第193回国会 厚生労働委員会 第30号(平成29年9月20日(水曜日))

田村(憲)委員長代理

 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。橋本岳君。
 

橋本(岳)議員

 皆さん、おはようございます。自由民主党・無所属の会の橋本でございます。

 きょうは、お時間をいただきまして、振替加算の支給漏れ問題について質疑をさせていただきます。

 この問題、九月十三日に厚生労働省が年金事業管理部会で公表したということで明るみに出たわけでございます。概要としては、今、大臣そして水島理事長から発言があったようなことでありますし、資料の方で私の方もちょっと整理をしましたので、お配りをしているかと思いますが、ごらんになりながら質疑を聞いていただければと思います。

 早速ですけれども、質疑に入ります。

 そもそも年金というのは、当然ながら、高齢者の方々の払っていただいた保険料によって、生活の足しにしていただく、保障するという類いのものでございますから、支給漏れというものはあってはならないことであるというのは論をまちません。

 特に、この年金の問題については既にさまざまなことが累次にわたって指摘をされていることでございまして、私も、前は副大臣なり政務官なりという立場で答弁側に座って、いろいろな委員会での御質疑をいただくというようなこともございました。それが、またかという思いというのは否めないわけでございます。

 一つ救いがあるとすれば、今回は自主的に見つけられたということ、点検の末、見つけられたということは了とすべきことだとは思いますが、ただ、それでも、点検の結果、これだけのことがあったというのは大きなことでございますし、それは重く受けとめなければなりませんし、受けとめていただきたいと思います。

 その上で、なぜこのようなことが起こったのか、主に四つの理由があるのだという水島理事長のお話がございましたが、四つの理由それぞれの、主に事務ミスですね、届け出がなかったということもございますが、その事務ミスというのはいつごろから起こっていたのかということについて、まずお尋ねをしたいと思います。
 

高橋政府参考人

 このたび、日本年金機構におきまして振替加算の総点検を行いました結果、本来支給されるべき振替加算が適正に支給されておりませんでした事案が判明いたしました。未払いとなっておりますお客様に多大な御迷惑をおかけいたしましたこと、心よりおわびを申し上げます。

 今御指摘をいただきました、いつからこの振替加算の事務処理のミスが生じたかという点でございますが、振替加算は平成三年四月から支給開始がされてございまして、今般の総点検におきましては、開始当初からの支給漏れが発生したことを把握してございます。
 

橋本(岳)委員

 開始当初からいきなり間違いがあったというようなことでございまして、もうこれは何と言えばいいのか、何とも言いようがないんですけれども、本当に事務手続的に問題のある手続もあったということなんだというふうに理解するしかありませんし、本当でいえば、それを訂正していくような仕組み、何というんでしょうか、リストを出してチェックをするとか、そういうようなものがあったはずなんですが、それが機能しなかったということが積もり重なって今に至った、そういう問題なんだということであります。

 総点検の結果、そういうことが明らかになって、十・六万人の方に支給漏れがあったということがわかった、原因についてもお調べをいただいた、それに対して事務の改善などの再発防止策をとるということでございますけれども、まずは、この振替加算の問題について、もう支給漏れは起こさないんだということについて、それは事務の改善等によってですね、それだけの対応をとっていただいていると思いますから、ぜひ大臣からその御決意をお聞きしたいと思います。
 

加藤国務大臣

 振替加算を初めとして、高齢者の皆さん方の収入の中心部分をなしている年金というものに対する信頼を確保していくというのは大変大事な使命だというふうに思っておりまして、そのためにも適正に運営をされていく。そして今回、振替加算についてこれだけ大規模な支給漏れがあった、それを踏まえて、日本年金機構では、本年七月から、配偶者の加給年金が終了している一方で振替加算がなされていない事例を六十五歳時点で全て抽出し、夫が共済年金の場合においても共済情報連携システムを用いて振替加算の受給要件の確認を徹底するという形にしております。

 現在、職員が個別に確認しておりますが、今後、システムの改修によって機械的に共済情報連携システムに照会できるようにするということも今、検討させていただき、こうしたことを通じて、まずは、加給年金が終了し、振替加算が開始されないというミスがないように万全を尽くしていきたいと思いますし、また、今回のことを踏まえて、ほかにも、こうした年金の支給ミス等々について、こうした事例がなかったかどうかということをしっかり当たって、年金が確実に適正に支給がなされるよう、厚生労働省としてもしっかりと対応していきたいと思っております。
 

橋本(岳)委員

 やはり職員の方が手でチェック、手というか目でチェックをしているという事務が残っている限り、ミスというのは起こり得るし、どうしてもあってしまうんだろうと思います。そういう意味で、システム化というお話もございましたので、早急にそれは進めていただきたい、まさにそのためにシステム刷新というのを検討されているんだと思いますから、ぜひお願いをしたいと思います。

 少し答弁でお触れをいただきましたけれども、やはり同様に、結局、リストを出力してチェックをして後追いで直すというような手順を踏んでいる年金の振替加算以外の仕組みというのもあり得るんだろうと思っていますし、そうした手順が残っていると、やはりチェックミスでありますとか、チェックの漏れでありますとか、あるいは多過ぎてもうチェックがし切れないでうっちゃってしまったとか、そういうようなことというのは残り続けるままということになろうかと思います。

 この振替加算の手順以外の事務で同様の手順、リストを出してチェックをしているようなことがないのかどうか、改めて確認をし、対策を打つべきではないのかと思いますが、いかがでしょうか。
 

高橋政府参考人

 現在、年金機構におきましては、さまざまなお客様からの申請等々の事務の中で、いろいろな突合、チェックをシステムで行いまして、そこにさまざまな要確認の事案があるというための、確認のためのリストを出す、こういうような事務処理がございます。これによりまして職員が確認をする、オンライン端末をたたいたり、場合によってはお客様に御確認をするということで確認をしてございます。

 御指摘のように、このような職員がやるというプロセスの中では確認漏れということは生じますので、現在、できる限りこのようなものは自動化をするというようなことを進めてまいりたいというふうに考えてございまして、今回の振替加算の手続につきましても、まずは、今、職員によるものによりまして防止対策を進めておりますけれども、システムの改修によりまして自動化を図って、来年の七月には振替加算部分の自動化を行いたいと考えてございます。
 

橋本(岳)委員

 改めてチェックをしていただくということでございますので、そのチェックをした結果につきましてはまた別途御報告等をいただきたいと思いますし、また、それに対して手を打つということは随時取り組んでいただきたいと思います。

 本当に年金というのは、例えば、さきの週末、敬老会がたくさんございまして、柚木先生と私と、よく並んで出席をさせていただくわけでございます、同じ選挙区ですから。そうしますと、私にしても柚木先生にしても、やはり年金のこういう問題がありましたというようなお話は触れざるを得ないし、そこで聞いていらっしゃる御高齢の方というのも、皆さん、ええっというお顔をされる、すごく関心が高い問題である。そして、またかというお顔をされるというのは大変残念なことであります。

 特に、御案内のとおり、私は先月まで厚生労働副大臣を務めておりました。年金も所管をしておりました。そういう意味でいえば、私にも責任なしとは言えないと個人的には思っているところでございますし、その上で、年管審にお尋ねをしますが、橋本岳にこの問題についてお知らせをいただいたのはいつでしょうか。
 

高橋政府参考人

本件におきましては、昨年の十二月、日本年金機構におきまして、総点検を実施することを決定し、その際、年金局とも十分協議を行って、行ったわけでございます。しかしながら、この時点におきましては、この事案が構造的な問題なのか、ほかに同種の事案があるのか未解明であったため、まずはこれらの解明に取り組むのが先決ということで、大臣、副大臣を初め政務への報告は行わなかったということでございます。

 結果といたしまして、本年八月中旬に加藤大臣に一報いたしまして、本年の八月に全貌が把握できたものでございますから加藤大臣に一報し、八月二十四日に大臣に説明し、御指示を仰ぐことになったわけでございます。

 橋本副大臣には、大変申しわけございませんでしたが、その公表の資料など準備が整いまして、発表の直前に御報告を申し上げるということになった次第でございます。

 御指摘を重く受けとめまして、引き続き、速やかな政務への報告に努めてまいりたいと思います。(発言する者あり)
 

橋本(岳)委員

いろいろと御声援というかやじというかをいただいておりますが、本当にそのとおりなことでありまして、ショックでした、本当に。それは自分の指導力不足というのもあると思いますから、声を大にして言うということは控えます。私がそれだけ信頼されていなかったということもあるんでしょう。だけれども、なぜ総点検をするという段階で政務に言わなかったのかというのは、やはり反省をぜひお願いしたいと思います。

 特に、もちろん、知っていたからといって結果が変わったかどうか。変わらなかったと思います。だけれども、年金機構には前科が、まあ前科はいっぱいありますけれども、ありまして、情報漏えいのときに私は政務官をして、そのときもいろいろ議論に加わらせていただきましたけれども、その反省点として、「情報セキュリティ強化等に向けた組織・業務改革 日本年金機構への不正アクセスによる情報流出事案を踏まえて」という冊子を厚労省が発表しています。私もたくさん書きました。筆を入れました。

 その中で、反省点を幾つか挙げている中に、厚生労働省の中で情報の連携が全然なかった、特に、このときも係長さんレベルで話がずっと進んでいて、その間に不正アクセスが進んでいたにもかかわらず、全く政務を初め幹部が知らないという状態がずっと続いていた、それが一カ月ぐらい続いていたので、その間に情報がどんどん漏えいしていった、こういうことがあった。それに対して、私たちというか厚生労働省は厳しい反省をしたはずでありますし、そのことはこの紙にも書いてあります。

 ここに書いてありますよ、危機管理の最初の第一は情報の共有である、組織で対応しなければいけない。何だったんですか、これはという話です。もちろんこれは……(発言する者あり)はい、もちろんこれは厚労省の中の話ですから、今の御指摘のとおりであります。ただ、中の情報共有すらはっきりできなくて、国民の信頼ができるわけがない。だから指摘をしているんです。

 ということにつきまして、私は大変残念に思っておりますし、もちろんそれは個人的な残念さなのであって、本当に残念なのは、十・六万人の支給が足りなかった国民の方々、あるいは、今保険料を納めておられる、あるいは受給を受けておられる、年金に関係している皆さん全てが不安に思うということが最も問題なのでありますし、その一歩が、一歩すらできていなかった、まだできていないのかという話であります。どうぞ、猛省を促します。

 終わります。