第203回国会 衆議院 厚生労働委員会 第6号 (令和2年11月20日)

伊佐委員

公明党の伊佐進一です。  本日も質問の機会をいただきまして、ありがとうございます。  さきの通常国会の終盤、六月十二日に全会派共同で衆議院に提出されました労働者協同組合法案について質問させていただきます。  いよいよ委員会の審議が行われるということになりました。私が一番最初の質疑者でありますので、冒頭、この基本的な事項、しっかりとこの意義を議事録にとどめておくという意味で、何点か確認をさせていただきたいというふうに思っております。  まず、議員立法で提出されたこの法案は、一言で言うと、労働者のための協同組合制度をつくるというものだというふうに私は理解をしておりますが、協同組合といっても、例えば、今我が国にあるのは、農業協同組合、いわゆる農協であるとか、あるいは消費生活協同組合、こういうものもございます。ただ、これは事業者あるいは消費者による協同組合制度というものでありますが、労働者による協同組合制度というのは存在をしておりません。  今回の法案は、まさしく新たな協同組合制度をつくるという、新たな組織法制だというふうに思っておりますが、この法案の立法事実として、その背景あるいは本法案の目的について確認をさせていただきたいと思います。また、あわせて、具体的にどのような法人になるのかという点についても質問させていただきたいと思います。
 

橋本委員

お答えをいたします。  まず、本法案が必要とされる背景及びその目的につきましてお尋ねがございました。  近年、労働者が自発的に協同して労働し、事業を行うという協同労働の形で、地域における多様な需要に応じた事業が運営、実施される事例が見られます。  この協同労働は、多様な就労の機会を創出することにより、地域の課題を解決し、地域に貢献するものであり、今後一層の拡充が望まれます。  しかしながら、現行法上は、出資、意見反映、労働が一体となった組織であって、地域に貢献し、地域課題を解決するに当たって利用可能な非営利の法人という協同労働の実態に合った法人制度が存在いたしません。  そのため、一部では、やむを得ず既存の法人形態である企業組合やNPO法人などを利用して事業が実施されていますが、これらの法人は、出資や営利性の点で協同労働の実態に合わず、利用しづらいとの声がございます。  こうした背景によりまして、本法案は、新たな法人形態として、組合員が出資し、それぞれの意見を反映して組合の事業を行われ、組合員みずからが事業に従事することを基本原理とする組織である労働者協同組合を法制化するものでございます。  これによりまして、多様な就労の機会が創出されるとともに、地域における多様な需要に応じた事業の実施が促進され、ひいては持続可能で活力ある地域社会の実現に資するものと考えておりまして、こうした目的を目指すものであります。  次に、労働者協同組合は具体的にはどのような法人なのかというお尋ねがございました。  労働者協同組合は、今申し上げましたように、組合員が出資し、そしてそれぞれの意見を反映して組合の事業が行われ、そして組合員みずからが事業に従事することを基本原理とする組織でございまして、地域に貢献し、地域課題を解決することを目指したものであり、出資配当を認めない非営利の法人となります。  また、労働者協同組合の特徴としては、組合は組合員と労働契約を締結すること、剰余金の配当は従事分量によることといった点が挙げられます。  本法案では、こうした労働者協同組合の性質のほか、理事、監事等の役員、総会等の機関、行政庁による監督などを規定してございます。  以上でございます。