお父様の首相補佐官を務められた岡本行夫さんが亡くなられて、私も何回か御指導いただいた立場でありますけれども、やはり国際的な視野を持ってこのコロナも対応していかなければいけないという点を指摘して、次に移ります。  医療従事者は大変努力をされていますが、また、一方で、いわゆる社会を支えるエッセンシャルワーカーというものについてもさまざま言及をされてきたところであります。  ただ、商売に貴賤なしですから、全ての仕事がとうといものであり、反社会的なものを抜かせばですね。パチンコはどうなんだという話も、私はパチンコをやらないからなくてもいいと思っていますが、人間がホモルーデンスだとすれば遊ぶ人ですから、それも必要なのかなというのもありますけれども。  いずれ、社会の維持機能、自粛しながらも社会を回していく、経済を回す前に社会を維持していくという上でのエッセンシャルワーカーというのは、でも、何がエッセンシャルワーカーなのか、曖昧な定義しかないです。  ただ、これは職種をびしっと決めるわけにもいかないとは思いますけれども、一応今の国の認識として、エッセンシャルワーカー、どういうものなのかという認識についてお伺いします。
 

橋本副大臣

今、エッセンシャルワーカーという言葉について、政府として現時点で明確な定義をしているものではございません。  ただ、基本的対処方針におきまして緊急事態宣言時に事業の継続が求められる事業者ということで業種を挙げておりまして、それが先生のおっしゃるエッセンシャルワーカーに近いものかなというふうに考えております。  具体的には、医療機関など、医療体制の維持に必要な事業、高齢者や障害者を支援する福祉施設など、支援が必要な方々の保護の継続に必要な事業、スーパーやドラッグストア、あるいは電気、ガス、上下水道などのインフラ業など、国民の安定的な生活の確保に必要な事業、それから金融や物流など、社会の安定の維持に必要な事業などをお示しをしているところでございます。
 

小熊委員

そうしたエッセンシャルワーカーの方々が生活の維持に大事なわけで、自粛生活をしながらも、活動自粛をしながらも、社会は維持していかなければなりませんから、そうした方々は非常に大事なわけであります。  ただ、この人たちが感染症のリスクにもさらされているわけでありまして、この人たちが、もし多くの方が感染してしまえば、その業種、また地域の社会生活も崩壊してしまう、医療従事者だけではなく、生活が崩壊してしまうわけでありますから、このリスク低減について、リスク回避についてどのように対応しているのか、改めてお聞きいたします。
 

橋本副大臣

お答えをいたします。  これも基本的対処方針の中で、先ほど申し上げました国民生活、国民経済の安定確保に不可欠な業務を行う事業者及びこれらの業務を支援する事業者においては、三つの密を避けるための必要な対策を含め、十分な感染拡大防止対策を講じつつ、事業の特性を踏まえ、業務を継続すること、このようにしております。その中で、各業種の所管省庁及び各業種それぞれにおいて必要な対応を行っておられるものと承知をしております。  例えば、医療従事者でありましたら、国立感染症研究所などにおいて考え方が取りまとめられ、それらについて周知をしている。これは先ほどのやりとりでもございました。また、防護具の配付などを行っているというようなことをしておりますし、私どもの所管している範囲であれば、介護施設あるいは社会福祉施設などについてもそうした対応のあり方等について通知をする、QアンドAを出す、あるいは実際に防護具等々について手配をする、そうしたことについて対応を行っているところでございます。