第186回国会 厚生労働委員会 第12号平成26年4月16日(水曜日)

後藤委員長

 次に、橋本岳君。

橋本(岳)委員

 おはようございます。自由民主党の橋本岳でございます。
 本日、厚生労働委員会で質疑の機会をいただきました。本来、別の委員会にふだんは所属しておりますが、きょうは御配慮をいただきましてこの機会をいただきましたことに、御関係の皆様方に感謝を申し上げます。
 そして、きょう、難病対策の法案、児童福祉法の改正案もありますが、これに立ち会えるのは大変感慨深いことだと思っております。
 私自身、この問題にかなり取り組んで、自分の在籍中取り組んできたという思いがございますけれども、そもそもをいえば、平成十八年、前の安倍政権のころでありましたが、パーキンソン病のヤール三を対象から外すという話がありまして、自民党、公明党の厚労部会で決議をして、それをどうにか考え直してほしいということをしたことがございます。
 そのころに、私の議員会館の事務所にパーキンソン病の方がお見えになりまして、いろいろお話を伺ったんですけれども、そのときに物すごく印象に残った言葉がありました。私たちも拉致被害者なんですとおっしゃったんですね。それはどういう意味でしょうかとお尋ねをしたら、当時、北朝鮮の拉致の問題は大変クローズアップをされておられました。私たちも、要は自分の意思に反して身体の自由などを奪われていることには違いがない、だから、そういう意味では拉致被害者と同じなのだと。なぜ世間の方々は北朝鮮の拉致の問題をあれだけ大きく取り上げられるのに、こっちの拉致の問題は余り注目をしてもらえないのだろうかというお話をされたのが非常に印象に残っておりまして、それ以来、私はこっちの拉致の問題を取り扱おうと思って議員生活をしてきたわけであります。
 ですから、きょう、こういう場が、まず法案が出てきて法案審議にかかっているという、本当にありがたいことだなと私も思っております。
 もちろん、委員の先生方、議員の皆様方もそうですし、役所の方々、特に厚生労働省さんは頑張ったと思います。一度出入り禁止にしたこともありますが、しかし、それを乗り越えて頑張ってこられたということはぜひここで申し上げておきたいと思います。
 もちろん、患者、御家族の方、サポーターの皆様方が、たくさんお力をいただいてこの場になったということも、本当に敬意を表さなければならないことだと思っております。
 ですから、きちんと御審議をいただきまして、早期に法律ができるということを大変望んでおります。
 ただ、一点申し上げたいのは、この法律ができても拉致問題は解決をしないんですね。やはり、患者の方が、拉致問題が解決をする、この場合でいえば、自分の自由な意思で活動できるような、健康を取り戻すということになりますが、それは政治の仕事ではなくてお医者さんの仕事ということになります。そういう意味で、この法律ができることは僕はすばらしいことだと思いますが、まだ拉致問題は残りますので、引き続き、法律ができた後も、先生方、皆様方には関心を持ち続けていただきたいということはまずお願いをしたいと思います。
 では、質疑に移ります。
 本法案ができた意義とかメリットというものはいろいろな言い方があるんだと思いますが、やはり、先ほど来も大臣からお話がありましたが、医療費助成が義務的経費になったということは最大のポイントなんだと思います、極めて行政的な話なんですが。毎年、陳情とか要望とかをいただいて、事業が継続をしているんだという状態ではなくなるというのは、実は大変大きな進歩だと思っております。
 もう一個、余り患者さんサイドから見えないことですけれども、都道府県が超過負担をしていたという問題がこれまでございまして、厚労省の予算が少な過ぎたということが問題なんですけれども、今回それが解消されるということになるわけであります。都道府県が、そういう形で、いや、自分たちが持ち出しでやっているんですよというのは、やはり窓口でも患者さんの方々に伝わってくることもあるだろうと思いますし、そこで引け目を感じさせてしまったようなところもあるのではないかなというふうに思っておりますから、今回これが解消されるであろうということで、私はいいことだと思っております。
 そこで、総務省さんにきょう来ていただいていますのでお尋ねをしますが、この超過負担問題について、今回の法改正でどうなるかということについてお考えを教えていただければと思います。

青木政府参考人

 お答え申し上げます。
 難病にかかわる医療費助成につきましては、国が必要経費の二分の一を国庫補助金により負担することとされているところでございましたが、その額が十分でなくて、これまで都道府県に多額の超過負担が生じているという実態がございました。
 総務省といたしましては、国と地方の財政秩序を維持する、そういう観点からこの超過負担の早期解消を強く求めてきたところであり、今回の法改正により、国の負担が国庫負担金に位置づけられたこと、また、予算が確保されて超過負担が解消することになったということは、国と地方のあるべき経費負担の姿になったものというふうに考えております。

橋本(岳)委員

 ありがとうございます。
 あるべき姿になった、そしてこれから、法律に定まっていることですので、ずっと維持をされる、継続をされるということだと思いますので、きちんとそういう財政的な裏づけもできている、厚労省の予算での二分の一の補助ということに加えて、きちんと地財措置がされているということもあわせてあるわけですから、交付税は地方の独自財源なので使い道を云々してはいけないのですが、ただ、この事業としてはきちんと、この法律ができた趣旨にのっとって都道府県にも対応していただける、もしくは、先には政令市ということもあるようですが、対応していただけるようにぜひ周知をいただきたいということはお取り計らいをお願いいたします。
 さて、先ほど来、医療費助成についての議論が大変真剣に、熱心にありました。山井先生のお話も熱心にじっくりと聞かせていただきましたし、また、金曜日の議論も、ちょっと出たり入ったりしましたが、私も少し聞かせていただいたところであります。本当に熱心に取り組んでおられることに、私も、重ねてですが、感謝だなと思いながら聞かせていただきました。
 感想だけちょっと申し上げますが、トランジションの問題の提起もありまして、これも含めていろいろな、やはり今回の法案では対象にならなかった病気あるいはその状況というのがあるということは、取り上げられたことではあります。
 できるだけ漏れ落ちなくいろいろな方をできるだけ安くカバーしたいということは、もちろん我々もそのように願っているところでありますし、ここにおられる全ての方がそうだろうと思います。ただ、この難病対策あるいは小児慢性疾患対策ということだけでそれをカバーするというのも難しいんだろうというのは、これは現実問題としてあるだろうと思います。
 要するに、できるだけ広くみんなカバーしようよといえば高額療養費制度の問題にかかわってくるということにもなりますし、あるいは、障害者の医療との見合いで上限額を設定したということになっておりますが、将来的に必要な調査研究等がきちんと進めば難病と障害者というものの仕切りを見直していくということ、先に進めばそこは一緒にして障害者総合支援法と一体にするようなことも考えられなくはないんだろうとは思います。
 そしてまた、個別の法律というのもあるわけで、がん対策の話も先ほど出てまいりました。あるいは、アレルギー対策基本法というのを古屋先生、江田先生とともに提出をさせていただいておりますので、ぜひ審議をいただければありがたいなと思っております。
 そういういろいろなものもある中でこの制度というのがどうあるべきか位置づけられるべきだろうというふうに思うわけでございまして、現状では、今の制度から一歩前にとりあえず進むんだ、きちんと予算が確保されるようになった、義務的経費になった、だから、税金を使わせていただく以上、どこかで基準を設けて、クリアに対象を決めて恣意性を排除する、あるいは公平性を確保するということも視点としては要るんだろうというふうに思うわけでございます。
 先ほど山井先生も、難病の患者の親御さんが、法案の成立を早期にというお話がありました。自分の負担はふえるんだけれども、早期に成立をしてほしいというお話がありました。これは、僕らはその裏にある思いも含めて重たく受けとめなきゃいけないと思います。それはきのう、参考人として、JPAの方、また、難病のこども支援全国ネットワーク、親の会の方、連絡会の方もお見えになってお話しになっておられました。苦渋の思いもあるだろうということは十分受けとめながら、同時に、早期成立を求められているということも受けとめなければならないのだろうというふうに思うわけであります。
 一つ確認をしたいんですけれども、経過措置というのを今回設けるということにされていると思います。我々も、資料一として、自民党のPTとして決議をして厚生労働大臣に提出をさせていただいたものをつけさせていただいておりまして、いっぱい中身がありますので後で読んでいただければと思いますが、その中でも経過措置を設けるということはお願いをしたことであります。
 ただ、三年間ということだと思いますが、一応本則があって、それに至る経過措置ということでのお願いをしております。本則について、ほかの制度との見合いでということになっておりますから、時限的に行うものはきちんと期限を切って三年で行っていただくということがまずは大事な、必要なことだと思いますが、その点について御確認をいただけませんでしょうか。

佐藤政府参考人

 お答えをいたします。
 今御質問がございました現行の難病とそれから小児慢性特定疾病の医療費助成の支給者でございますけれども、新制度への移行に伴う急激な負担増というものを緩和するため、今の御質問の中にもありましたように三年間の経過措置を講じることとしまして、現在よりも低い自己負担限度額等を適用することとしたところでございます。
 そして、このような経過措置を講じるという案に対しまして、都道府県や医療関係者などからは幾つか意見があります。一つは、経済的負担の急激な変化が抑制されるということで積極的に評価をしていただく声です。もう一つは、同一の疾病で同程度の症状であるにもかかわらず、既に認定されている方か、それとも法律施行後に新しく認定されるかということによって、自己負担の限度額が異なるということはどうなのかなという声もまた一方であったようでございます。
 こうしたことを踏まえまして、とりわけ公平性ということも考えますと、こうした経過措置はやはり法施行から三年間ぐらいだろうというふうに考えております。

橋本(岳)委員

 ありがとうございます。
 さまざまなお立場の方々がおられるので難しいところです。本当に、山井先生がおっしゃったように、僕らだって、できるだけ、自己負担額なんて少ないにこしたことはないと言いたいのは物すごく山々であります。
 もちろん、難病の方々、小児慢性疾患の方々、苦しんでおられますが、ほかの病気で苦しんでおられる方もたくさんおられるし、障害で苦しんでおられる方もたくさんおられるし、財源はそれなりに限りがありますしということもある中での議論で、今このような案とされているわけですから、バランスを守るという意味でも、そこをきっちり守っていただかないといけないと思います。
 本則になったところで、そこで患者の方々の御負担がどうなんだろうというようなことを改めて見直されるということも、それはそれであってしかるべきだと思いますが、まずは、きちんと経過の期間を過ごしていただくということが私は必要だと思いますので、そのようにお願いを申し上げたいと思います。
 さて、ちょっと質問の順番を入れかえます。ごめんなさいね。指定難病の基準で、人口の〇・一%ということについて伺いたいと思います。
 これは、今の医療助成の対象になっております潰瘍性大腸炎、それから、さっきも出ましたパーキンソン病の方々、この線でどうなのかということで、はらはらしておられます。今後、これから高齢化が進みますと、もっと患者さんはふえていく可能性というのはあるんだろうと思うわけであります。
 あわせて、先日、本会議で地方自治法改正の質疑をさせていただいたんですが、そのときに、二〇五〇年には日本の人口は九千七百八万人になりますという話をしました。私が七十六歳になりますという話もしましたが、それはどうでもいいんですけれども。日本の人口が減ると、そのラインは自動的に下がるよねみたいな話にもなるんですよね、それで基準にしていると。
 ですから、どの疾病がまず対象になるのかということは今質問してもお答えいただけないということですから、それはそれで結構ですが、一度対象になった疾病が、患者の数がふえたとか、あるいは人口が減ったのでラインが下がったとか、そういうことで対象から外れてしまうということがあるべきではないと思いますが、その点についてどのように考えているか、教えてください。

土屋副大臣

 公平かつ安定的な医療費助成制度とするためには、指定難病も客観的かつ公平に選定されるべきであると考えておりますが、選定に当たっては、第三者的な委員会において、難病医療について見識を有する者による議論を行うこととしているところであります。
 患者数の基準の適用については、今後、その具体的な内容が第三者的な委員会で検討されることとなりますが、一度対象疾病となった病気については、今は〇・一%の基準があるわけですけれども、これは患者数だけで考えた場合ですね。患者数のみならず、患者の治療状況やそれまでの経緯等も考慮しつつ判断されるものと考えております。

橋本(岳)委員

 〇・一%だけで決めるわけではないというお話でしたが、もうちょっと、何というんですかね、こういう場合どうですかという質問を申し上げたので。では、厳密にお答えいただきたいと思います。

佐藤政府参考人

 大きく二つのことをお聞きになったように思います。
 一つは、その潰瘍性大腸炎のような、今具体的にある疾患が〇・一%とした場合にどうなるのか、それから、人口が今後減少していった場合にどうなるかということですけれども、いずれの場合も、患者数にかかわる要件として人口の〇・一%程度ということで、幅を持たせた、言葉をかえて言うと含みのある表記、こういうふうにしております。
 ただいま土屋副大臣からもお話がありましたように、実際の判断に当たりましては、複数の調査結果とか、現に医療費助成の対象になっているかどうかとか、総合的に勘案し、また丁寧に議論をして対応していくんだろうということだと思います。
 いずれにしましても、患者数に係る要件も含めまして、今後の運営の仕方についても、第三者委員会はもとより、厚生科学審議会の中でまた議論していくものだと思います。

橋本(岳)委員

 今後の議論という話でございましたので、今申し上げた趣旨をお酌み取りいただきまして、きちっと御対応いただけるように要望申し上げたいと思います。
 それから、もう一つ、これもちょっと質問の順番を変えることになりますが、トランジションの問題について、既に、大西委員あるいは伊東委員からいろいろな質疑がございまして、この問題も取り上げられておられます。石井局長が立派な答弁をされておりますので、どうなんですかというざくっとした質問は割愛をさせていただきたいと思います。ちゃんと答えていただいていますから、立派なことだと思いますよ。
 ただ、感想を言えば、残った宿題だろうというふうには私個人としても思っておりますし、党の決議の中でもそのような表現はさせていただいたと思っています。決して、今回の案で全てが満足をされた、要望にきちっと応え切れたとは私どもも認識はしていません。
 そのことは申し上げた上で、ただ、医療費の支援だけではなくて、可能な方はできるだけ自立をしていただけるような、そういうサポートをするということで、小児慢性特定疾病児童等自立支援事業というのが児童福祉法に今回の改正によって明記をされるということは大きな一定の成果だと思います。ただ、相談業務というのは都道府県がしなければならないという事業になっておりますが、そのほかに、一時預かり、あるいは相互交流、それから雇用の情報を提供するとか、そうした自立に向けた非常に大事な事業というのが、都道府県は以下の事業をすることができるという規定になっておりまして、規定ぶりが違います。
 必ずやらなければならないものについて、もちろん、それについては厚労省、国が二分の一を補助するということになっておりますし、できる規定のものもその補助がつくんですけれども、さっき言いました、地方自治体にとって地方交付税の裏負担があるかどうかというのはそれなりに大きな問題でありまして、一般的に、やらねばならないという規定の場合、地方交付税の裏負担というのはつきますが、できるという規定のときは、それはやってもやらなくてもいいんだから、裏負担は必ずしも必要とされないということで、算定されなかったりすることというのもそう珍しくないんだというふうに思っております。
 ただ、これはすごく大事なことで、医療費について、トランジションの問題、宿題として残すけれども、せめてこういうことはやらせてほしいということで設けられている大事なことですから、その点、ぜひ、都道府県さんにはしっかりやってほしいと思うし、総務省さんとしても後押しをしてほしいなと思っておりますが、このできる規定の事業についての地財措置の取り扱いを教えてください。

青木政府参考人

 お答え申し上げます。
 小児慢性の特定疾患に該当する児童等の自立支援に向けて、お話にもございましたが、都道府県は、必須事業として相談支援事業、また、任意の事業として児童等の相互交流機会の提供や就職支援等の各種事業を行うこととされております。
 これらの事業に要する経費につきましては、必須な事業であるか、あるいは任意の事業であるかという区別なく、事業を実施する場合には国が二分の一を負担するということになっておりまして、残りの地方負担につきましても、特段の区分を設けず、必要となる額について地方交付税による措置を講じてまいりたいというふうに考えております。

橋本(岳)委員

 これは本当に大きなことだと思っております。もちろん、都道府県のその時々の体制によって、全部が一遍にいきなりできる、始められるとは限りませんから、そういうことで、しなければならないこととできることという区別があるんだろうと思いますけれども、やはり、できるだけやってほしいと思っていますし、今、その裏負担もきちんとやるのだということで御答弁をいただきましたので、厚労省ないし総務省からも、きちんとこの法案の趣旨にのっとって、これらの事業を必要に応じてやってほしいということをぜひ言っていただけるようにお願いをしたい、このように思うわけであります。よろしくお願いいたします。
 さて、ちょっと資料をせっかくつくってきたんですけれども、資料の二というので、三枚めくった裏側にNHK生活情報ブログというのがありまして、慢性疲労症候群ないしは筋痛性脳脊髄炎という言い方もあるんですが、その方々に取材をされたそのときの記事がブログで出ておりましたので、参考資料として掲げさせていただきました。
 病気でしんどいのは病気でしんどいわけでありますけれども、同時に、この方々は、慢性疲労症候群という名前が余りよくないというか、ちょっとなじみやす過ぎるということで、非常に誤解を受けられる。
 私も正直言って、この資料をつくったり勉強をしていて読んでいると、隣の席に座っていた別の議員の方が、え、なになにといって、ちょっと話をすると、ああ、俺も慢性疲労症候群かもしれないなとか平気で言うわけですよね。いやいや、病気と単におくたびれなのは違いますよ、先生は寝たら治りますよねというお話をするわけですが、僕はそういう対応をしますけれども、やはり患者の方がそういう言葉を気軽にかけられるというのは、それはそれでつらいことにつながるんだろうと私は思うのであります。
 やはりいろいろな方にきちんと知ってほしい、患者会の方からは研究班にもいろいろなことをちゃんと伝えたいという御要望もいただきましたので、そこはきちんと厚労省さんの方でもコミュニケーションを図っていただくようにお願いをしたいと思います。
 周囲の誤解ということで苦しむということについては、この病気に限らず、昨日の参考人質疑でもお話しになった方もおいででありましたし、安倍総理も、総理大臣ですから、批判を浴びるのはよくあること、別に珍しくないことなんですが、おなかがどうのこうのとかというのは、ちょっと心ないことを言う人がいるものだなということを感じたということもあわせて申し上げさせていただきたくありますが、やはり病気で苦しい人は本当に病気で苦しいのであって、そのことをやゆしたりするようなものではないと思います。
 ただ、難病ですから、なかなか人に知られておりませんので、きちんと広報をする。自分で言い歩くものでもありませんからね。今回、こういう形で法律ができるということもあって、きちんと政府としても、ホームページも更新が古いとかいう指摘もありましたが、そんなことのないように、そして、ホームページって見に来る人じゃないと見に来ませんから、ちゃんと政府広報なりなんなりで取り上げていただきたいと思うんですが、その点、どのように考えておられるでしょうか。

佐藤政府参考人

 お答えをいたします。
 今御質問の中にもございましたように、難病もさまざまでございますけれども、一般的に申し上げて患者数が大変少ないということなので、一般の方にとってみますと、病名もわからない。一般の方ならまだしも、お医者さんの中でも、そんなのあったかなとか、あるいは同じ内科の中でも、私は消化器なので神経系難病は余りよくわかりませんという方もあったりして、なかなか御理解いただけない部分があるんだろうと思います。
 また、事例として出された慢性疲労症候群の場合は、恐らくはほとんどの症状が自覚症状、つまり、御自身はよく苦しみ、痛み、つらさ、だるさのようなものがわかっていらっしゃるけれども、これを、お医者様を含めて第三者、これは他覚的と申しますけれども、例えば血液をはかって、血液の中のある成分が高い値を示したりあるいは低い値を示しているから多分痛いんだろうなとか、そういう他覚的にかつ客観的に示す指標がないので、御自身の悩み、苦しみが何となく、もしかしたらサボりなんじゃないのとか、そんな病気あったのかしらというようなことにつながっているということだろうと思います。
 私どもとしましては、こういう慢性疲労症候群のように、まだ必ずしも実態が解明されていないものについては厚生労働科学研究の中で取り上げて研究をしていますし、また、今質問の最後の方にございました国民への情報提供という意味でも、難病情報センターのホームページを通じまして、研究全般、それからこうした慢性疲労症候群のことについてもお示しをしているところでございます。
 いずれにしましても、今回の難病法案第三条におきまして、広報活動等を通じた難病に関する正しい知識の普及ということが国や地方公共団体の責務ということになっておりますので、これまで以上に充実を、とりわけ政府広報など、使えるメディアも使いながら対応してまいりたいと考えております。

橋本(岳)委員

 よろしくお願いいたします。
 ちょっと時間が限られてきたので、幾つか質問を飛ばします。オーファンドラッグあるいはウルトラオーファンドラッグの開発、ぜひよろしくお願いしますといって、ちょっと質問を割愛させていただきます。
 済みません、最後に一点、ちょっと話をかえますが、医療介護総合確保法、この後で審議をされる予定だと思いますが、これの医療事故に関する調査について、一個だけお尋ねをしたいと思います。
 ちょっと説明は後回しにして、一つだけ質問します。それに関連をして、総務省さんから、きょうはもう一人、政府参考人に来ていただいていますが、放送倫理・番組向上機構、BPOというものがございます。資料の三で、そこの、ある委員会の規定を載せておりますが、第三章第五条の(五)というところで、「苦情の取り扱い基準」という中で、「裁判で係争中の事案および委員会に対する申立てにおいて放送事業者に対し損害賠償を請求する事案は取り扱わない。また、苦情申立人、放送事業者のいずれかが司法の場に解決を委ねた場合は、その段階で審理を中止する。」という規定があります。
 この規定について、その趣旨をお尋ねしたいと思います。

南政府参考人

 お答え申し上げます。
 BPOは、NHKと民放が自主的に設立して運営されている組織でございますので、その内部の運営規則の規定の趣旨について、政府としてコメントすることは差し控えさせていただきたいと思いますが、一般論として申し上げますと、損害賠償を請求するような事案の場合は、その事柄の性格上、最終判断は司法に委ねられるという考え方を取り入れるのが一般的ではないかというふうに理解をしているところでございます。

橋本(岳)委員

 ありがとうございます。
 今の答弁で学ぶところが、医療事故の調査に関して二つあるんだろうと思います。
 一つは、まず、損害賠償等になる場合は、もう司法の場に行くんだから、そこに委ねるのだということをきちんと切り分けておられる。この医療事故の調査について、安全の向上のために調査をするということはいいんですけれども、その調査の結果を持って裁判所に行かれると、不当に医療の方々が責任を負わされることになるのではないかという懸念が強いものがあります。
 そういう意味で、こういう切り分け方をきちんとされているということは、一つ参考にされるべきではないかと思っております。
 それからもう一つ、総務省さんとして、一般論としてお話をいただきましたが、お答えは差し控えますというのが先につきました。そういう形で、政府との切り分け、第三者性の確保というものを、総務省としてきちんとBPOに対して距離をとっているということも、私は、一つ参考にされるべき点ではないかと思います。
 そういう意味で、今後審議をされると思いますが、医療事故に係る調査の仕組みに関して、ガイドライン等をこれからつくられるに当たっては、今の規定などを参考にすべきではないかと思いますが、いかがでしょうか。

原政府参考人

 お答え申し上げます。
 御指摘のように、本制度は、医療事故の再発防止に資することを目的としております。したがいまして、医療事故が発生した全医療機関において、まず医療事故調査を行い、その結果を御遺族等にお示しするということになっております。さらに、その結果を、民間の第三者機関である医療事故調査・支援センターが、医療事故に係る経緯や事実を分析、整理するというような制度をつくっているわけでございます。
 仮に、訴訟が提起されたとしても、再発防止に資することを目的とする調査の必要性は変わらないと考えておりまして、今般提出いたしました法案の中では、訴訟になった場合に対象外にするというような取り扱いはしていないところでございます。

橋本(岳)委員

 そこの切り分けというのは、僕はすごく大事なことだと思いますので、ぜひ参考にしていただきたいと思います。
 終わります。